「反対派の意見をしっかりと取り入れて映画に描くのはスタッフの中でも共通認識。あのような事実と違う描き方をされたことが信じ難いことです。」
新聞報道によれば、昨年開催された東京オリンピックの公式記録映画の総監督を務める河瀬直美氏が24日に開いた記者会見で、映画を選手を描いたものとスタッフ・ボランティアを描いたものとの2部作にすることを発表し、上記の発言があった。
「あのような事実と違う描き方」とは、昨年12月に放送されたNHKBSの『河瀬直美が見つめた東京五輪』の中で、五輪反対デモに参加した男性が金銭で動員されていたとする事実と異なる字幕を付けたことを指す。
ストンと落ちない。
これだけのタイトルを付けたドキュンタリーの制作プロセスに、河瀬氏が何も関わっていないことは考えにくいからだ。
それを暗示する本人のツィートも残っている。
放送直後に視聴者からのクレームがあり、NHKは内部調査も行ったが報告書を読んでも「誰が何故に」が抜けているし、デモに参加したかどうかの本人確認が制作スタッフの思い込みによる怠慢として片付けられている。
そのとおりだとすると余りに杜撰だ。
河瀬直美監督の映画『あん』を観て感動したが故に、映像作家として一点の曇りも無い冒頭の発言なのかどうか、気になるところだ。オリンピックが様々な疑惑に包まれ、本来の姿を失っているからなおさらのことである。
缶コーヒーのコマーシャルではないが、この国では全ての疑惑がうやむやになって忘れ去られる。
残るは進行中の放送倫理検証委員会の審議だけになった。
「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。
「ウクライナは悲惨です。TVで報道されるのはその一部」であり、この大義無き
侵略戦争を止められるのも、残念ながら『楕円と円』さんの提示された手段のみですね。
このような事態を招かないためにと、二つの大戦を経て学んだ結果設立された
国連が、機能しない事態を深刻に考えなければと思っています。
短歌に詠まれた「今日も過ぎゆく」に、事態への無念さがにじみます。
これからもよろしくお願いします。