旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

英語が話せない幸せ

2007年06月26日 | 旅行一般
オーストラリアのゴールドコーストでの事。当時働いていた会社の研修で現地に行った私はもはや社会人でもあり、研修という目的上、現地のホテルを体験して来るという仕事もあったわけですが、久し振りに安宿のドミトリーも楽しいなと思いついて、ホテルへの宿泊をやめて、バックパッカーズを探してドミトリールームにベッドを確保しました。同室はエレキギターを片手に旅するニュージーランド人。部屋に少し落ちついて、同室の人物としばらく話しをしていると、ルームメイトが言いました。

"オマエは勇敢だなぁ。言葉もできない国を旅してまわれるなんて"。

私は自分の英語力をからかわれたと思って少しムッとしたのですが、その続きを聞いてみるとそういうわけではなさそうです。

"オレなんか、外国といえばイギリス、アメリカ、オーストラリアしか、とてもじゃないけど怖くて行けない"

この時、いまさらながら、彼ら英語圏の人たちは自分の母国語だけで数ヵ国を不自由なく過ごす事ができるのだという事に気がついたのです。

"それじゃあ、今、いちばん行きたいのはどこ?"と聞くと、

"ハワイだ"と。

ゴールドコーストにいながら、ハワイへ行く事を考える。少し不思議な気がしましたが、このあたりはいまだにわかりません。

さて、ここでおもしろい事に気がつきませんか。

私の所にも、"英語があまりできないのですが"といった相談はよく来ます。そして私の英語力はルームメイトに"言葉もできないのに・・・"と言われた程度の能力。それでも私は英語圏も英語圏でない国も多くの国を旅する幸運に預りました。やはり皆さんと同様、"もっと言葉ができたらなぁ"と思った事も多々あります。ところが英語は何不自由なく話す英語圏の人物が逆に英語に縛られて非英語圏の国を訪問する事に恐怖に近い感情を覚えている場合もあるわけです。

実は当時、私はこのニュージーランド人、変わった人物だなと思ったのですが、その後、カナダ人、アメリカ人、オーストラリア人の中には同じように感じている人が意外と多くいる事がわかりました。言葉などもともと通じない我々、非英語圏の人間よりも、いくつか通じる国がある英語圏の人間の方が言語に対して自由でいられる面もあるわけです。


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