旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

キャンセル料と旅行代金

2001年04月21日 | 旅行一般
 私はE&Gとして独立するまで某量販系旅行会社に7年ほど前まで勤務していたわけですが、既にその当時からこの仕事は価格競争が非常に激しく、とにかく”安く”売るためにいろいろな工夫を凝らしたものです。というよりもとにかく安く"見せる”だったかもしれません。
 安売り競争の中で利益率を上げるために社内で叫ばれていたのは”キャンセル料や変更料をしっかり取る”事でした。利益率を削って安売り競争していくためには、こういったお客様が申込み時に真剣にチェックしないところの価格で利益を稼ぐことを考えないと利益はなくなってしまいます。
 その結果、お客様が申し込んだ内容どおり出発するよりも、出発できなくなったときの方が”儲かる”という現象が発生します。よくよく考えたら、これは非常に不健全な関係だと思いませんか。
 つまり、貴方が申し込んだ旅行会社は、貴方が楽しく旅行してくることよりも、何らかの事情で出発できなくなることを期待しているかもしれないわけです。
 E&Gに料金の問い合わせをいただいた方は多分お気づきだと思いますが、E&Gの料金は特に航空券代金の場合、他社の料金と比較して少し高いかもしれません。少なくとも日本で一番安いことは絶対無いと思います。そのためか、過去E&Gを利用していたお客様の中で、大手量販店を利用するようになった方もたくさんいます。
 最近、そういった方々の中で、再びE&Gを利用するようになった方が増えてきています。たいていの理由はこの”キャンセル料”のトラブルであるようです。
 1年に何度も渡航する人であれば、全く変更もキャンセルも発生しないまま何年も渡航を続けることはできないと思います。しかも、たいていの場合はやむにやまれぬ事情によって変更やキャンセルをしなければならなくなるのではないでしょうか。そういった事情の際に多額のキャンセル料を取られて、旅行会社側は”儲かった”という話では・・・・。万が一の時こそ旅行会社に力になってほしいものではないでしょうか。
 せっかく安い料金で旅行していても、今まで”得した”分はあっという間に”損した”に転落です。
 私どもの格安航空券の取消規定は以前所属していた某量販店の規定をそのまま継承しています。が、過去、E&Gをご利用になって、キャンセルせざるを得なくなった方はご存知だと思いますが、この規定を”上限”として適用しています。われわれとしても、”発券元”や航空券種によって規定が違いますので、「ここまでは係らないだろう。」という料金をベースに一応規定を決めていますが、実際の適用にあたっては、出発できなくなった方にはできるだけ多く返金して、少しでも次回出発していただける際の足しになるように考えています。
 こういった妙なところで利益を稼がないシステムのため、実際に出発する方からはキャンセル料で稼いでいる旅行会社よりも少し高めの料金をいただいている結果になっているかもしれません。
 お客様と旅行会社との関係は、この方が健全だと思いませんか?

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