旅のウンチク

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目指せガラパゴス化

2013年03月12日 | 旅行一般
 ガラパゴス化という言葉を知っていますか?

 当初、言葉だけを知って意味がよくわからなかったときは何か響きが”カッコいい”と感じていました。だいたい、ガラパゴス諸島といえば海イグアナとか陸イグアナとか、あるいは最近では地球温暖化に適応して生まれたらしいハイブリッドイグアナなどというガソリンと電気の両方で動くイグアナ...ではなくて海イグアナと陸イグアナの両方の特性を持ったイグアナがいたり、何年生きているのか見当もつかない亀がいたり、とにかくとても個性的な島々であります。

 以上のようなガラパゴス諸島に対するイメージから考えると独自性、個性という言葉が浮かんできます。周囲の流行に流されることなく、独自の価値観を育んでいくことがガラパゴス化かなと勘違いしても不思議ではありません。

 それで、実際のところ、ガラパゴス化とは

 "日本で生まれたビジネス用語のひとつで、孤立した環境(日本市場)で「最適化」が著しく進行すると、エリア外との互換性を失い孤立して取り残されるだけでなく、外部(外国)から適応性(汎用性)と生存能力(低価格)の高い種(製品・技術)が導入されると最終的に淘汰される危険に陥るという、進化論におけるガラパゴス諸島の生態系になぞらえた警句である。ガラパゴス現象(Gala'pagos Syndrome)とも言う。"=出典:Wikipedia

 なるほど。褒め言葉じゃなかったようです。

 確かに大量生産によって大きなコストダウンが図れる製造業の部門ではあまりに独自の方向性や規格へ進んでいくと困ったことになるのかもしれませんが、一方で、ガラパゴス化が問題になるということは社会全体が画一化に進んでいるという印象もあります。

 旅行の世界で汎用性の高い商品構成を追求していくと結局中身の無い商品、つまり航空券+ホテルの格安ツアーを作って、あとはオプショナルで対応という商品だけが残ってきます。どこの会社でも似たり寄ったりの商品を、あとは”より安く”というだけの競争で、ここではサービス業である旅行業でも”スケールメリット”が働いて、いかに大量に販売して安く仕入れるかという勝負になります。ガラパゴス化しないためにはこの勝負に飛び込んでいかなければならないというわけで、我々のように小っちゃい組織は”淘汰”される以外に道はなさそうです。

 旅行の場合、汎用性が高い企画を考えても、そうでない企画を考えてもそれほど大きくコストが変わってくることが無いという特殊性があります。フリータイム主体のツアーを除けば、大きなコストの差は付加価値そのものの差となってきます。ユーザーの経験値が高くなれば、この付加価値の差をくみ取って旅行会社選びができるようになると思います。この旅行会社選びについては次回少し触れてみましょう。

 ところで、ガラパゴスが”淘汰”されるという事自体が”想像”の産物だと思いませんか。ガラパゴス諸島はそれでも今のところ存在していますし、1000年後には人間が”淘汰”されて、日本がハイブリッドイグアナの楽園になっているかもしれないではないですか。

 そんな、ハイブリッドイグアナの楽園を夢見つつ、我々はこれからもがんばってガラパゴス化を推進していきたいと思います。


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