犬っころ
あなた心ってその耳の上にあるって思ってない?
じゃ誰かを好きになると胸がときめいたり
何かこみ上げてきてあわてるのはなぜ?
心って内臓にもあるのよ頭や脳だけじゃない
あなたのその間抜けな一物は内臓器官なの
外に飛び出しちゃった心の一部なのよ
女のオマンコは内臓そのものよね
だから男よりずっと心で感じるの
でも心に入られるのって苦痛でもあるのよ
たいていの女が優しくしてねというわけ
話を元に戻すと
あなたが女心がわからないのは
あなたのせいばかりじゃなくて
そんなわけで
もともと心を感じる機能が男は女より劣っているのよ
それを補うために脳で考えようとするのね
可哀想なものね
心はここにあるのに
あなたはいつもそれに触れているのに
彼女の心がわからないとあなたはいう
彼女はね、なぜあなたがわからないか
それがわからないのよ、わかる?
聞こえていたよ
狭い2DKだからな
またくだらないご託を並べていたんだろ
あのお喋りが
話半分に聴いておけよ
俺が思うに
お前がまずいのは
女と犬っころは同じだ
それをいつまでたっても弁えないことだ
女と犬っころとの違いはな
犬っころは口紅を塗らないくらいなもんだ
お前は犬っころを拾ったのをときどき忘れちまう
そのくせ拾うときに何を思ったかをいつまでも覚えていて
グジグジ考えこみ自分を責めている
そんなことより拾ってしまったことが大事なんだ
その前後に何を考えたか、ではなくな
拾ったら、お前の傍に居つくもんだ
居ついたら、面倒みてやらなくちゃならん
拾ったのを後悔しているんなら
捨てるしかない、わかるか?
お前は拾われた犬っころが喜んでいると思えず
後悔しているのではないかといつも気にしている
それだけならまだしも
犬っころに拾われてよかったか
それで幸せなのかとしょっちゅう訊いている
俺なんかよりずっと利口なはずなのに
お前の頭には砂が詰まっているのかと思うよ
そんなことは一目見りゃあわかるじゃないか
黒光りした鼻を鳴らして懸命に尻尾振って
切なそうにお前を見上げているだろうが
お前はそれを見かけだけだと納得せず
心の裡を知りたがり探ろうとしている
犬っころは何がいけないのかわからず
自分の尻尾を追いかけてぐるぐる
気が狂ったように回ってる
俺にいわせれば苛めているだけだ
もしそれが狙いだとしたら
お前はゾッとするやつだと思わなくちゃならない
さらにお前がややこしいのは
犬っころに自分を捨ててくれと頼んでいることだ
それを対等な関係と勘違いしている
それはな、ただ自分が犬っころになろうとしているだけだ
俺もお前も犬っころにはなれない、なりたくてもな
俺はなりたくもないが
彼女はお前が拾ってきた犬っころなんだ
お前が選んだんだよ、犬っころが選んだんじゃない
手招きして頭を撫でて腹をさすって
俺の処に来いといったのはお前だろ?
くだらないことをいうな
彼女は人間で犬っころじゃないのは当たり前だ
犬っころは人間じゃない
でも、女は犬っころなんだよ
傍に置くことも捨てることもできないなら
いっそ俺がきれいさっぱり殺してやろうか
いま家に一人でいるんだろ
心配するな本当に殺しはしないさ
ただな、彼女に電話しろよ
俺がいまから行くってな
2時間ほどここで待っていろよ
まあ、俺にまかせておけ
悪いようにはしないから
(3/21/2002)
あなた心ってその耳の上にあるって思ってない?
じゃ誰かを好きになると胸がときめいたり
何かこみ上げてきてあわてるのはなぜ?
心って内臓にもあるのよ頭や脳だけじゃない
あなたのその間抜けな一物は内臓器官なの
外に飛び出しちゃった心の一部なのよ
女のオマンコは内臓そのものよね
だから男よりずっと心で感じるの
でも心に入られるのって苦痛でもあるのよ
たいていの女が優しくしてねというわけ
話を元に戻すと
あなたが女心がわからないのは
あなたのせいばかりじゃなくて
そんなわけで
もともと心を感じる機能が男は女より劣っているのよ
それを補うために脳で考えようとするのね
可哀想なものね
心はここにあるのに
あなたはいつもそれに触れているのに
彼女の心がわからないとあなたはいう
彼女はね、なぜあなたがわからないか
それがわからないのよ、わかる?
聞こえていたよ
狭い2DKだからな
またくだらないご託を並べていたんだろ
あのお喋りが
話半分に聴いておけよ
俺が思うに
お前がまずいのは
女と犬っころは同じだ
それをいつまでたっても弁えないことだ
女と犬っころとの違いはな
犬っころは口紅を塗らないくらいなもんだ
お前は犬っころを拾ったのをときどき忘れちまう
そのくせ拾うときに何を思ったかをいつまでも覚えていて
グジグジ考えこみ自分を責めている
そんなことより拾ってしまったことが大事なんだ
その前後に何を考えたか、ではなくな
拾ったら、お前の傍に居つくもんだ
居ついたら、面倒みてやらなくちゃならん
拾ったのを後悔しているんなら
捨てるしかない、わかるか?
お前は拾われた犬っころが喜んでいると思えず
後悔しているのではないかといつも気にしている
それだけならまだしも
犬っころに拾われてよかったか
それで幸せなのかとしょっちゅう訊いている
俺なんかよりずっと利口なはずなのに
お前の頭には砂が詰まっているのかと思うよ
そんなことは一目見りゃあわかるじゃないか
黒光りした鼻を鳴らして懸命に尻尾振って
切なそうにお前を見上げているだろうが
お前はそれを見かけだけだと納得せず
心の裡を知りたがり探ろうとしている
犬っころは何がいけないのかわからず
自分の尻尾を追いかけてぐるぐる
気が狂ったように回ってる
俺にいわせれば苛めているだけだ
もしそれが狙いだとしたら
お前はゾッとするやつだと思わなくちゃならない
さらにお前がややこしいのは
犬っころに自分を捨ててくれと頼んでいることだ
それを対等な関係と勘違いしている
それはな、ただ自分が犬っころになろうとしているだけだ
俺もお前も犬っころにはなれない、なりたくてもな
俺はなりたくもないが
彼女はお前が拾ってきた犬っころなんだ
お前が選んだんだよ、犬っころが選んだんじゃない
手招きして頭を撫でて腹をさすって
俺の処に来いといったのはお前だろ?
くだらないことをいうな
彼女は人間で犬っころじゃないのは当たり前だ
犬っころは人間じゃない
でも、女は犬っころなんだよ
傍に置くことも捨てることもできないなら
いっそ俺がきれいさっぱり殺してやろうか
いま家に一人でいるんだろ
心配するな本当に殺しはしないさ
ただな、彼女に電話しろよ
俺がいまから行くってな
2時間ほどここで待っていろよ
まあ、俺にまかせておけ
悪いようにはしないから
(3/21/2002)
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