立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日が続いております。
風邪をひきやすい時期でもありますので、皆さんもお気をつけ下さい。
絵葉書は子どもから大人まで幅広く親しまれておりました。
今ほど印刷物が溢れておらず、
インターネットはもちろんテレビもなかった時代、
色鮮やかな絵葉書にどれほど心躍らせたことでしょう。
特に流行に敏感だった子どもたちの人気獲得のため、
多くの出版会社から活躍中だった、挿絵画家の絵葉書が発行されました。
帆船 春の夜の夢
娯楽雑誌は大正から昭和初期の間に多数出版され、
生活水準が高まるのと同時に、様々なジャンルの雑誌が刊行されました。
児童文学などを主に扱った、少年・少女向け雑誌もその一つでした。
子どもたちは主人公らが繰り広げる、
勇ましい冒険や美しい青春物語に夢中になりました。
そして文に添えられた数々の挿絵も、雑誌の人気を支えておりました。
物語のイメージを視覚化することで、
彼らの姿をよりリアルに想像することができたのです。
海辺のこども 岩の2人
加藤まさをも、そんな人気挿絵画家の一人でした。
大学時代に挿絵画家としてデビューし、
彼が主に『少女倶楽部』などの少女向け雑誌にて活躍。
人気を博した抒情画の特徴でもある、郷愁と哀切を伴う作風は、
繊細な心の移り変わりを詩情豊かに表現しておりました。
もの悲しさを宿した揺れ動く瞳を持つ上品な姿に、
当時の読者たちは深く共感を抱いたことでしょう。
谷のゆり
少女たちの心情を美しくメルヘンチックに表現した抒情画は、
通り過ぎる思春期の寂しさと、それを見守る優しさが、
胸を打つ作品に仕上げているのかもしれません。
次回も素敵な絵葉書を紹介します。
お楽しみに!
次回は3月5日の予定です