(プロ野球の「日本シリーズ」で検索して、このページに辿りついてしまった方、ごめんなさい)
10月17日(木)A級順位戦(大阪)、21日(日)JT日本シリーズ(名古屋)、23日(火)24日(水)竜王戦第2局(福岡県福津市)……ハードスケジュール過ぎない?
今日(22日)も前夜祭があるだろうし……
昨日の日本シリーズの対渡辺戦は攻め倒されそうなところを、切っ先をかわしながら反撃するという将棋。難解で面白い将棋だった。難解な将棋を勝ち切るという将棋が続いており、『羽生衰退説』の声を打ち消すような最近の羽生竜王だ。
将棋については書きたいことが山積しているにも拘らず、予定外の本記事を書いている。≪私の執筆(←たいそうな言い方だなあ)のエネルギーは、やはり、“○しさ”なんだなあ≫と、改めて実感。(勝敗は既にご存知の方の方が多いと思われますが、敢えて明記しないのは、初見の方や、この先、何かの間違いで、この記事に辿りついた方にとっては、勝敗を知らない方が楽しめると思ったからです。私の記事で楽しめるかどうかは疑問は残りますが)
第0図の局面は、図に至る手順は違うが竜王戦第1局(10月11日、12日・羽生-広瀬)と同一局面。ただし、竜王戦では羽生竜王が先手で、本局は後手を持っている。また、渡辺棋王も▲渡辺棋王-△豊島八段戦(2017年12月、順位戦A級、肩書は当時)で、この局面を経験していている(渡辺勝ち)。
対豊島戦も本局も渡辺棋王は図から▲3五歩と仕掛ける。「△8一飛とされては仕掛けにくくなります」と対豊島戦での感想がある。
一方、竜王戦では羽生竜王は▲5六銀と上がり、以下△8一飛に▲6六歩△同歩▲同銀と動いている。(以下△5四銀▲5八玉△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛▲7五歩と進行)
本局は▲3五歩以下、△同歩▲4五桂△2二銀▲2四歩△同歩▲7五歩(第1図)と大きく動くが、これは対豊島戦と同じ手順。
第1図で豊島八段(当時)は△8四飛。以下▲7一角△5二金▲7四歩△同銀▲2四飛△4四角▲同飛△同歩▲6四角△4五歩▲7三角成△8一飛▲8二角成△同飛▲同馬と大きく振り替わる展開(渡辺棋王は“互角”の感触)
本局の羽生竜王は△8一飛。以下▲7四歩△同銀に渡辺棋王は▲2四飛と保留していた2四の歩を取る。この手は後手の7四の銀当たりになっている。
これに対し、羽生竜王は△4四角と反撃の味を見せながら、飛車の横利きを遮って銀取りを受ける。
本局の△4四角は銀当たりを受けるのが第一の角打ちだが、羽生竜王は攻めておきながらぼんやりとした(特に厳しい狙いがあるわけではない)角を打って、手を渡すことが多い。
後に効いてくる味のある角打ちであることが多いが、働かずに負担になることも多いような気がする……。「盤上の角」対「持ち角」は、持ち角に分があると言われている。(手番であれば)“いつでも”“どこでも”打てるという潜在能力が大きい。もちろん、盤上の角の働きが素晴らしく局面をリードできることもあるが、実戦的には、角を持たれている側は、角打ちに対して常に注意を払う必要があり、大変である。
第2図以下▲2九飛に△7六歩と打って▲8八銀と銀を引かせて壁形を強いる。4四角の効果だが、図に乗って△7五銀と出ると▲7四歩と桂頭に打たれる手が痛い。そうでなくても7四の銀自体、浮き駒であるし、後手の2二の銀が壁銀、さらに、▲3三歩の叩きがいつでもある。
そこで△2四歩。
先手飛車の利きを遮断して、過激な攻めを予防した手であるが、只だ。もちろん、うっかりではなく、▲2四飛に△2三銀と先手を取り、▲2九飛に△2四歩と1歩を犠牲に銀冠を構築させようというのだ。本譜もそのように進んだ。
これに対し、渡辺棋王は▲5六銀。≪後手からは“腰の入った攻め”はない≫と見切って、銀を進出させ、“腰の入った攻め”を目指す。
後手も▲5六銀には△8六歩▲同歩▲同飛と飛先交換して△8四飛と桂頭をカバーしておくのが味が良いが、現地に帯同していた井上慶太九段が「(8筋の歩交換には)▲3三歩△同桂▲同桂成△同角▲5四桂△同歩▲6四角という王手飛車の筋を気にしたのかもしれません」と指摘している。
確かに、上記のように進むのは後手が悪そう。かと言って、▲5四桂に△5二玉▲6二桂成△同玉と辛抱するのも嬉しくない。また、最初の▲3三歩に△3一金や△2二金とかわすのも勝てる気がしない。
そこで、羽生竜王は△3六歩と揺さぶりを掛ける。対して▲3九飛とこの歩を取りに行く渡辺棋王。形勢はほぼ互角だと思われるが、渡辺棋王の指し手は自然さ、悠然さを感じる。
歩取りを見せられて、羽生竜王は△6六歩▲同歩△同角と動く。渡辺棋王は▲3六歩。歩を取られては、羽生竜王も行かざるを得ない。△8六歩▲同歩と8筋の突き捨てを入れて、△4四歩。歩交換をして角を6六に移動させ、角の居た地点に歩を突いて桂取りを掛ける(第4図)。手順の動きだが、“目一杯”の動きに見える。
3三に飛車と桂が利き、持駒も角と歩が6枚も。いよいよ、“腰の入った攻め”が開始されそう。嫌な予感しかしなかった。
10月17日(木)A級順位戦(大阪)、21日(日)JT日本シリーズ(名古屋)、23日(火)24日(水)竜王戦第2局(福岡県福津市)……ハードスケジュール過ぎない?
今日(22日)も前夜祭があるだろうし……
昨日の日本シリーズの対渡辺戦は攻め倒されそうなところを、切っ先をかわしながら反撃するという将棋。難解で面白い将棋だった。難解な将棋を勝ち切るという将棋が続いており、『羽生衰退説』の声を打ち消すような最近の羽生竜王だ。
将棋については書きたいことが山積しているにも拘らず、予定外の本記事を書いている。≪私の執筆(←たいそうな言い方だなあ)のエネルギーは、やはり、“○しさ”なんだなあ≫と、改めて実感。(勝敗は既にご存知の方の方が多いと思われますが、敢えて明記しないのは、初見の方や、この先、何かの間違いで、この記事に辿りついた方にとっては、勝敗を知らない方が楽しめると思ったからです。私の記事で楽しめるかどうかは疑問は残りますが)
第0図の局面は、図に至る手順は違うが竜王戦第1局(10月11日、12日・羽生-広瀬)と同一局面。ただし、竜王戦では羽生竜王が先手で、本局は後手を持っている。また、渡辺棋王も▲渡辺棋王-△豊島八段戦(2017年12月、順位戦A級、肩書は当時)で、この局面を経験していている(渡辺勝ち)。
対豊島戦も本局も渡辺棋王は図から▲3五歩と仕掛ける。「△8一飛とされては仕掛けにくくなります」と対豊島戦での感想がある。
一方、竜王戦では羽生竜王は▲5六銀と上がり、以下△8一飛に▲6六歩△同歩▲同銀と動いている。(以下△5四銀▲5八玉△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛▲7五歩と進行)
本局は▲3五歩以下、△同歩▲4五桂△2二銀▲2四歩△同歩▲7五歩(第1図)と大きく動くが、これは対豊島戦と同じ手順。
第1図で豊島八段(当時)は△8四飛。以下▲7一角△5二金▲7四歩△同銀▲2四飛△4四角▲同飛△同歩▲6四角△4五歩▲7三角成△8一飛▲8二角成△同飛▲同馬と大きく振り替わる展開(渡辺棋王は“互角”の感触)
本局の羽生竜王は△8一飛。以下▲7四歩△同銀に渡辺棋王は▲2四飛と保留していた2四の歩を取る。この手は後手の7四の銀当たりになっている。
これに対し、羽生竜王は△4四角と反撃の味を見せながら、飛車の横利きを遮って銀取りを受ける。
本局の△4四角は銀当たりを受けるのが第一の角打ちだが、羽生竜王は攻めておきながらぼんやりとした(特に厳しい狙いがあるわけではない)角を打って、手を渡すことが多い。
後に効いてくる味のある角打ちであることが多いが、働かずに負担になることも多いような気がする……。「盤上の角」対「持ち角」は、持ち角に分があると言われている。(手番であれば)“いつでも”“どこでも”打てるという潜在能力が大きい。もちろん、盤上の角の働きが素晴らしく局面をリードできることもあるが、実戦的には、角を持たれている側は、角打ちに対して常に注意を払う必要があり、大変である。
第2図以下▲2九飛に△7六歩と打って▲8八銀と銀を引かせて壁形を強いる。4四角の効果だが、図に乗って△7五銀と出ると▲7四歩と桂頭に打たれる手が痛い。そうでなくても7四の銀自体、浮き駒であるし、後手の2二の銀が壁銀、さらに、▲3三歩の叩きがいつでもある。
そこで△2四歩。
先手飛車の利きを遮断して、過激な攻めを予防した手であるが、只だ。もちろん、うっかりではなく、▲2四飛に△2三銀と先手を取り、▲2九飛に△2四歩と1歩を犠牲に銀冠を構築させようというのだ。本譜もそのように進んだ。
これに対し、渡辺棋王は▲5六銀。≪後手からは“腰の入った攻め”はない≫と見切って、銀を進出させ、“腰の入った攻め”を目指す。
後手も▲5六銀には△8六歩▲同歩▲同飛と飛先交換して△8四飛と桂頭をカバーしておくのが味が良いが、現地に帯同していた井上慶太九段が「(8筋の歩交換には)▲3三歩△同桂▲同桂成△同角▲5四桂△同歩▲6四角という王手飛車の筋を気にしたのかもしれません」と指摘している。
確かに、上記のように進むのは後手が悪そう。かと言って、▲5四桂に△5二玉▲6二桂成△同玉と辛抱するのも嬉しくない。また、最初の▲3三歩に△3一金や△2二金とかわすのも勝てる気がしない。
そこで、羽生竜王は△3六歩と揺さぶりを掛ける。対して▲3九飛とこの歩を取りに行く渡辺棋王。形勢はほぼ互角だと思われるが、渡辺棋王の指し手は自然さ、悠然さを感じる。
歩取りを見せられて、羽生竜王は△6六歩▲同歩△同角と動く。渡辺棋王は▲3六歩。歩を取られては、羽生竜王も行かざるを得ない。△8六歩▲同歩と8筋の突き捨てを入れて、△4四歩。歩交換をして角を6六に移動させ、角の居た地点に歩を突いて桂取りを掛ける(第4図)。手順の動きだが、“目一杯”の動きに見える。
3三に飛車と桂が利き、持駒も角と歩が6枚も。いよいよ、“腰の入った攻め”が開始されそう。嫌な予感しかしなかった。
今回コメントしたのは英さんがこの記事で一度羽生名人と表記していたからです。羽生ファンの僕としても、名人や二冠の肩書をまた得てほしいと思います(決して竜王の響きが気に入らない訳ではない)。
お忙しいとは思いますが、英さんが時間の許す限り放電記事を公開すれば(全部ではないにせよ何なら将棋以外でも)僕は一読者として目を通しますので、これからもお気軽にご放電下さい。
>度々コメントを催促(モチベーションになるのは重々承知しているので、別に卑しいと言う指摘ではないです)する記事を拝見
お恥ずかしいです。気持ちを汲み取ってくださり、ありがとうございます。
今回の動機(エネルギー)は「悔しさ」です。本当は、竜王戦第1局や順位戦(対稲葉八段)についても書きたいことがたくさんあるのですが、勝利した嬉しさで、自己完結してしまいます。
負けた時は、悔しくて放電しないと気が収まらない(笑)
>英さんの勝数と活躍度による最優秀棋士の記事もとても好きで、毎年細かく目を通していますが、集計が大変な事も明らかなので安直に催促もしませんでした。
嬉しいお言葉です。
途絶えている年度を含めて、集計したいのですが……なかなか大変なので、手を付けることができません。
羽生竜王が防衛すれば、うれしくて書くかもしれません。でも、催促を受けたので、今、溜まっている記事をある程度消化できれば、取り掛かりたいです。
>今回コメントしたのは英さんがこの記事で一度羽生名人と表記していたからです。
あぁ、やってしまいましたね。
実は、今記事で「渡辺竜王」と3度ほど打ちかけて、打ち直しました。「渡辺棋王」と「羽生竜王」を続けて打つのは、羽生ファンでありながら、いまだに抵抗があります。
今回私が間違えましたが、「羽生名人」と書いても間違いとならないよう、名人位にも復帰してほしいモノです。
今回、西芝さんのコメントで大きなエネルギーを頂いたので、頑張って放電していきたいと思います。ありがとうございました。
白状しますと、「西芝」「お久しぶりです」(←コメントのタイトル)「過激なコメント」
「西芝」さんというお名前の方とやり取りした記憶はある。
「過激なコメント」…そんなイメージがおぼろげにあるが、嫌な気分になったというイメージはない。
で、「お久しぶり」……どのくらい前だったのだろうか?
大変失礼とは思ったのですが、西芝さんを特定できずにレスしました。
本来ならば、前回のコメントを読んで、しっかり向き合ってお返事をするべきでした。
という訳で、ログインしてコメント官吏のページを開き、コメントの一覧を辿りました。
……2~3年前くらいかなと思ったら、5年前でした。コメント一覧の1ページの表示数は50コメントなのですが、55ページ目にありました。
あ、いえ、恩着せがましく「苦労した」ということを知らせたいのではなく(いえ、その気持ちも30%ほどあるかも)、そんな前から、私のブログにつき合ってくださったことが嬉しいのです。
おそらく、呆れてしまうような記事も多数あったと思います。これからも変な記事を書いてしまうと思いますが、寛容な気持ちでおつきあいください。
僕が将棋にハマったのは2011年の夏で、過去ログも漁ったので定かではありませんが、英さんのブログを見つけたのは2012年頃だと思います。それ以降の将棋記事は全部目を通してる筈ですし、スポーツや気象、ドラマなども気まぐれ(割と波が激しい)で開いたりしています。
新たな視点に感心したり、同調する/自分の中でモヤモヤしてた事を上手く言葉にした記事こそ見ますが、呆れるような記事は読んだ記憶がないですねー。(単にそういう記事を読んでも都合よく忘れている、認知バイアス?なのかも知れませんが)
>これかな?と思った候補をサイト内検索したら出ず、ssayさんのブログで一度使用したものでした。
そうなんですよ。「サイト内検索」は便利なんですが、コメントはカバーしていません。編集画面にログインしても、コメントについては検索・探索が及びません。何とかして欲しいです。
gooブログは来年3月にリニューアルするようです。gooブログのスタッフは、「色々よくなる」「使いやすくなる」「便利になる」と謳っており、「ご期待ください」とおっしゃっていますが、普段の身勝手振り(トラックバックの終了など種々の機能停止)や、迂闊さ(メンテするたびにトラブルが発生する)を思うと、不安でいっぱいです。
>英さんのブログを見つけたのは2012年頃だと思います。それ以降の将棋記事は全部目を通してる筈ですし、スポーツや気象、ドラマなども気まぐれ(割と波が激しい)で開いたりしています。
それはありがとうございます。うれしいです。
>新たな視点に感心したり、同調する/自分の中でモヤモヤしてた事を上手く言葉にした記事こそ見ますが、呆れるような記事は読んだ記憶がないですねー。(単にそういう記事を読んでも都合よく忘れている、認知バイアス?なのかも知れませんが)
お褒めの言葉、嬉しいです。
「単にそういう記事を読んでも都合よく忘れている、認知バイアス?なのかも知れませんが」……これについては、「記憶に残るような酷い記事がなかった」と解釈させてください。
では、これからもよろしくお願いします。