高校駅伝(男子)は全員が粘り強く走った鹿児島実業が初優勝しました。
★第4中継所(4区→5区)でのミス
ここで少なくとも3チームが中継ミスでタイムロスした。タイムロスはなかったもののギリギリで間に合ったチームもかなり目についた。
これがランナーが小差でなだれ込み、しかも順位の予想がつきにくい第1中継地点ならあり得る(それでもあってはいけない)のですが、レースの流れも落ち着き、各チームの間隔もあり、道幅も十分あるこの地点でのタスキ渡しのミスというのは、普通あり得ない。しかも、3チームも。
チーム(ランナー)のミスとしてよくあるのは、前ランナーが予想以上の走りをして、想定以上の順にで来てしまったパターンだが、3チームも続出しまったというのは、運営側に責任があると考えるのが妥当だ。
で、中継所の運営状況を検証すると、一番目立つのは、マイクで中継所に向かってくるチームのナンバーをコールする声。これが大きくはっきり聞こえるのでOKのようだが、問題なのはそのタイミング。コールされてから中継所に到着するまでの時間はなんと平均8秒(距離にすると50m弱)。たった8秒では、中継地点の脇に待機していてウインドブレーカーなどを脱ぎ捨て地点にスタンバイできるギリギリの時間だ。
この前の中継所の第4中継所では、およそ1分10秒前にコールがなされていて、中継地点のラインには5~8チームほど並んで待機している状態だった。これに対し、第5中継所では、中継地点で待ち受けるランナーはほとんどおらず、中継地点にスタンバイして構える間もなくタスキリレーが行われていた。
とにかく50m前でのコールでは遅すぎる。それでもう一度チェックしてみると、大きな声(音声)のコールとは別に、違うナンバーをコールする声が聞こえる。しかし、この声は先の声と比べると、非常に小さく聞き取るのが難しい。なので、ほとんど機能しておらず、ラインに待機するチームもいない状態だったのだろう。
もしかすると、50m前の最終コールがされるまで道路には出るなという指示があったのかもしれない。それにしても、前中継所と中継方式が大きく異なるのはおかしい。ストレートに言えば、50m前コールは不必要というか邪魔だと思う。
確かに、大会運営は大変だ。競技(試合)そのものの審判も大変だし、大会進行、天候による変更の判断、弁当や救護の手配、開会式の来賓の紹介、表彰式の準備など、本当に大変で、参加者としては運営者には非常に感謝しなければならない。
ではあるが、選手の努力をふいにしてしまう運営はあってはならない。要改善。
★レースの感想(1区の役割)
優勝した鹿児島実業、2区が不調だったが、全員粘り強く走り、最終区での逆転は
見事だった。4区にタスキが渡った時は、トップと1分14秒差(約400m)。留学生の圧倒的な走りに見る見る背中が小さくなった中、踏みとどまり、あきらめずコツコツ差を詰めていった走りはゾクゾクした。
2位世羅高校、4位仙台育英、6位青森山田は留学生が目立ったが、他の選手も非常に頑張り上位入賞(最後の最後に逆転された世羅高校にとっては「上位入賞(準優勝)」という成績は悔しさいっぱいだろうが)。
また、3位九州学院は常時上位争い(5位以上)を繰り広げる総合力の高さを見せ、須磨学園は1、2区1位と好スタートを切ったが、3区の不調が響き、後半盛り返したものの5位に留まった。佐久長聖、田村も穴のない走りで入賞を果たした。
さて、レース前は須磨学園と鹿児島実業が優勝を争うと見られていた。須磨学園は県予選で全国トップのタイムを出し、5000m平均タイムもトップ、さらに大エース(西池選手)も擁している。駅伝どころ兵庫県代表でもある(兵庫県は西脇工業、報徳学園を破らないと全国へ行けない)。
鹿児島実業も予選タイム2位、平均タイム2位(両要素とも須磨学園にほとんど引けを取っていない)、エースが5人もいるのが心強いという評判だった。
実際、1区西池、2区山本が共に区間賞で3区にトップでタスキを渡した時はこのままいくかと思われる。
しかし、私は1区の西池選手の走り方には大いに疑問を感じていた。彼は「大エース」と称されるほどの実力の持ち主、高校長距離においては日本人トップと見られている。
当日の彼の走りは、序盤ほぼ最後尾に位置し、中盤からは、レースの流れに対応できるよう、また、いつでもレースを支配できるように前列に位置を上げた。そして6.5キロ過ぎからペースを上げ続け、残り300mでスパート、29分35秒で区間賞を獲得した。
中継地点では高々とガッツポーズ(チームメイトを鼓舞する意味もあったのだろう)を取っていたので、思い描いたレースが出来たのだろう。
「自分の走りにこだわって、冷静に走れた」と満足そうにインタビューに答えている。
序盤ゆっくり入って集団についていき力を温存し、中盤から徐々にペースを上げるのは、自分が一番発揮しやすいレース展開で、一番間違いの少ないペース配分だ。確かに、トップだし、タイムも想定タイムで、自分の力を発揮できたと思われる。
しかし、駅伝の1区はタイムを出せばよい、1位でタスキを渡せばいいというものではない。特に大エースの場合は、他のチーム(特にライバルチーム)にどれだけ差をつけるかが、問題なのだ。
彼のペース配分は彼の力を発揮できるものであると同時に、他の選手の能力も発揮させるものだった。レース序盤がスローペースだったので、中盤から徐々にペースを上げても彼についていけた者は多かった。残り3キロで7人に絞られたものの、残り2キロでも6人、残り1キロでも4人の集団(3人についてこられた)のままだった。結局、13位までが30秒以内でタスキを渡している。
大エースの1区の走りとしては物足りない成果と言えよう。最初から飛ばして、できれば2位、3位とは20秒~30秒差をつけ、10位辺りには50秒差ぐらいつけたいところだった。もちろん、あまり飛ばし過ぎて、後半足が止まる危険性もあるが、後半、多少負荷を覚悟する感じでハイペースを維持して、いくつかのライバルチームを潰しておきたかった。
彼の描いたペース配分は10キロを10キロとして走る、あるいは、9キロに感じさせるもので、そうではなく、他のランナーに10キロを11キロや12キロに感じさせるものであるべきだった。結果として、皆が十分に力を発揮できた。どのライバルチームも西池とこの差なら「御の字」と考えたのではないだろうか。
彼としては、仲間の走力を信じ、トップで渡すのが第一命題と考えた結果かもしれない。
1区で出遅れて、後の区間に悪影響を及ぼし1区が致命傷になる場合もある。駅伝、特に1区は難しい。
★第4中継所(4区→5区)でのミス
ここで少なくとも3チームが中継ミスでタイムロスした。タイムロスはなかったもののギリギリで間に合ったチームもかなり目についた。
これがランナーが小差でなだれ込み、しかも順位の予想がつきにくい第1中継地点ならあり得る(それでもあってはいけない)のですが、レースの流れも落ち着き、各チームの間隔もあり、道幅も十分あるこの地点でのタスキ渡しのミスというのは、普通あり得ない。しかも、3チームも。
チーム(ランナー)のミスとしてよくあるのは、前ランナーが予想以上の走りをして、想定以上の順にで来てしまったパターンだが、3チームも続出しまったというのは、運営側に責任があると考えるのが妥当だ。
で、中継所の運営状況を検証すると、一番目立つのは、マイクで中継所に向かってくるチームのナンバーをコールする声。これが大きくはっきり聞こえるのでOKのようだが、問題なのはそのタイミング。コールされてから中継所に到着するまでの時間はなんと平均8秒(距離にすると50m弱)。たった8秒では、中継地点の脇に待機していてウインドブレーカーなどを脱ぎ捨て地点にスタンバイできるギリギリの時間だ。
この前の中継所の第4中継所では、およそ1分10秒前にコールがなされていて、中継地点のラインには5~8チームほど並んで待機している状態だった。これに対し、第5中継所では、中継地点で待ち受けるランナーはほとんどおらず、中継地点にスタンバイして構える間もなくタスキリレーが行われていた。
とにかく50m前でのコールでは遅すぎる。それでもう一度チェックしてみると、大きな声(音声)のコールとは別に、違うナンバーをコールする声が聞こえる。しかし、この声は先の声と比べると、非常に小さく聞き取るのが難しい。なので、ほとんど機能しておらず、ラインに待機するチームもいない状態だったのだろう。
もしかすると、50m前の最終コールがされるまで道路には出るなという指示があったのかもしれない。それにしても、前中継所と中継方式が大きく異なるのはおかしい。ストレートに言えば、50m前コールは不必要というか邪魔だと思う。
確かに、大会運営は大変だ。競技(試合)そのものの審判も大変だし、大会進行、天候による変更の判断、弁当や救護の手配、開会式の来賓の紹介、表彰式の準備など、本当に大変で、参加者としては運営者には非常に感謝しなければならない。
ではあるが、選手の努力をふいにしてしまう運営はあってはならない。要改善。
★レースの感想(1区の役割)
優勝した鹿児島実業、2区が不調だったが、全員粘り強く走り、最終区での逆転は
見事だった。4区にタスキが渡った時は、トップと1分14秒差(約400m)。留学生の圧倒的な走りに見る見る背中が小さくなった中、踏みとどまり、あきらめずコツコツ差を詰めていった走りはゾクゾクした。
2位世羅高校、4位仙台育英、6位青森山田は留学生が目立ったが、他の選手も非常に頑張り上位入賞(最後の最後に逆転された世羅高校にとっては「上位入賞(準優勝)」という成績は悔しさいっぱいだろうが)。
また、3位九州学院は常時上位争い(5位以上)を繰り広げる総合力の高さを見せ、須磨学園は1、2区1位と好スタートを切ったが、3区の不調が響き、後半盛り返したものの5位に留まった。佐久長聖、田村も穴のない走りで入賞を果たした。
さて、レース前は須磨学園と鹿児島実業が優勝を争うと見られていた。須磨学園は県予選で全国トップのタイムを出し、5000m平均タイムもトップ、さらに大エース(西池選手)も擁している。駅伝どころ兵庫県代表でもある(兵庫県は西脇工業、報徳学園を破らないと全国へ行けない)。
鹿児島実業も予選タイム2位、平均タイム2位(両要素とも須磨学園にほとんど引けを取っていない)、エースが5人もいるのが心強いという評判だった。
実際、1区西池、2区山本が共に区間賞で3区にトップでタスキを渡した時はこのままいくかと思われる。
しかし、私は1区の西池選手の走り方には大いに疑問を感じていた。彼は「大エース」と称されるほどの実力の持ち主、高校長距離においては日本人トップと見られている。
当日の彼の走りは、序盤ほぼ最後尾に位置し、中盤からは、レースの流れに対応できるよう、また、いつでもレースを支配できるように前列に位置を上げた。そして6.5キロ過ぎからペースを上げ続け、残り300mでスパート、29分35秒で区間賞を獲得した。
中継地点では高々とガッツポーズ(チームメイトを鼓舞する意味もあったのだろう)を取っていたので、思い描いたレースが出来たのだろう。
「自分の走りにこだわって、冷静に走れた」と満足そうにインタビューに答えている。
序盤ゆっくり入って集団についていき力を温存し、中盤から徐々にペースを上げるのは、自分が一番発揮しやすいレース展開で、一番間違いの少ないペース配分だ。確かに、トップだし、タイムも想定タイムで、自分の力を発揮できたと思われる。
しかし、駅伝の1区はタイムを出せばよい、1位でタスキを渡せばいいというものではない。特に大エースの場合は、他のチーム(特にライバルチーム)にどれだけ差をつけるかが、問題なのだ。
彼のペース配分は彼の力を発揮できるものであると同時に、他の選手の能力も発揮させるものだった。レース序盤がスローペースだったので、中盤から徐々にペースを上げても彼についていけた者は多かった。残り3キロで7人に絞られたものの、残り2キロでも6人、残り1キロでも4人の集団(3人についてこられた)のままだった。結局、13位までが30秒以内でタスキを渡している。
大エースの1区の走りとしては物足りない成果と言えよう。最初から飛ばして、できれば2位、3位とは20秒~30秒差をつけ、10位辺りには50秒差ぐらいつけたいところだった。もちろん、あまり飛ばし過ぎて、後半足が止まる危険性もあるが、後半、多少負荷を覚悟する感じでハイペースを維持して、いくつかのライバルチームを潰しておきたかった。
彼の描いたペース配分は10キロを10キロとして走る、あるいは、9キロに感じさせるもので、そうではなく、他のランナーに10キロを11キロや12キロに感じさせるものであるべきだった。結果として、皆が十分に力を発揮できた。どのライバルチームも西池とこの差なら「御の字」と考えたのではないだろうか。
彼としては、仲間の走力を信じ、トップで渡すのが第一命題と考えた結果かもしれない。
1区で出遅れて、後の区間に悪影響を及ぼし1区が致命傷になる場合もある。駅伝、特に1区は難しい。
タスキ渡しについては、各チームの責任というのは基本的にはそう思います。ただ、他の中継所に比べて、あまりにも混乱していたので、記事にしました。
中継区域で待ち受けるランナーがあまりにも少なく、ギリギリでタスキ渡しが完了できたチームが多かったです。
「コールされるまで控え場所から離れるな」と言う指示を正直に守ったチームが失敗したのかもしれません。とにかく、コールが遅すぎました。
都道府県対抗男子駅伝でも、タスキリレーのトラブルが多発したことがありました。
『役員多すぎ?』(09年1月20日)
http://blog.goo.ne.jp/ei666/e/f1486de03ff1561ad1c508dce79e5c77
『役員多すぎ【補足】』(09年1月22日)
http://blog.goo.ne.jp/ei666/e/1b433e2d59da8e23039cf3f89d5af20b
とにかく、両大会ともひとつの中継点だけトラブルが多発するというのは、運営側に原因が大きいような気がします。
もちろん、りかねんさんがおっしゃるように、そういうことを踏まえて、駅伝を完遂するのを目指すのが指導者なのでしょう。
でも出るのが遅れたチーム側にも若干問題があり、4区は長い区間なので3区の順位やタイム差は付添いの者が確認して選手に伝えておかなければなりません。
選手はその情報を基に4区の選手の走力を勘案してどの位の順位、タイム差で来るのかを予測し、役員に呼ばれなくともジャケットは脱いで準備しておくべきです。
遅れなかったチームはそれがきちんとできていたということでしょう。まあこれは指導者の責任でもありますね。練習を見るだけが指導ではありません。
1区の須磨学園の選手の行動についても全く同感です。最初から1区区間賞のタイトルしか眼中になかったような走りですね。区間賞を3区間も取りながら5位に沈んだのはブレーキとなった3区の選手の責任だけではありません。