これを観ながら、まさに
ダルデンヌ兄弟の「少年と自転車」を思い出したという(笑)
「チャッピー」70点★★★★
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2016年、南アフリカ・ヨハネスブルグ。
悪化する治安に対抗するため
警察はロボットの警官を動員していた。
その開発者であるディオン(デーヴ・パテル)は
さらなる研究を重ね、
自分で考え、成長する人工知能(AI)ロボットの開発に成功する。
が、その矢先に彼は
ストリートギャングに誘拐され
ギャングのもとでAIロボットを起動させることになる。
生まれたての赤ん坊のようなロボットに
ギャングの女性は「チャッピー」と名付け、教育しようとするのだが――?!
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「第9地区」「エリジウム」そして
新作「エイリアン」の監督就任が決まった
ヨハネスブルグ出身、
ニール・ブロムカンプ監督の新作です。
まずこの映画、
監督に無断で残酷描写をカットしたとか、いや断ったとかで
問題になっており
たしかに無許可修正ならば問題ですが
でも
もともとこの映画に興味を持っていたなら
それで「観ない」のはもったいないと思う。
オリジナルと見比べてないから
ホントのところはわからないけど
正直
「え?あの部分?」くらいなんじゃないかなと思うし
(実はよく考えると「いやな感じ」「残酷」につながりそうなフラグは多々あったりするんですけどね~)
なによりも監督が意図したものは
十分に伝わってると思う。
逆にワシ、
「かわいそうな人工知能ロボットの運命」なんて、
苦手題材だし
「人工知能ロボットが暴走するのか?」
「愛されることを願って、でも叶わずに
人間の両親を殺すことになっちゃったりとかするの?」とか
浅~いレベルの想像が、そのへんだったんですが(マジ浅っ!苦笑)
観てみたら
これが意外と思わぬところに、落ちた。
「エリジウム」より全然いいじゃん!という(笑)
「第9地区」のテイストに近く
苦くても、苦いには意味がある、という作品でした。
たしかに
無垢な赤ん坊同然のチャッピーが
人間の子どもたちにいじめられるシーンとか
ひとりぼっちのチャッピーに犬が寄ってきて
愛おしそうになでるシーンとか
中盤までは
「ああ……きたよ……」という方向に行ってる感じだし
そういう話が苦手だという人に
あえて「絶対におすすめ!」とは言わないけど
ただ
観れば絶対に、想像している
「かわいそうっぽい」のイメージを超えてくると思います。
この話が伝えることって
つまるところ
「子どもには、よき大人と、環境と、教育が必要」ってことだと思うんですよねえ。
子どもは大人の言うことに
怖ろしいほどにすぐ影響され素直に吸収してしまう。
犯罪を教え込まれれば、それを悪だと思わずに
犯罪者に育ってしまう。
「シティ・オブ・ゴット」のような
ブラジルの少年犯罪しかり、
ダルデンヌ兄弟監督の「少年と自転車」で
主人公の少年がいい大人に出会って、ちょっといい方向に行きかけるのに
不良先輩の家に居場所を見つけると
今度はあっさりワルい方向へ行ってしまう・・・・・・っていうのを
思い出したわけです。
そんなの
すごく当たり前のことだし
日本でだって起こってることなんですが
無垢なロボットとして擬人化することで
マンガみたいなわかりやすさのなかで
ハッとする本質に気づかされる、という。
ラストも、意外な方向に行って
いい感じでした。
★5/23(土)から全国で公開。
「チャッピー」公式サイト