・山羊Goat やぎ
近年に需要が見込まれる山羊についてです。
ヤギ赤肉は高タンパク質、低脂肪で鉄、カルニチン含量もヤギ肉>ラム肉(50~170㎎)>牛肉(50~150㎎)>豚肉>鶏肉(5~10㎎)の順に高く、 さらに強い抗酸化作用のあるアンセリンを多く含 んで100g中にヤギ 202mg,ウシ40~90mg,ブタロース20mg、カツオ・鮪1g程度です。筋肉における呼吸を活性化させることから、筋力運動に重要な働きをすることが知られています。
乳の大部分は世界で生産する家畜の牛乳で、山羊乳は2%程度に過ぎません。日本では、第二次世界大戦後に乳用山羊の飼育頭数が昭和32年(1957年)には約70万頭(沖縄を除く)と増えましたが、現在の飼育頭数は3万頭に満たない状況でます。
以前には栄養不足であった母親は、乳児にヤギ乳を与え育てていたこともあるようです。山羊乳の脂肪3.6%、脂肪球の大きさが牛乳より小さいのが特徴で牛乳アレルギーの人でも飲める場合があるといわれます。
人乳の初乳Colostrum(たん白質15g~2g、脂肪5g~3g、乳糖2g~6g、灰分1g~0.3g/100g中)、成乳・常乳Normal milk(エネルギー65kcal、たん白質1.1g、脂肪3g、乳糖7g、灰分0.2g/100g中)です。
◇やぎ赤肉生100g中でエネルギー99kcal、水分75.4g、タンパク質21.9g、脂質1.5g、炭水化物0.2g、灰分1.0g、ナトリウム45mg、カリウム310mg、カルシウム7mg、マグネシウム25mg、リン170mg、鉄3.8mg、亜鉛4.7mg、銅0.11mg、マンガン0.02mg、
ビタミンA効力:3μg、ビタミンD:0μg、ビタミンE:1.0mg、ビタミンK:2μg、ビタミンB1:0.07mg、ビタミンB2:0.28mg、ナイアシン11.0mg、ビタミンB6:0.26mg、ビタミンB12:2.8μg、葉酸2μg、パントテン酸0.45mg、ビタミンC1mg、飽和脂肪酸0.38g、一価不飽和脂肪酸0.35g、多価不飽和脂肪酸0.18g(n-3系0.05g・n-6系0.14g)、食塩相当量0.1gを含む。
◇山羊乳100g中でエネルギー57kcal、水分88.0g、タンパク質3.1g、脂質3.6g、炭水化物4.5g、灰分0.8g、ナトリウム35mg、カリウム220mg、カルシウム120mg、マグネシウム12mg、リン90mg、鉄0.1mg、亜鉛0.3mg、銅Trmg、マンガンTrmg、
ビタミンA効力:36μg、ビタミンD:0μg、ビタミンE:0.1mg、ビタミンK:2μg、ビタミンB1:0.04mg、ビタミンB2:0.14mg、ナイアシン0.9mg、ビタミンB6:0.04mg、ビタミンB12:0μg、葉酸1μg、パントテン酸0.39mg、ビタミンC1mg、飽和脂肪酸2.19g、一価不飽和脂肪酸0.77g、多価不飽和脂肪酸0.09g(n-3系0.03g・n-6系0.07g)、食塩相当量0.1gを含む。
◇やぎナチュラルチーズ100g中でエネルギー280kcal、水分52.9g、タンパク質20.6g、脂質21.7g、炭水化物2.7g、灰分2.2g、ナトリウム480mg、カリウム260mg、カルシウム130mg、マグネシウム20mg、リン270mg、鉄0.1mg、亜鉛0.5mg、銅0.07mg、マンガン0.03mg、
ビタミンA効力:290μg、ビタミンD:0.3μg、ビタミンE:0.4mg、ビタミンK:10μg、ビタミンB1:0.09mg、ビタミンB2:0.88mg、ナイアシン6.3mg、ビタミンB6:0.23mg、ビタミンB12:0.3μg、葉酸100μg、パントテン酸1.16mg、ビタミンC-mg、飽和脂肪酸13.37g、一価不飽和脂肪酸4.88g、多価不飽和脂肪酸0.74g(n-3系0.14g・n-6系0.60g)、食塩相当量1.2gを含む。
ヤギ乳は牛乳よりも成分的にヒトの母乳に近く、人の乳児には 山羊ミルクのタンパク質(カゼイン)のほうが牛乳より優秀といえます。さらに牛乳アレルギーでもヤギ乳は安全に飲めるというのです。乳の脂肪球が小さく、胃内で形成する凝乳が軟らかいことによります。
乳タンパク質の主成分であるカゼインには、α-S1-カゼイン(アレルギー物質)というタンパク質で、牛乳(約900mg/100g)であり、ヤギ乳(約100mg/100g)にはこれが微量なのです。また乳清中の主要タンパク質β-ラクトグロブリンは人乳には含まずヤギ乳と牛乳とでは化学的・物理的性質が異なります。最近の研究によると、これらのタンパク質が牛乳アレルギーの原因物質(アレルゲン)であるとを報告しています。乳清に含むβ-ラクトグロブリン(Beta-lactoglobulin)は、加熱によって軽減するようです。さらに、エネルギー代謝に関与するタウリンがヤギ乳113μmole//100mlには牛乳(2~5μmole//100ml)の約20倍含むというのです。
ヤギ乳の独特ニオイは多く含む中鎖脂肪酸(カプリン酸)であるがニオイの元で、白色の針状結晶で、水にほとんど溶けず、特有の酸敗臭、腐敗臭が感じられます。
ヒトの母乳や牛乳に含むカプリン酸(デカン酸decanoic acid)の量は100g中で人乳37㎎、牛乳約99㎎、ヒツジ乳、ヤギ乳には260mgと多く含みます。カプリン酸の語源は、ラテン語で山羊を意味するCapra aegagrusに由来しています。
海外ではヤギ乳のチーズはシェーブルチーズ:Goat milk cheeseと呼ばれ、シェーブルChèvresとはフランス語でヤギを意味しています。チーズの加工で、中鎖脂肪酸のオクタン酸octanoic acid(カプリル酸caprylic acid:C8)山羊乳75mg、山羊チーズ640mg、デカン酸decanoic acid(カプリン酸capric acid:C10) 山羊乳260mg、山羊チーズ1500mg、ドデカン酸dodecanoic acid(ラウリン酸lauric acid:C12) 山羊乳120mg、山羊チーズ780mg/100g中を含みます。
カプリン酸Capric acid(デカン酸Decanoic acidC10-0:飽和脂肪酸)は特有の酸味の元となり、チーズの風味の元になっているのです。
海外では、主に加工利用で、ヤギ乳チーズは牛乳チーズより高額の価格で販売しているようです。
乳として牛乳アレルギーの人のための代用乳、乳幼児の離乳食として注目を集めつつあります。ニオイ対策に、スパイス、コーヒー、ココアパウダー、蜂蜜、レモン、きな粉などを加えると飲みやすくなるようです。
牛乳とヤギの乳は、全体的な脂肪の組成は似ていますが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸(デカン酸decanoic acid 10-0)の中鎖脂肪酸はヤギの乳に多く含まれ、特徴的な酸っぱい風味の元になっているのです。
温めて提供しているシェーブルチーズは、シェーブル・ショーとして知られます。
欧米では牛の方が一般的に多く用いられていますが、その他の地域の多くではヤギ乳で作ったチーズの方が好まれているようです。シェーブルチーズは冷凍環境が限られている場所で作られることが多いため、古いチーズは腐敗を防止するために塩漬けにして保存しています。結果として、シェーブルチーズ、特にフェタチーズ等には濃い塩味としているものにもなります。
シェーブルチーズは何千年も作られてきており、最古の乳製品の1つと言えるのではといわれています。最も簡単なものでは、生の乳を天然に凝固させ、脱水、成形してカードにします。乳を凝固させるために酢やレモン等の酸やレンネットが用いられます。シェーブルチーズは世界中で作られているのです。チーズクロスにカードを入れて数日間暖かい場所に吊るして脱水、保存した後、塩に漬けて皮を作り、数ヶ月間冷たい洞窟等で保存です。
シェーブルチーズは熱すると柔らかくなりますが、牛のチーズのように溶けることはないようです。皮のついたシェーブルチーズは、パンに塗るためにオーブンで焼かれて調理されることもあります。
イタリアではヤギは貧者の家畜として見られていたため、牛乳以外の他種の乳によるチーズほど発展しておらず種類は少なめのようです。
2000年代に入りヤギ乳のチーズが最近では、食の多様化、農村部での高齢化問題、中山間地の有効利用などで山羊が見直されています。徐々に増え始めているよです。
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