・ノロウイルスNorovirusのろういるす
ノロウイルスは、食品中で増えず、汚染ウイルス量も少ないため、食品からの検出は非常に困難でした。
ノロウイルスのヒトに対する最小ウイルス感染量は100個以下との報告があります。発症者においては、糞便に1g当たり10億個以上、おう吐物に1g当たり100万個程度のウイルスが存在します。さらにノロウイルスに感染しても症状が現れない「不顕性感染者」もいます。
DNA遺伝子を増幅する高感度な方法(RT-PCR法Reverse Transcription -Polymerase Chain Reaction)逆転写ポリメラーゼ連鎖反を開発したことにより、食中毒Food poisonings の原因と推定される食品から直接検出できるようになりました。
RT(Reverse Transcription:逆転写反応)の頭文字RTがPCR法の前に付けられPCR法は、DNA遺伝子の一部分を試験管内で増幅する方法です。
ノロウイルスの遺伝子はRNAで、そのままではPCR法を行うことができないので最初に逆転写反応(RT)によりRNAから相補的DNAを合成し、その後にPCRを行う検査です。ノロウイルスの他にインフルエンザウイルス、SARSコロナウイルスなどのRNAウイルスの検査に使われています。
食中毒事例におけるカキ、シジミ、タイラ貝、ホタテ貝、ウチムラサキ(おおあさり)などで二枚貝の関与と関連食品からのノロウイルス検出が多く見られています。
食中毒としての事例が多い牡蠣は、主に蓄積する消化器官全体を含み生食するためと思われます。
二枚貝の関連がない食中毒事例では、食材の調理過程でのウイルス汚染が考えられます。
感染性胃腸炎患者からのウイルス・細菌検出状況では、年齢群別では、10歳未満の報告数がほぼ80%を占めています。
ノロウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、サルモネラ、カンピロバクター、毒素原生大腸菌(ETEC)、ビブリオ・フルビアリスなどを主に検出しています。
ノロウイルスは、11,12,1,2,3,5月に検出しており、決して冬場だけとは限らないようです。加熱が充分でなかったりすると、近年では年間を通して食中毒の危険性があるのです。
刺身などの生食と、さらに二次汚染には注意が必要です。
特に手洗い、調理器具の取り扱いは、丁寧に慎重に行いましょう。
ウイルスに感染しているヒトがノロウイルスなどをトイレの床・便座・便器・水洗レバー・ドアノブ・スイッチに付着させた場合、次に使用するヒトを汚染させてしまいます。
トイレに充満した糞便の微粒子がトイレの中からヒトが退出する時、ヒトの身体にまとわりついて汚染源となることもあります。
清掃・消毒は、次亜塩素酸ナトリウムなどによる消毒剤を用いるのが最も効果的です。アルコール消毒は効果ないといわれています。
食中毒の発生しやすい二枚貝の生食摂取、夏場、不特定多数のヒトが使用しているトイレ、外出後では、丁寧な手洗いが必要です。
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