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労災保険法の問題を解いてみました!!
ずーと毎日6月まで勤めていたため、何も勉強しようという気持ちが起きらなかったんだが、残務整理も終わり、気が付いたら9月の終わりになっていた。「ビジネス実務法務検定試験」が12月8日(あと2か月である)にあると聞いて、この試験の存在は気にはなっていたのだが、どんな試験なのかも分からず、まずはテキストを買って勉強することにした。各資格の学校では、このビジネス検定試験は、講座を開講しているのだが、結構受講料が高くて、現在「無職」の身からすると手に届かないので、独学でやることにした。この「ビジネス実務検定試験」、一般に「ビジ法」といわれているらしい。今回で34回となっているので、年2回行うことから、まだ新しい試験と言えるのだが、結構、話題となっている試験だそうだ。主催は東京商工会議所主催であるが、なによりも各県の商工会議所が試験会場となるため、宮崎などに住んでいる者など他の試験(一部)のように福岡市までいかなくていいのがいい。
試験は、3級、2級、1級とあり、一般的には、3級から上を目指すのであるが、思い切って2級から始めることにした。内容的には、企業活動に携わる者としての法律関係を扱うので、商法、民法、独禁法、今はやりの食品表示偽装でおなじみの不正競争防止法、食品衛生法、健康増進法、JAS法と景品表示法、裁判になったらということであろうか、民事訴訟法、行政の許認可であろうか、行政手続法など、広範囲にわたっているのである。試験の問われ方は、2級の場合は、5つの選択肢から一つの答えを選び出す問題であるが(社会保険労務士を受験された方は、5肢択一問題だと思って差し支えない)、2時間で40問解くことになるので、各問約3分で解かなきゃならないのだが、問題文の途中に誤った言い方が隠されているのではなくて、文の最後が真逆の言い方がされているのが多いので、どこかの競走試験のように、さほど解くのは困難ではない。
さて、その法律の中に、「会社と従業員との法律関係」として、労働法、社会保険法があるのだが、私、一応、社会保険労務士を名のる者であり、なんなく解けるはずなのであり、たしかに難しい問題ではない。ただ、仕事を行っていくうえで、一般的に常識的に考えると、ふと間違えかねない、えっつどんなだったのかと考えるような良い問題である。まさに「実務法務検定試験」なのである。その中から、一例を紹介します。第28回の問題です。
労災法に関する次の1~5の記述のうち、その内容が最も適切なものを一つだけ選びなさい。
1、A社の労働者であるBは、A社の業務上の命令を遂行するために出張に赴いた際に、交通事故に遭い負傷した。この場合のBの負傷は、A社の事業場の施設内において発生したものではないため、労災法の対象にはならない。
これは、ざっくり云って、事業主の支配下の状態で起きた、業務上の事故であれば、労災事故と認められる。出張中でも、全く業務と関係ないことを行っているのでない限り、事業者の業務支配下であり、認められる。したがって、×である。
2、A社の労働者であるBは、所要労働時間内にA社の事業場内において、業務に従事していたが、用便のために手洗所に向かう途中で転倒して負傷した。この場合のBの負傷は、実際に業務を行っている間に発生したものではないため、労災法に基づく保険給付の対象とはならない。
確かに、業務を行っているのではないので、労災事故とは認めないとあり、さもありなんとも考えるが、生理的な、一時的な行為であり、例外的に認定することになっている。昼休みに外で食事中の事故は認められないが、これとは違うのである。したがって、×である。
3、A社の労働者であるBは、就業規則で兼業が禁止されているにも関わらず、別の事業主の事業場であるC社事業場にも2重に就労している。Bは、A社事業場での業務終了後、C社事業場へ直接向かうために、合理的な経路を移動中に交通事故に遭い負傷した。この場合のBの負傷は、兼業禁止規定に違反しているため、労災法に基づく保険給付の対象とはならない。
旧法では、2重就労に対応することができなかったのですが、最近2重就労の実態が増えてきたため、改正法では、2番目に事業場に向かう場合も、「通勤災害」と認められます。どこの事業場に基づく労災の給付支給になるかというと2番目の事業所に向かうと途中なので、2番目の事業所での申請になるわけです。1番目の事業所では、就業規則違反ですので、1番目の事業所ではそういう就業実態は認めないでしょうが、その問題とは別に、2番目の事業所で申請をすることができるのです。したがって、×。
4、A社にアルバイトとして勤務しているBは、所定労働時間内にA社の事業場内において業務に従事している際に、作業施設の不具合が原因で負傷した。この場合であっても、アルバイトであるBの負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならない。
雇用保険や健康保険法等の社会保険と違い、労災法においては、労働者であれば、だれでも保険給付の対象となります。労働者保護のために設けられているのであり、アルバイトや非常勤等でも、労働者として給付の対象になります。したがって、×。
5、A社の労働者であるBは、A社事業場における業務終了後の帰宅途中に、体力維持のため、通常利用している通勤経路外に所在するスポーツクラブに立ち寄った。Bは当該スポーツクラブ内で2時間にわたりトレーニングをしている最中に、トレーニング機器の不具合により負傷した。この場合のBの負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならない。
一般的には、通勤途上、道をそれた場合は、そこから、通勤災害の対象とはなりません。(ただし、日常の買い物や、お医者さんに立ち寄る行為などについては、そこの部分については、通勤途上とはなりませんが、その後普段の通勤に復帰したときは、そこからは、通勤途上となります。)。したがって、○。
ゆえに、正解肢は、5である。
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労災保険法の問題を解いてみました!!
ずーと毎日6月まで勤めていたため、何も勉強しようという気持ちが起きらなかったんだが、残務整理も終わり、気が付いたら9月の終わりになっていた。「ビジネス実務法務検定試験」が12月8日(あと2か月である)にあると聞いて、この試験の存在は気にはなっていたのだが、どんな試験なのかも分からず、まずはテキストを買って勉強することにした。各資格の学校では、このビジネス検定試験は、講座を開講しているのだが、結構受講料が高くて、現在「無職」の身からすると手に届かないので、独学でやることにした。この「ビジネス実務検定試験」、一般に「ビジ法」といわれているらしい。今回で34回となっているので、年2回行うことから、まだ新しい試験と言えるのだが、結構、話題となっている試験だそうだ。主催は東京商工会議所主催であるが、なによりも各県の商工会議所が試験会場となるため、宮崎などに住んでいる者など他の試験(一部)のように福岡市までいかなくていいのがいい。
試験は、3級、2級、1級とあり、一般的には、3級から上を目指すのであるが、思い切って2級から始めることにした。内容的には、企業活動に携わる者としての法律関係を扱うので、商法、民法、独禁法、今はやりの食品表示偽装でおなじみの不正競争防止法、食品衛生法、健康増進法、JAS法と景品表示法、裁判になったらということであろうか、民事訴訟法、行政の許認可であろうか、行政手続法など、広範囲にわたっているのである。試験の問われ方は、2級の場合は、5つの選択肢から一つの答えを選び出す問題であるが(社会保険労務士を受験された方は、5肢択一問題だと思って差し支えない)、2時間で40問解くことになるので、各問約3分で解かなきゃならないのだが、問題文の途中に誤った言い方が隠されているのではなくて、文の最後が真逆の言い方がされているのが多いので、どこかの競走試験のように、さほど解くのは困難ではない。
さて、その法律の中に、「会社と従業員との法律関係」として、労働法、社会保険法があるのだが、私、一応、社会保険労務士を名のる者であり、なんなく解けるはずなのであり、たしかに難しい問題ではない。ただ、仕事を行っていくうえで、一般的に常識的に考えると、ふと間違えかねない、えっつどんなだったのかと考えるような良い問題である。まさに「実務法務検定試験」なのである。その中から、一例を紹介します。第28回の問題です。
労災法に関する次の1~5の記述のうち、その内容が最も適切なものを一つだけ選びなさい。
1、A社の労働者であるBは、A社の業務上の命令を遂行するために出張に赴いた際に、交通事故に遭い負傷した。この場合のBの負傷は、A社の事業場の施設内において発生したものではないため、労災法の対象にはならない。
これは、ざっくり云って、事業主の支配下の状態で起きた、業務上の事故であれば、労災事故と認められる。出張中でも、全く業務と関係ないことを行っているのでない限り、事業者の業務支配下であり、認められる。したがって、×である。
2、A社の労働者であるBは、所要労働時間内にA社の事業場内において、業務に従事していたが、用便のために手洗所に向かう途中で転倒して負傷した。この場合のBの負傷は、実際に業務を行っている間に発生したものではないため、労災法に基づく保険給付の対象とはならない。
確かに、業務を行っているのではないので、労災事故とは認めないとあり、さもありなんとも考えるが、生理的な、一時的な行為であり、例外的に認定することになっている。昼休みに外で食事中の事故は認められないが、これとは違うのである。したがって、×である。
3、A社の労働者であるBは、就業規則で兼業が禁止されているにも関わらず、別の事業主の事業場であるC社事業場にも2重に就労している。Bは、A社事業場での業務終了後、C社事業場へ直接向かうために、合理的な経路を移動中に交通事故に遭い負傷した。この場合のBの負傷は、兼業禁止規定に違反しているため、労災法に基づく保険給付の対象とはならない。
旧法では、2重就労に対応することができなかったのですが、最近2重就労の実態が増えてきたため、改正法では、2番目に事業場に向かう場合も、「通勤災害」と認められます。どこの事業場に基づく労災の給付支給になるかというと2番目の事業所に向かうと途中なので、2番目の事業所での申請になるわけです。1番目の事業所では、就業規則違反ですので、1番目の事業所ではそういう就業実態は認めないでしょうが、その問題とは別に、2番目の事業所で申請をすることができるのです。したがって、×。
4、A社にアルバイトとして勤務しているBは、所定労働時間内にA社の事業場内において業務に従事している際に、作業施設の不具合が原因で負傷した。この場合であっても、アルバイトであるBの負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならない。
雇用保険や健康保険法等の社会保険と違い、労災法においては、労働者であれば、だれでも保険給付の対象となります。労働者保護のために設けられているのであり、アルバイトや非常勤等でも、労働者として給付の対象になります。したがって、×。
5、A社の労働者であるBは、A社事業場における業務終了後の帰宅途中に、体力維持のため、通常利用している通勤経路外に所在するスポーツクラブに立ち寄った。Bは当該スポーツクラブ内で2時間にわたりトレーニングをしている最中に、トレーニング機器の不具合により負傷した。この場合のBの負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならない。
一般的には、通勤途上、道をそれた場合は、そこから、通勤災害の対象とはなりません。(ただし、日常の買い物や、お医者さんに立ち寄る行為などについては、そこの部分については、通勤途上とはなりませんが、その後普段の通勤に復帰したときは、そこからは、通勤途上となります。)。したがって、○。
ゆえに、正解肢は、5である。
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