遺族基礎年金は、子のない妻には支給されない。
前回、「社労士受験生への一言」の中で、年金は、経過措置と特例措置の継ぎはぎです、といいました。そのさえたるものが、妻への遺族年金等です。働いている被保険者の夫が死亡した場合に、妻には基本的には遺族厚生年金が支給されますが、国民年金は、「子のある妻」だけに限って支給されます。子のある妻だけが、国民年金と厚生年金の両方から、遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金(厚生年金)をもらえるのです。子のない妻は、遺族厚生年金(厚生年金)だけとなります。
そこで、子のない妻と子のある妻の差があんまりだということで、厚生年金には、中高齢寡婦加算があります。原則として、(1)夫が死亡した当時に40歳以上で65未満であった子のない妻、あるいは(2)夫死亡時に40未満であって、子のある妻として遺族基礎年金をもらっていたが、「その子が高校を卒業する年齢である、18歳の最初の3月31日が到来したこと」などによって、遺族基礎年金が失権したときが、40歳超65歳未満の場合は、中高齢寡婦加算が付きます。この中高年寡婦加算の額は、遺族基礎年金の3/4です。単純にいうと、子のないあるなしの事情に応じて、妻40歳からは、遺族基礎年金の3/4の加算が厚生年金から付くことになります。
65歳に達すれば、もちろん一般的には老齢年金等が出ることになります。これに加え、一定の条件はありますが、昭和31年4月1日以前生まれの者については、さらに、年齢に応じ経過的寡婦加算(厚生年金)なるものが加算されます。
ところが、予算削減の影響と思われますが、19年度からは次のようになりました。簡単に言うと、働いている夫が死亡した当時に、30歳未満の妻が、子がなくて遺族基礎年金を受給できず、遺族厚生年金だけを受給しているときは、その受給権取得日から5年を経過したときは、遺族厚生年金の受給権がなくなります。また、子が高校を卒業する18歳になった年齢になった場合のように、遺族基礎年金の受給権がなくなったときが、妻が30歳前の時には、その遺族基礎年金の受給権がなくなったときから5年を経過したときには、遺族厚生年金もなくなってしまうのです。イメージとして単純化すれば、子があろうとなかろうと30歳前に遺族基礎年金をもらっていないときは、5年経過すれば、遺族厚生年金ももらえなくなるということです。もちろん、思想としては、分かりますし、もっともな言い分です。30歳前に子供がいないか、あるいは手が離れてしまった妻は、家庭にいなくて社会の一員として貢献せよということでしょう。
しかし、おおもとは、たぶん財政的に余裕のなくなった国の措置として、19年にこういう措置がとられたのだとは思います。この夫死亡時の、妻30歳と40歳の年齢の別れ目はなんなんでしょうね。わずか10歳しか離れていないのに、一方では手厚く、一方では厳しく、とても同じ法律の中で行う措置とは思えません。その時々の時代背景により、制度も変わっていきますし、予算がないからと言って、財政破たんという背に腹は代えられない事情はあるのでしょう。健康保険は病院に勤めていた頃から感じていましたが、この年金制度にしても、予算がないことから、取れることろから取れ、出費については出し惜しみの考えが顕著に表れているように思います。特に年金制度においては、こういったその時々の思想により、手直しをするので、同じ人が作るとは限らず、矛盾した「継ぎはぎだらけ」の、行き当たりばったりの「思想」による措置が、あるような気がします。「社会保障と税の一体改革」ということばが、本来示すように、もっと統一的に、根本的に見直す時期が来ているのでしょう。
(なお、遺族基礎年金と遺族厚生年金の比較に絞ってお話ししましたので、国民年金の同様の名称が付いている「寡婦年金」には、申し上げませんでしたが、これは自由業等の1号保険者のみの措置でして、老齢基礎年金の受給資格期間(基本的には被保険者25年)を満たしたにも関わらず、老齢基礎年金の支給を受けずに死亡した場合、夫によって生計を維持し、夫との婚姻関係が10年以上のときの、65歳未満の妻がいた際に、その妻に60歳から65歳までに限って支給するものです。その額は、老齢基礎年金の3/4です。これは老齢年金の3/4となっているように、老齢年金の掛け捨て防止の措置ともいえます。)
前回、「社労士受験生への一言」の中で、年金は、経過措置と特例措置の継ぎはぎです、といいました。そのさえたるものが、妻への遺族年金等です。働いている被保険者の夫が死亡した場合に、妻には基本的には遺族厚生年金が支給されますが、国民年金は、「子のある妻」だけに限って支給されます。子のある妻だけが、国民年金と厚生年金の両方から、遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金(厚生年金)をもらえるのです。子のない妻は、遺族厚生年金(厚生年金)だけとなります。
そこで、子のない妻と子のある妻の差があんまりだということで、厚生年金には、中高齢寡婦加算があります。原則として、(1)夫が死亡した当時に40歳以上で65未満であった子のない妻、あるいは(2)夫死亡時に40未満であって、子のある妻として遺族基礎年金をもらっていたが、「その子が高校を卒業する年齢である、18歳の最初の3月31日が到来したこと」などによって、遺族基礎年金が失権したときが、40歳超65歳未満の場合は、中高齢寡婦加算が付きます。この中高年寡婦加算の額は、遺族基礎年金の3/4です。単純にいうと、子のないあるなしの事情に応じて、妻40歳からは、遺族基礎年金の3/4の加算が厚生年金から付くことになります。
65歳に達すれば、もちろん一般的には老齢年金等が出ることになります。これに加え、一定の条件はありますが、昭和31年4月1日以前生まれの者については、さらに、年齢に応じ経過的寡婦加算(厚生年金)なるものが加算されます。
ところが、予算削減の影響と思われますが、19年度からは次のようになりました。簡単に言うと、働いている夫が死亡した当時に、30歳未満の妻が、子がなくて遺族基礎年金を受給できず、遺族厚生年金だけを受給しているときは、その受給権取得日から5年を経過したときは、遺族厚生年金の受給権がなくなります。また、子が高校を卒業する18歳になった年齢になった場合のように、遺族基礎年金の受給権がなくなったときが、妻が30歳前の時には、その遺族基礎年金の受給権がなくなったときから5年を経過したときには、遺族厚生年金もなくなってしまうのです。イメージとして単純化すれば、子があろうとなかろうと30歳前に遺族基礎年金をもらっていないときは、5年経過すれば、遺族厚生年金ももらえなくなるということです。もちろん、思想としては、分かりますし、もっともな言い分です。30歳前に子供がいないか、あるいは手が離れてしまった妻は、家庭にいなくて社会の一員として貢献せよということでしょう。
しかし、おおもとは、たぶん財政的に余裕のなくなった国の措置として、19年にこういう措置がとられたのだとは思います。この夫死亡時の、妻30歳と40歳の年齢の別れ目はなんなんでしょうね。わずか10歳しか離れていないのに、一方では手厚く、一方では厳しく、とても同じ法律の中で行う措置とは思えません。その時々の時代背景により、制度も変わっていきますし、予算がないからと言って、財政破たんという背に腹は代えられない事情はあるのでしょう。健康保険は病院に勤めていた頃から感じていましたが、この年金制度にしても、予算がないことから、取れることろから取れ、出費については出し惜しみの考えが顕著に表れているように思います。特に年金制度においては、こういったその時々の思想により、手直しをするので、同じ人が作るとは限らず、矛盾した「継ぎはぎだらけ」の、行き当たりばったりの「思想」による措置が、あるような気がします。「社会保障と税の一体改革」ということばが、本来示すように、もっと統一的に、根本的に見直す時期が来ているのでしょう。
(なお、遺族基礎年金と遺族厚生年金の比較に絞ってお話ししましたので、国民年金の同様の名称が付いている「寡婦年金」には、申し上げませんでしたが、これは自由業等の1号保険者のみの措置でして、老齢基礎年金の受給資格期間(基本的には被保険者25年)を満たしたにも関わらず、老齢基礎年金の支給を受けずに死亡した場合、夫によって生計を維持し、夫との婚姻関係が10年以上のときの、65歳未満の妻がいた際に、その妻に60歳から65歳までに限って支給するものです。その額は、老齢基礎年金の3/4です。これは老齢年金の3/4となっているように、老齢年金の掛け捨て防止の措置ともいえます。)
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