今日の実験は昨日書いたとおり、ニトロベンゼンの合成を行った。
●手順
300ml三角フラスコに水5ml、濃硫酸25mlを加えた後、室温にまで温度を下げて濃硝酸15mlを加える。
これが混酸によってニトロニウムイオンを作る工程。
ここで気をつけるのは高校とかでお馴染み、水に硫酸を加えるところ。
硫酸に対して水を入れると希釈熱によって水が突沸して危ないのよ。
因みに水に対して硫酸を入れる正しい手法でも、結構熱が発生するので、フラスコはあっついっす。
この混酸を室温まで下げたら、ベンゼン17mlを投入して、55~60℃を目安にして20分以上反応させる。
55~60℃と言っても、混合すると発熱するので、最初からこの温度にしようとすると80℃ぐらいまで上がっちゃいます(←上げたやつ
まぁでも大丈夫でしょ(ぉ
ここから抽出しまくりで、分液漏斗の大活躍。
まず加熱していた溶液を氷で冷やしながら、フラスコに水70mlを加えて、室温まで下げたものにジエチルエーエル30mlを加えて分液漏斗へ。
分液漏斗をシャコシャコ振って、下の水層を捨てる。
この操作でエーテル層にニトロベンゼンが抽出されて、水槽には混酸が残るわけです。
しかし念には念を、ということで、このエーテル層にもう一度水30mlを加えてシャコシャコ、再び水層を捨てる。
続いて、10%の水酸化ナトリウム水溶液30mlを加えてシャコシャコ、水槽ぽい。
これを水層の色が消えてなくなるまで繰り返す。
大体4回くらいやると水層が透明ぽくなるのです。
これはベンゼンスルホン酸を抜くための操作じゃないかなぁ。
ベンゼンスルホン酸てのはベンゼンに濃硫酸を加えて加熱して合成できるもの。
今回は混酸で濃硫酸を使っているので、残っていた硫酸がベンゼンと反応してしまったんではないか。
故に、これを水酸化ナトリウムで中和して、エーテル層から抜いてるんじゃないかと。
そして最後に飽和食塩水を加えてシャコシャコ、ポイ。
基本的に有機層と水層は混ざらないわけだけど、それでもほんの少し、水と混ざったりしているのです。
この混ざってしまった極わずかな水を抜くために、飽和食塩水を使って抜こうと言うこと。
こうして何回も抽出したニトロベンゼンを含んだエーテル層を50ml三角フラスコに移して、ここに脱水のための無水硫酸ナトリウムを加えてコルク栓をして終了!
↑見づらいけど完成品。黄色です。
ここまで操作は大体午後1時から始めて、4時頃には終了した。
でも終わったのは6時でした。
明日のための実験装置を組んだり、明日提出のDiels-Alder反応実験の反応機構を自称・有機化学苦手の友人に説明していたりしていたのでした。
明日はこのエーテル層に溶けたニトロベンゼンを減圧蒸留で単離精製するの巻です。
●手順
300ml三角フラスコに水5ml、濃硫酸25mlを加えた後、室温にまで温度を下げて濃硝酸15mlを加える。
これが混酸によってニトロニウムイオンを作る工程。
ここで気をつけるのは高校とかでお馴染み、水に硫酸を加えるところ。
硫酸に対して水を入れると希釈熱によって水が突沸して危ないのよ。
因みに水に対して硫酸を入れる正しい手法でも、結構熱が発生するので、フラスコはあっついっす。
この混酸を室温まで下げたら、ベンゼン17mlを投入して、55~60℃を目安にして20分以上反応させる。
55~60℃と言っても、混合すると発熱するので、最初からこの温度にしようとすると80℃ぐらいまで上がっちゃいます(←上げたやつ
まぁでも大丈夫でしょ(ぉ
ここから抽出しまくりで、分液漏斗の大活躍。
まず加熱していた溶液を氷で冷やしながら、フラスコに水70mlを加えて、室温まで下げたものにジエチルエーエル30mlを加えて分液漏斗へ。
分液漏斗をシャコシャコ振って、下の水層を捨てる。
この操作でエーテル層にニトロベンゼンが抽出されて、水槽には混酸が残るわけです。
しかし念には念を、ということで、このエーテル層にもう一度水30mlを加えてシャコシャコ、再び水層を捨てる。
続いて、10%の水酸化ナトリウム水溶液30mlを加えてシャコシャコ、水槽ぽい。
これを水層の色が消えてなくなるまで繰り返す。
大体4回くらいやると水層が透明ぽくなるのです。
これはベンゼンスルホン酸を抜くための操作じゃないかなぁ。
ベンゼンスルホン酸てのはベンゼンに濃硫酸を加えて加熱して合成できるもの。
今回は混酸で濃硫酸を使っているので、残っていた硫酸がベンゼンと反応してしまったんではないか。
故に、これを水酸化ナトリウムで中和して、エーテル層から抜いてるんじゃないかと。
そして最後に飽和食塩水を加えてシャコシャコ、ポイ。
基本的に有機層と水層は混ざらないわけだけど、それでもほんの少し、水と混ざったりしているのです。
この混ざってしまった極わずかな水を抜くために、飽和食塩水を使って抜こうと言うこと。
こうして何回も抽出したニトロベンゼンを含んだエーテル層を50ml三角フラスコに移して、ここに脱水のための無水硫酸ナトリウムを加えてコルク栓をして終了!
↑見づらいけど完成品。黄色です。
ここまで操作は大体午後1時から始めて、4時頃には終了した。
でも終わったのは6時でした。
明日のための実験装置を組んだり、明日提出のDiels-Alder反応実験の反応機構を自称・有機化学苦手の友人に説明していたりしていたのでした。
明日はこのエーテル層に溶けたニトロベンゼンを減圧蒸留で単離精製するの巻です。
まぁ理論上は濃硫酸に濃硝酸入れればいいわけですが、おそらくそのままガチ濃硫酸に濃硝酸を入れちゃうと反応熱がハンパないことになるんでしょうね。
なので、あらかじめ濃硫酸に少量の水を入れることで希硫酸にならない程度にちょびっと薄めて、濃硝酸を入れたときの反応性を下げているのではないかと。
最初からがっつり濃硫酸を冷やしていたら、それはそれで反応性が下がりすぎてニトロソニウムイオンが出てこなさそうですし。
……ってところではないでしょうか。
よろしくおねがいします。
化学苦手な私ですが、
とても参考になりました。
有機実験では大抵「試薬を加えて反応を開始する場面」と「反応を停止する場面」が存在します。
所謂「クエンチ」というやつですが、3で水を加えているのはこの操作のためでしょう。
これをしないと、ニトロ化に必要な活性種、ニトロソニウムイオン(NO2+)だとか、それを作っている濃硝酸、濃硫酸が残ったままになってしまいます。
この状態では、たとえ原料のベンゼンがなくなっていたとしてもまだ「反応が進行中」と見なされるため、これらを無力化する(潰す)ことをしないといけないのです。
この場合だと大量の水を加えれば硝酸、硫酸の濃度は薄くなり、また活性の高いNO2+も潰れるので反応は停止します。
ついでに。
ベンゼンスルホン酸を抜くのはあくまで抽出(分液)の段階です。
そしてこれもあくまでアルカリ性な水溶液を加えて、ベンゼンスルホン酸を塩に中和して「塩」にすることで水に溶けるようにさせて除いています。
また、未反応の「ベンゼン」と「ニトロベンゼン」を分けるのは「精製」という段階で行うため、水を入れただけでは分けることはできません。
蒸留やカラムなどで分けるしかないでしょう。
――ということで。
先日、私も学校でニトロベンゼンの合成の実験をしました。(抽出まではしませんが..)
そこで、質問があります…。
~その前に実験の内容~
①混酸にベンゼンを少量ずつ加える。
②50℃の湯で試験管ごと温める。時々振りながら反応させる。
③反応性生物を水に入れ、ガラス棒でよく混ぜた後、静置する。
実験内容は以上です。
~質問~
③で反応性生物を水に入れるのは、
単にベンゼンとニトロベンゼンを分けるためでなく、
これもベンゼンスルホン酸を抜くためなのでしょうか?
解答お願いします!!!
ここで水を加える操作についてですが、わずかに残った混酸(未反応の硝酸、硫酸)を除くというよりはもっと広く、「水に溶けやすいものを除くため」でしょうか。
混酸もそうかもしれないですけど、この水で分液した後に10%NaOHaqを加えて分液するわけで、未反応の混酸があれば、ここで中和されて除かれると思うんですよ。
「水に溶けやすいもの」の具体的な名前は正直、自分も何があるんだかわからないのですが、有機合成には大抵副生成物がつき物なわけで、何かそういった水に溶けやすい副生成物でもあって、それ除いてるのかな? と。
因みにこのニトロベンゼンの反応では「2,4-ジニトロフェノール」という副生成物もできるらしいです。これは10%NaOHaqで除かれるらしいですが。
とりあえず、操作としては水で分液もしましたけど、学生実験程度のオープンな反応なら、絶対にしないといけない、という操作ではないかもしれませんね。
むしろ重要なのは、抽出するためのエーテル、中和するための10%NaOHaq、脱水のための飽和食塩水、溶媒乾燥のためのNa2SO4でしょう。
有機の反応では水は特に必要でない限りは結構嫌われますからね。
……ということで、参考にならないかもしれませんが、自分の考えとしてはこんなところで。
古い記事に書き込み申し訳ございません。
僕も大学でニトロベンゼンの合成の実験をしました。そこで、書き込みの
>この操作でエーテル層にニトロベンゼンが抽出されて、水槽には混酸が残るわけです。
>しかし念には念を、ということで、このエーテル層にもう一度水30mlを加えてシャコシャコ、再び水層を捨てる。
ですが、もう一度水を加えて水層を捨てる理由は、「混酸がまだ残っている可能性があるから水に溶かしてなくすため」ということでしょうか?
細かいところですが、お答えいただければ幸いです。よろしくお願いします。