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バイパスコンデンサ(通称、パスコン)
使用するICのできるだけ近くに 容量の小さなコンデンサを取り付ける事によって、
① 電源の変動に対して強くなる(回路の動作が安定する)
→ ICが急に大きな電流を使ってもパスコンから供給される
② ICから出るスイッチングノイズを外へ出さないようにする
といった働きを期待して取り付ける 「おまじない」? または「お守り」のような部品です。
使われるコンデンサもいろいろな種類、色々なサイズ がありますが、最近では「積層セラミック」コンデンサ ↓ というのが良く使われます。 (安価、容量が大きくても小型、そして壊れない=劣化が少ない)
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ピン間の幅が ↑ 左側2種類は 2.54mm(狭い) で、 右側2つはその2倍(広い)です。
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どちらが使いやすいか?は、 使ってから自分で判断してください。 どちらにしても 2本の電源ラインをまたぐことは出来ないので(2.54 x 3個分必要)この手の基板には取り付けるのが 少々厄介になります。
でも、かなりコンデンサの大きさが小さくなったものです・・・
昔は、大きな↓セラミック・コンデンサ(積層でないタイプ)が使われることが多かったのですが、
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最近は、滅多に見かけなくなりました。
使う容量としては、人によって、回路によって 0.01uF だったり、0.1uFだったりと まちまちですが、私は主に 104 (0.1uF)を使うようにしています。
これは ↓ 、昔のMZ-80C(シャープのマイコン)の内部基板の写真ですが、黒いICの横に 黄土色の丸い部品がズラズラと並んでいます。 これがパスコンです。(部品の大きさが まちまち なのが笑える)
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実物を確認しましたが、当時も 104 (0.1uF) を使っていました。
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ここで「笑い話」を一席・・・ お付き合いください :
このパスコンを回路図内で描く時、実体配置通りに各ICの近くにパスコンを書くのでは無く、全部まとめて電源コネクタの近くに配置する事が多いです。(あくまで回路図の上だけです: その方が描くのが楽だから)
でも、実際はICの近くに、基板全面にバラバラに、配置しないと パスコンの意味が無くなってしまいます。(この理由はわかりますよネ?)
ある時、かなり古いレトロのマイコン: MZ-80Kという「自分で組み立るキット」のコンピュータを手に入れました。 その中の基板を覗きこんだ時、ビックリしました ・・・ パスコンが全部 電源コネクタの近くに まとまって置かれていたのです。
当時、SHARP(シャープ)では 社内で基板のパターンを作成(アートワークという)していたのでしょうか?。 しかも、パスコンの意味を知らない、かつ 回路図の見方を知らない 技術者がアートワーク作業を行った・・・としか思えない 回路パターンでした。
それが そのまま製品として売られていた事にも驚くし、笑えてきます。 (このミスは 初期タイプの基板のみで、すぐに修正版に変わってしまったので、ある意味 貴重な1台とも言えます)
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さて、現在では
ICがそれほど大量の電流を消費する事も無く、また 昔のD-RAMのように大量のノイズを外に放出するICも滅多に見なくなりました。 ノイズに対する耐性も良くなっていて、正直な所 パスコンが 無くても まともに動作するし、パスコンを入れたからと云って誤動作が収まったという事例も 経験したことがありません。 要は 昔からの癖で 用心のために入れているだけ・・・になって来ています。
そんなパスコンの新しいタイプの提案です。
上の写真で4つ並んだ積層セラミック・コンデンサの左から2番目:もっとも小さいコンデンサと比べても、さらに小さい ↓ (右側)
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面実装タイプのコンデンサです。 (これも積層セラミックで 容量も同じ0.1uF) 大きさは 【2012】サイズといって、長辺2mm、短辺1.2mmです。
くしゃみをすると 何処かに飛んで行ってしまう「小ささ」です。 (笑)
【1608】サイズの もう一回り小さいのが一般的ですが、小さすぎて扱いにくいです。
このサイズだと 基板裏の電源パターンに ピッタリ(ショートもせず 渡せる)です。 ↓ 見えますか?
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ここにそのままハンダ付けしてしまえば、ランドの穴を2つ消費する事も無く、スペースを稼ぐ事ができます。 何より価格が安いです。(わずかですが・・・)
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右上拡大 ↓
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ユニバーサル基板に 手作りの回路をDIYする際、ピンタイプのパスコンを使うより、楽に「手半田」することが出来るのでは?・・・ という 新たしい方法の提案です。
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