今日は私がいつも習っているT先生の師匠・Y先生の家がもうすぐ解体されると聞き、HookTailのKanaさんと一緒に訪ねていきました。
今では誰も住まなくなってしまった廃墟とはいえ、もと呉服屋さんだったので部屋がいくつもあって納戸やら階段やら、賑やかなりし往時を偲ばせる広い広いお屋敷でした。よく映画とかドラマで、廃墟に主人公が立って、目をつぶり、また目を開くと、タイムスリップしてその時代に遡るシーンがあったりするので、私は一度目をつぶったり開いたりして、当時の賑わいの名残を探しながら、お客さんに着物の柄を見せたりするおかみさんや反物を運ぶ丁稚とかを想像してみたりしました。二階の私室に入ると、片隅にはパイプが置かれていました。
既に屋敷に残っていた着物や器は大概の人がもらいうけていたので、「もう、あーたに良さそうなめぼしいもんはなかごたるけど。」と、ちょっと申し訳なさそうなY先生でしたが、本棚には面白そうな本がいっぱい残っていました。
懐かしそうに昔読んだ本を手に取るY先生。「この本はよかもんなぁ。」
私「好きな本だけ選んで、今住んでらっしゃる家に持っていったらどうですか?」
Y先生「いんや!もうすぐこの世からいなくなるんやけ、持っていってどうする?」
Y先生は80代。
よく考えたら、思い出深い屋敷を解体するということは、一つの時代の終焉に立ち会っているわけで、きっといろんな感情があるだろうなと思うと、何か胸が詰まるものがあります。物に対する執着を振り切ろうとするかのごとく、先生は「もういらん!全部捨てる!」と言い張ります。
私「先生、それじゃ、この福沢諭吉の『学問のススメ』とか『弓と禅』をいただきます。」
Y先生「うーん、そうね。これ、これが面白かばい。ちゃんと全巻揃っとるし。」
先生が指さした本は「金瓶梅」でした。
帯には「むせるような愛欲の世界」と書いてあります。
Y先生、ありがとう。しっかり読まさせていただきます。
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今では誰も住まなくなってしまった廃墟とはいえ、もと呉服屋さんだったので部屋がいくつもあって納戸やら階段やら、賑やかなりし往時を偲ばせる広い広いお屋敷でした。よく映画とかドラマで、廃墟に主人公が立って、目をつぶり、また目を開くと、タイムスリップしてその時代に遡るシーンがあったりするので、私は一度目をつぶったり開いたりして、当時の賑わいの名残を探しながら、お客さんに着物の柄を見せたりするおかみさんや反物を運ぶ丁稚とかを想像してみたりしました。二階の私室に入ると、片隅にはパイプが置かれていました。
既に屋敷に残っていた着物や器は大概の人がもらいうけていたので、「もう、あーたに良さそうなめぼしいもんはなかごたるけど。」と、ちょっと申し訳なさそうなY先生でしたが、本棚には面白そうな本がいっぱい残っていました。
懐かしそうに昔読んだ本を手に取るY先生。「この本はよかもんなぁ。」
私「好きな本だけ選んで、今住んでらっしゃる家に持っていったらどうですか?」
Y先生「いんや!もうすぐこの世からいなくなるんやけ、持っていってどうする?」
Y先生は80代。
よく考えたら、思い出深い屋敷を解体するということは、一つの時代の終焉に立ち会っているわけで、きっといろんな感情があるだろうなと思うと、何か胸が詰まるものがあります。物に対する執着を振り切ろうとするかのごとく、先生は「もういらん!全部捨てる!」と言い張ります。
私「先生、それじゃ、この福沢諭吉の『学問のススメ』とか『弓と禅』をいただきます。」
Y先生「うーん、そうね。これ、これが面白かばい。ちゃんと全巻揃っとるし。」
先生が指さした本は「金瓶梅」でした。
帯には「むせるような愛欲の世界」と書いてあります。
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