子宮内膜症はたいへん複雑で理解しにくい疾患である。「子宮内膜症です。」と言われても多くの女性は迷うばかりだ。ネットで検索しようとしても、あふれる情報から自分に合致するものを見つけるのは難しいだろう。
子宮内膜症と言われたときに、まず手にとってほしい本である。2000年に発刊されたので最近の知見は載っていない(卵巣チョコレート嚢胞の悪性化や腹腔鏡下での他臓器内膜症手術や深部病変切除など)が、子宮内膜症について知っておいてほしいことは今でも十分に網羅されている。
診察についてコメントすると、
p191に「望ましい子宮内膜症の診断とは、十分な問診から始まり、内診(必要なら直腸診が加わる)と超音波(エコー)検査へ続きます。」と解説してあり、p196には、触診(外診、内診、直腸診)について述べてある。私は排便痛や性交痛を訴える例や骨盤痛の強い例では必ず直腸診(とくに腟直腸診)をするべきだと思うし、それをしない医師は(この本の言うところの)”Dr.梅”(p193参照)じゃないかと思っている。その他、最近では、MRIゼリー法も有用だ(残念ながら、ここ数年行われてきた検査法なので、この本には記載されていない)。
最近は「治らない」ことが強調されてかえって不安になる人が多いようだが、この本によって「わからない」ことがなくなってくれば、不安も解消されるだろう。
子宮内膜症を指摘された人は、もとより、パートナーや家族にも読んでほしい。
あなたを守る子宮内膜症の本
日本子宮内膜症協会著