漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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冲方丁著「天地明察」覚書・男の生き方

2012-08-25 | 
冲方丁(うぶかたとう)さんの作品は初めてですが、
先日の旅行で満天の星空を見たとき次に読むのはこれにしようと決めたのです。

日本全国津々浦々を回りながらの北極星観測(北極出地)と難解な算術により天の理を解明していく。
膨大な資料と格闘しながら現行の歴よりも正確な大和歴を確立した渋川春海(安井算哲)の物語。

何度も窮地に立たされながら、少しずつ「明察」に近づいていく過程は何十年にもおよぶ。
その間に出会う有能な囲碁打ち、算術家、神道家、政治家、妻となる女性。
政界や世論の動かし方は囲碁の勝負のように何手も先を読みながら動かしていくもののようで、
今の総理のまわりにこんな有能な人材がいればなあ・・・

それにしても「歴」がこんなにも人の生活に関連しているとは思いもかけなかった。
今日が宇宙から見れば二日ずれているといわれても、だからどんな問題があるのか
意識したことがなかったが、この物語を読むと人の生活は宇宙の流れとともにあることを確信する。

誤謬(ごびゆう)という単語を初めて知った。
日常の中ではめったに使わない言葉だが、
Wikipediaの説明を読むと、この物語のストーリーと重なってわくわくする。

(保科正之が埋葬された会津の土津神社(はにつじんじゃ)、知っていれば寄れたところに先日宿をとったのでした)

9月15日には映画が上映されます
今年は金環日食やら月食やらと天体ショーで盛り上がっているので旬な作品では。

冲方丁:1977年2月岐阜県生まれ
ペンネームの由来:暦の用語を並べたもの。生まれたのが1977年(丁巳)で、「丁」は火が爆ぜるという意味だったので、それに対して「冲」(氷が割れる音を意味する言葉)を持ってきた。「方」は職業の意。冷静さと熱意、それを職業にしていくという意味がある(by Wikipedia)