後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔133〕『「10代とともに」語りあう~「異文化」交流を成長の糧に』 (ラボ教育センター新書)には珠玉のことばがちりばめられています。

2017年03月05日 | 図書案内
  私がラボ教育センター(ラボ)のラボ言語教育総合研究所に関わって10年以上になりますが、最近、ラボで編集した一冊の本を手にすることができました。『「10代とともに」語りあう』という本です。

■『「10代とともに」語りあう~「異文化」交流を成長の糧に』 (ラボ教育センター新書) 松山幸雄 , ラボ教育センター (編集) 2011/4/10
〔オビ〕「異文化を理解する」 いま各界で活躍する一流の学者やアスリート、作家、文化人たちが、たどる道は違っても同じ心を抱いて生きてきたことが如実に示される。(鳥越俊太郎)
学者、音楽家、落語家、詩人、教育者、スポーツ選手、宇宙飛行士など、各界で活躍する人々から若い世代に対するメッセージを集めました。国際派を目指す若者や、異文化交流に関心のある方にもおすすめです。 文中メッセージより抜粋“あこがれによって学びを持続する”(佐藤学氏)、“ディズニーランドに行けばアメリカがわかる”(能登路雅子氏)、“楽になるため、いま、苦しむ”(桂歌丸師匠)、“人間の視点だけでものごとを見ないようにしよう”(アーサー・ビナード氏)、“とてつもない人間に出会いなさい”(佐々木毅氏)。


 ラボでは、1984年から機関誌「ラボの世界」に「一〇代とともに」というインタビュー記事を連載しています。ここには音楽家、美術家、武道家、詩人など各界の著名人が数年前までにすでに120名近く登場したそうです。その中から16編を選んで編集したのが本書です。どんな人たちが登場するのかラインアップしてみましょう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
この本を手にする人のために(佐藤学)/若い世代におくるメッセージ(大河内一男)/ことばのちから、ことばのいのち(大岡信)/世界を結ぶ友情の架け橋(山下泰裕)/いまも民話を語り継ぐインドの家族(タゴール暎子)/音楽の意味を問い続けて(一柳慧)/青い地球を宇宙から(若田光一)/言語、物語、そして文化(池上嘉彦)/ディズニーランドを通してみるアメリカ(能登路雅子)/グローバル世界を自分らしく生きる(入江昭)/芸の道も、人の道(桂歌丸)/自分の器を広げる挑戦(佐々木毅)/多面的な価値観で異文化と交流(東洋)/ことばのむこうがわにある詩(アーサー・ビナード)/興味が学習の原動力(福田誠治)/探求的作文の冒険(菅啓次郎)/ほんものは実体験から(大河原良雄)/本書編集委員より(松山幸雄)/「ひとりだちへの旅」としてのラボ国際交流(ラボ教育センター)

 どうですか、錚々たるメンバーでしょう。
 実は、この私もインタビューを受けたことがあります。当時、東京・練馬でテューターとして活躍されていた鵜飼春美さん(現在は名古屋市)と、彼女のパーティのラボっ子たち10人に囲まれてのインタビューでした。メインインタビューアーは確か、当時、会長だった松本輝夫さんでした。この記事には「演劇教育という名の総合学習」というタイトルが付けられました。(1999年12月、208号)
  ところで、本書は手軽な新書版ということで、お出かけ時にポケットに忍ばせると、行き帰りの時間が実に有意義に過ごせること、請け合いです。読み応えのある短編小説を読んでいる気分になるのです。

 巻頭の「この本を手にする人のために」(佐藤学)が圧巻でした。心に響くことばを抜き書きしてみましょう。

「本書は、未来を背負っていまを生きている一〇代の人びとへの学びの讃歌であり、各分野の一線で先人が生みだした文化と知恵の結晶であり、世代を超えて学びあう者の知的な対話です。」(4頁)
「もっとも重要な準備はことばをたいせつにすることです。ことばに対して誠実であることです。日本語を豊かにしておくことです。その成否が外国語の学びを決定すると思います。本書のメッセージのなかには外国語を学ぶうえでたいせつなことが散りばめられています。身体全体で学ぶこと、ことばの文化的背景に関心を寄せること、よき師と出会うこと、どれも貴重な助言です。」(11頁)

 どのページからでも本を開いてみて、自分にしっくりくることばや気に入ったことばを見つけ出すのもおもしろいかも知れません。

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