後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔211〕ドイツの友人から、リーメンシュナイダーなどの中世ドイツ彫刻の分厚い図録・写真集が立て続けに送られてきました。

2019年03月07日 | 図書案内
 昨年末、ベルリンにある世界遺産、ボーデ博物館のジュリアン・シャピュイ副館長から妻に大部な図録を送るとメールがありました。もちろん博物館でまとめ上げた館所蔵の中世彫刻の図録です。1月末頃に送ってくださるというので、その到着を今か今かと首を長くして待っていました。
 その本がついに2月になって届きました。それは600ページをゆうに超す実に巨大なものでずっしりとした重量感がありました。その題名は『BILDWERKE NORDLICH DER ALPEN UND IM ALPENRAUM 1380 bis 1440』(アルプスとアルプス北部の彫刻 1380年から1440年までの)というもので、ジュリアン・シャピュイ博士が前書きを書いています。館の学芸員の分担執筆のようでした。
 シャピュイさんは、2012年に東京国立博物館で「ベルリン国立博物館展」でリーメンシュナイダー作品が4点来たときに監修者として来日した方です。我々がボーデ美術館を訪ねるときは、開館10時に待っていてくださり、カフェで歓談し、博物館島にある数カ所の美術館・博物館のフリーチケットをくださるのが常です。それも4回を数えたでしょうか。
 妻、緑の新刊『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』(丸善プラネット)に厚かましくも彼に巻頭言を書いていただくことを思いついたのは私でした。



 ティルマン・リーメンシュナイダーが生まれたのは1460年頃とされていますから、この本に掲載されているのは彼以前の彫刻ということになります。興味深く丁寧にページをめくりながら、実に豊富な写真をうきうきしながら眺めていきましたが、私が知っている作品は1つしかありませんでした。それはハンス・ムルチャーのマクダラのマリアでした。この作品だけが『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に掲載されています。
 それにしてもこれだけの中世の彫刻が博物館に所蔵されていたとは驚きでした。
 数年前に訪問したとき、係の方にボーデ博物館の収蔵庫に案内されたことがありました。展示されていないリーメンシュナイダー作品を特別に拝観させていただいたのです。収蔵棚には所狭しと作品が陳列されていました。おそらく、今回こうした公開されてない作品も数多く図録に収録されたのでしょう。
 リーメンシュナイダー以前の作品はそのほとんどが作者名が明らかでないため、「○○地方のマイスター」という言い方が多く使われるようです。こうした作品の中にも、実に個性的で表情豊かな彫刻が数多くあるということをこの図録で発見することができました。しばらくはこの図録でたっぷり楽しめそうです。送っていただいたシャピュイさんに感謝したいと思います。

 さて、本日(3月6日)のことでした。またまた巨大な写真集が送られてきました。シュトットガルトの同世代の友人、元警察官ヴィリー・ドイリンガーからでした。どうやらこれは古本屋で手に入れたようです。1983年発刊の『tilman riemenschneider』(Gottfried Sello文、Toni Schneider写真、240ページ)でした。大きさからいえば前書よりさらに幅広です。文章は全体の5分の1程度で、写真集と言ってもいいようです。カラーと白黒が混在していて、これだけ充実したリーメンシュナイダー写真集はなかなかないと妻も言っていました。リーメンシュナイダーの代表作が贅沢なサイズで並んでいます。
 手紙も入っていなかったので、ヴィリーの真意はわかりかねますが、妻への誕生日プレゼントだったのでしょうか。おそらく一生懸命古本屋を探し回ったのではないでしょうか。そういえば、私の自家製の3月のカレンダーの写真はヴィリーがホーエンツォレルン城で腕に鷹を乗せている写真でした。



 さて、ここまできたらもう1冊紹介しましょう。妻の友人の中村英之さんがドイツで発刊まもなく購入して、妻にプレゼントしてくださった本です。
『Tilman RIEMENSCHNEIDER』マチアス・ヴェニガー著、バイエルン国立博物館、208ページ、2017年発行。 



 マチアス・ヴェニガー博士はバイエルン国立博物館の研究者です。妻がバイエルン国立博物館の作品の写真掲載をお願いした方で、昨年の秋、初めてニュルンベルクでお目にかかりました。そのとき妻の3冊目の本を手渡しして、大変喜ばれました。
 彼は、フランケン博物館発行のリーメンシュナイダーの弟子のペーター・デルの図録の主要執筆者で、写真家でもあるのです。この本が今や私たちのバイブルの1冊になっていて、今年の夏にシルヴィアとクラウスの結婚式の後、この本に導かれてペーター・デルとハンス・ラインベルガーの作品巡りをする予定でいるのです。そのときに、ヴェニガー夫妻がお住まいのフライジングでお会いできそうなのです。フライジングは、先日、NHKの「旅するドイツ語」で紹介されたところで、ドイツ最古のビール醸造所があるところとして有名です。どうやら美味しいビールが飲めそうで、今からわくわくしているのです。ツン ボール(乾杯)!


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