明治維新(1868年)から敗戦(1945年)までが77年、敗戦から昨2022年までも丁度77年でした。今年2023年はどのような新しい77年の始まりになるのでしょうか。
2020年、全世界は瞬く間にコロナ禍に見舞われました。2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵略が開始されました。多くの犠牲者を生み、このコロナ禍の中、戦争をしている場合かと私は心の中で叫びました。
岸田政権はウクライナ危機に乗じて、敵基地攻撃能力の保有、防衛費の2%を宣言、原発の再稼働、新増設も公言しています。新しい戦前の始まりか、とどこかの新聞の声の欄にありました。
こんなきな臭い情況のなか、戦前の軍国主義日本とは何だったのか、深く問い返すきっかけになった2本の映画に出合いました。「金子文子と朴烈」と「わが青春つきるとも-伊藤千代子の生涯」です。おすすめの2作品です。
とりわけ素晴らしかったのが『金子文子と朴烈』です。韓国映画で韓国で235万人を動員したといいます。まずはウィキペディアをご覧ください。
◆『金子文子と朴烈』(かねこふみことパクヨル、原題:박열(→朴烈))は、朝鮮と日本で活動したアナキスト(無政府主義者)の朴烈と、朴に共鳴した日本人女性アナキスト金子文子を描いた韓国の歴史映画、伝記映画。(ウィキペディアより)
1923年の関東大震災朝鮮人虐殺事件や朴烈事件がとりあげられている。2017年6月28日韓国で劇場公開され、1週間足らずで観客動員数100万人を記録した。日本では2018年3月9日に第13回大阪アジアン映画祭にて『朴烈 植民地からのアナキスト』の邦題で初公開後、2019年2月に『金子文子と朴烈』と改題されて一般公開された。
大逆事件といえば大杉栄と伊藤野枝が有名ですが、金子文子と朴烈も忘れてはいけないでしょう。鎌田慧さんの名著『大杉栄 自由への疾走』や『大杉榮語録』(いずれも岩波書店)などは読んでいたのですが金子文子と朴烈については無知でした。
韓日の役者が入り乱れての作品でしたが、とりわけ金子文子役のチェ・ヒソが秀逸でした。
23歳で縊死した金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』(岩波文庫)にはぐいぐい引きつけられます。その生い立ちの過酷さと半端でない文章力。
さらに、私設のK文庫から借りてきた3冊の関連本を読み切るつもりでいます。
*『金子文子と朴烈』鑑賞、12月25日、東村山福祉センター、凸凹映画研究会。
瀬戸内寂聴の『余白の春』は事実に基づいた秀逸な伝記小説です。金子文子の獄中手記を読む前に『余白の春』を読むことをお勧めします。金子文子の全体像が良くわかるものになっています。瀬戸内のあとがきによると、管野須賀子のことを『遠い声』として小説に書いていますが、他の雑誌が敬遠するなか掲載してくれたのは鶴見俊輔の『思想の科学』だったそうです。連載が終了したとき鶴見は瀬戸内に今度は金子文子のことを書いてほしいと言ったそうです。その提案を実現したのが『余白の春』でした。そういえば、鶴見の『ひとが生まれる-五人の日本人の肖像』(ちくま文庫)には中浜万次郎、田中正造などとともに金子文子についても書かれていたのでした。読んだはずがうっかり失念していました。そもそもこの本はこのブログでお馴染みの矢部顕さんからいただいたものだったのです。
金子文子の決定版評伝を書いた山田昭次さんは清瀬・憲法九条を守る会のメンバーが良く知る方でした。確かにこの本は金子文子の全生涯・思想を克明に記した決定版評伝に違いありません。膨大な裁判記録なども丁寧に読み解いています。その仕事にはただただ脱帽です。
そして映画「わが青春つきるとも」、鑑賞、11月10日、清瀬けやきホール、映画上映清瀬実行委員会。
上映のチラシと中日新聞の記事を紹介しましょう。
◆女性社会活動家描いた 映画「わが青春つきるとも」中日新聞
2022年5月14日 15時35分 (5月14日 15時40分更新)
昭和初期、「主権在民」や「男女平等」を訴え、思想犯罪者として逮捕された女性の社会活動家を描いた映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯―」が十三日から、名古屋市東区の名演小劇場などで公開されている。
時代は治安維持法が成立した一九二五年ごろ。長野県湖南村(現・諏訪市)出身の千代子(井上百合子)はこの年、東京女子大に入学。「社会科学研究会」の立ち上げに尽力し、社会主義に傾倒する。
無産政党「労働農民党」で活動をしていた浅野(窪塚俊介)と結婚。共産党に入党し、選挙の応援やビラ張りなど活動に本腰を入れたが、政府の弾圧により逮捕され、激しい拷問を受ける。獄中でも女性リーダーとして同志を励ましたが、次第に追い詰められる。
監督は社会派の桂壮三郎。主演の井上は、本作で映画デビューとなった。金田明夫、石丸謙二郎、竹下景子らが脇を固める。(花井康子)
2020年、全世界は瞬く間にコロナ禍に見舞われました。2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵略が開始されました。多くの犠牲者を生み、このコロナ禍の中、戦争をしている場合かと私は心の中で叫びました。
岸田政権はウクライナ危機に乗じて、敵基地攻撃能力の保有、防衛費の2%を宣言、原発の再稼働、新増設も公言しています。新しい戦前の始まりか、とどこかの新聞の声の欄にありました。
こんなきな臭い情況のなか、戦前の軍国主義日本とは何だったのか、深く問い返すきっかけになった2本の映画に出合いました。「金子文子と朴烈」と「わが青春つきるとも-伊藤千代子の生涯」です。おすすめの2作品です。
とりわけ素晴らしかったのが『金子文子と朴烈』です。韓国映画で韓国で235万人を動員したといいます。まずはウィキペディアをご覧ください。
◆『金子文子と朴烈』(かねこふみことパクヨル、原題:박열(→朴烈))は、朝鮮と日本で活動したアナキスト(無政府主義者)の朴烈と、朴に共鳴した日本人女性アナキスト金子文子を描いた韓国の歴史映画、伝記映画。(ウィキペディアより)
1923年の関東大震災朝鮮人虐殺事件や朴烈事件がとりあげられている。2017年6月28日韓国で劇場公開され、1週間足らずで観客動員数100万人を記録した。日本では2018年3月9日に第13回大阪アジアン映画祭にて『朴烈 植民地からのアナキスト』の邦題で初公開後、2019年2月に『金子文子と朴烈』と改題されて一般公開された。
大逆事件といえば大杉栄と伊藤野枝が有名ですが、金子文子と朴烈も忘れてはいけないでしょう。鎌田慧さんの名著『大杉栄 自由への疾走』や『大杉榮語録』(いずれも岩波書店)などは読んでいたのですが金子文子と朴烈については無知でした。
韓日の役者が入り乱れての作品でしたが、とりわけ金子文子役のチェ・ヒソが秀逸でした。
23歳で縊死した金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』(岩波文庫)にはぐいぐい引きつけられます。その生い立ちの過酷さと半端でない文章力。
さらに、私設のK文庫から借りてきた3冊の関連本を読み切るつもりでいます。
*『金子文子と朴烈』鑑賞、12月25日、東村山福祉センター、凸凹映画研究会。
瀬戸内寂聴の『余白の春』は事実に基づいた秀逸な伝記小説です。金子文子の獄中手記を読む前に『余白の春』を読むことをお勧めします。金子文子の全体像が良くわかるものになっています。瀬戸内のあとがきによると、管野須賀子のことを『遠い声』として小説に書いていますが、他の雑誌が敬遠するなか掲載してくれたのは鶴見俊輔の『思想の科学』だったそうです。連載が終了したとき鶴見は瀬戸内に今度は金子文子のことを書いてほしいと言ったそうです。その提案を実現したのが『余白の春』でした。そういえば、鶴見の『ひとが生まれる-五人の日本人の肖像』(ちくま文庫)には中浜万次郎、田中正造などとともに金子文子についても書かれていたのでした。読んだはずがうっかり失念していました。そもそもこの本はこのブログでお馴染みの矢部顕さんからいただいたものだったのです。
金子文子の決定版評伝を書いた山田昭次さんは清瀬・憲法九条を守る会のメンバーが良く知る方でした。確かにこの本は金子文子の全生涯・思想を克明に記した決定版評伝に違いありません。膨大な裁判記録なども丁寧に読み解いています。その仕事にはただただ脱帽です。
そして映画「わが青春つきるとも」、鑑賞、11月10日、清瀬けやきホール、映画上映清瀬実行委員会。
上映のチラシと中日新聞の記事を紹介しましょう。
◆女性社会活動家描いた 映画「わが青春つきるとも」中日新聞
2022年5月14日 15時35分 (5月14日 15時40分更新)
昭和初期、「主権在民」や「男女平等」を訴え、思想犯罪者として逮捕された女性の社会活動家を描いた映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯―」が十三日から、名古屋市東区の名演小劇場などで公開されている。
時代は治安維持法が成立した一九二五年ごろ。長野県湖南村(現・諏訪市)出身の千代子(井上百合子)はこの年、東京女子大に入学。「社会科学研究会」の立ち上げに尽力し、社会主義に傾倒する。
無産政党「労働農民党」で活動をしていた浅野(窪塚俊介)と結婚。共産党に入党し、選挙の応援やビラ張りなど活動に本腰を入れたが、政府の弾圧により逮捕され、激しい拷問を受ける。獄中でも女性リーダーとして同志を励ましたが、次第に追い詰められる。
監督は社会派の桂壮三郎。主演の井上は、本作で映画デビューとなった。金田明夫、石丸謙二郎、竹下景子らが脇を固める。(花井康子)