後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔406〕「象徴天皇制の地場」における平和(戦争)を考察する(村上芳信さんのミニコミより)

2021年10月12日 | メール・便り・ミニコミ
 村上芳信さんはこのブログでも度々紹介していますが、元横浜の中学校教師です。すでに70年代には組合の闘士として名を馳せ、私はその言動に注目していました。そして、おそらく彼が50代になって演劇教育に関わられてから、私にはより身近な存在になったのでした。現在はとうに退職されていますが、ここ数年体調がすぐれず入退院を繰り返されているようです。
 そんな中、村上さんが発行する地域総合誌『蘖・ひこばえ』49号(2021.10.5)が送られてきました。A5版で76頁立ての労作です。
 私は、村上さんの次の論考に目が釘付けになってしまいました。
  
特集1 地域から民主主義をつくる 
(連載)「弐度目の敗戦はご免こうむる」(加藤陽子)(6)
    こどもの国はなぜ田奈弾薬庫施設を遺したままで造られたのか?!(続)
       「象徴天皇制の地場」における平和(戦争)を考察する

 ここでは金子淳さんの研究論文「象徴天皇制の地場に生まれた“ゆめの空間”」に触発されて村上さんが展開した3つの実践が紹介されています。
①戦後50年の1995年に一斉道徳で田奈弾薬庫に取り組む
②戦後60年の2005年に演劇教育で田奈弾薬庫に取り組む
③戦後70年の2014、5年に平和の碑に自虐史観批判が始まる

 それぞれの実践について資料を示しながら詳述されています。
 村上実践で刮目に値するのは田奈弾薬庫・待避壕の内部を誰よりも早く子どもたちと見学したという事実です。その後の「戦争遺跡の見学コース」の礎をつくったということのようです。
 村上さんは最後に次のように述懐しています。

 「こどもの国はなぜ田奈弾薬庫施設を遺したままで造られたのか?!」との疑問には、こどもの国の田奈弾薬庫「象徴天皇制の地場」における平和(戦争)が強化されて、田奈弾薬庫を戦争遺跡として公開するためですとわたしは答えたい。


 久しぶりに鎌田さんのコラムを紹介します。

◆学術会議6人の任命
  任命拒否を容認する強権は認められない

    鎌田 慧(ルポライター)

 また三代目。岸田文雄首相が出現。敗れた河野太郎氏も三代目だった。
 安倍晋三、麻生太郎、小泉純一郎と遡(さかのぼ)ってみても三代目
首相。福田康夫は二代目。まるで歴史が凍結したかの門閥政治。
民主主義などどこ吹く風。
 さらに党三役、大臣には岸、福田、鈴木、西銘など
政治家一家の商標。

 岸田内閣の組閣は安倍、麻生、甘利明の3A長老の談合だ。
 その証拠に各派閥の不満が出ないよう構成員が均等にポストを割り
当てられた。これほど恣意(しい)的、露骨な政治を民主主義と
言えるのか。
 勝手な政治が行われても有権者が怒らない。残念ながら投票で社会が
変わるとは信じないからだ。

 安倍・菅首相の身内への利益導入は鼻についた。
 防衛予算の歯止めを外して米製戦闘機を爆買い、沖縄・先島での軍事
基地の増強、集団的自衛権の行使容認などは、歴史を逆行させる
悪政である。
 さらに許されないのは、昨年、学術会議が推薦した会員候補6名の
任命を拒否した、思想と学問の自由への弾圧である。

 1930年代。天皇機関説を主張した美濃部達吉名誉教授の著書が発禁
処分、さらに美濃部本人への暴漢の襲撃が誘発された。
 民主主義の根幹をなす思想と言論への菅前首相の不当なパージは、
まだ撤回されていない。
 新内閣はこの問題に頬かむりするのか。
 任命拒否を容認する強権は認められない。
 首相の見解を問いたい。
  (10月5日東京新聞朝刊23面「本音のコラム」より)

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