こんにちは。夜勤明けでヘロヘロのタッキーです。だいぶ前の話になりますが、『演劇入門』の紹介が途中でしたね。今日はその核心と言える部分を説明したいと思います。
さて、前回は演劇における「リアル」とは何か、ということを最後にポイントとして挙げました。そのキーワードとなるのが、ずばり「コンテクスト」です。「コンテクスト」とは、「文脈」という意味を示しますが、この本では「一人ひとりの言語の内容、一人ひとりが使う言葉の範囲」(※1)という意味合いで使われています。「コンテクスト」について、実際のところ、私はまだその意味合いを把握しきれていないのですが、それは端的に言って言葉のイメージではないかと思っています。本には「ちゃぶ台」という言葉を例にしています。ある夫婦が「ちゃぶ台」と言うとき、お互いにイメージするものが異なることで、喧嘩につながっていく。同じ言葉でも人によって何を浮かべるのか、その言葉をどのように使うのかは異なるのです。
「コンテクスト」がそのようなものであると踏まえ、では演劇における「リアル」とは何でしょうか。それは「観客とのコンテクストの摺り合わせ」(※2)に集約されています。私なりに解釈すれば、演者の発する言葉や表現がお客さんのイメージするそれと一致するかどうか、あるいは劇の過程の中でうまく合わせていくことができるどうか、これが「リアル」な演劇の鍵なのだと思います。つまり、お互いにイメージを共有することができるかどうか。それが「リアル」の核心ではないでしょうか。
そして、役者の演劇の上手さも、この「コンテクスト」がポイントです。それは、自分の持つコンテクストを拡げることができるかどうか、演じる役のコンテクストを獲得できるかどうか、演出家のコンテクストと摺り合わせることができるかどうか、そういった点にかかってきます。自分のことに言及すれば、『ハートフル・ハート』のダラーッとした高校生のコンテクストへと、自らのコンテクストを拡げることができるかどうか、ということですね。
ここで『演劇入門』の紹介は終わりにしたいと思います。演劇の性質等の説明は、「確かにそうだ」と八ッとする思いでした。脚本と作る人の大変さがよくわかりますね。長々と本の説明をしていしまいましたが、もし興味を持たれた方は実際に手に取って読んでみてください。
それでは。
※1 『演劇入門』p.150
※2 『演劇入門』p.189