今日の料理(こだわりがないのがこだわり)

フードリテラシーに沿いつつも、なるべく夢のある料理や飲食をジャンル・国境・時代・時間をボーダレスに越えて書いています。

間違いないクローバーの「ショートケーキ」

2015年11月17日 | スイーツ
昔、六本木でお客様が持って来て下さったクローバーのショートケーキ(ホール)を食べた時、今まで食べていたケーキはなんだったのだろうか?(そんなにケーキを食べた事がなかったけれど)、それぐらい衝撃的だった。なんていうか、自分に合っているというか、日本人に合っているケーキなんだ。
(クリームとか特に。)
その味が忘れられなくて、日本で最初にチーズケーキを始めた伝説の六本木「クローバー」が無くなった今でも、あの味を求めて、ホームページからデパートに入っているショップを探して買いに行ってみた。
あの頃の、自分の記憶にある味と変わりはないだろうか、自分の記憶はズレていないだろうか?その自分への挑戦でもあった。

現在は個別に小さく売っているチーズケーキは食べた事がなかったので、一応。

うん、これが日本で最初のチーズケーキか。
よし、覚えた。
(チーズ好きには、他の店でもどんなにチーズを増やしても、チーズそのものには適わないというかチーズそのものではないので、どんなチーズケーキを食べてもチーズに感じないのだが)
素朴な中に、フェンスの上にチーズの味があるという感じか。
コクは結構あるね。

そして、
感動を覚えたあのショートケーキ(ケーキ屋さんはショートケーキを出すか出さないか?でもの凄い悩むらしい、だってフランスの菓子屋さんにはショートケーキなるものが無いらしい、現代はチラホラと出てきたらしいが、日本発のものという説もある)。

おお、このクリーム、あの時のままと同じ味だ。
上品で、品格があって、でも優しい、誰もが楽しい時を過ごせるような、楽しい夢を思い浮かべているような、誰もが楽しくなる、そんなバランスの良いケーキ。

分解して、食べてみると、クリームは上記に書いたようなイメージだが、スポンジは素朴とにかく素朴、でもそれが、とても美味しいクリームを主張させている絶妙のチームワークが生み出されているのだ。

確かに、クリームが美味しくて主張していて、スポンジまで主張し過ぎていると、なんていうか、ブレるんだよな、目指したい所が、とバランスの良い美味しさの理由が理解出来た。

美味しいクリーム+苺ー素朴なスポンジ=バランスが良い。
つまり、これは引き算なのだ。
言うまでも無く、日本人の味覚は素材そのものを活かす引き算の味覚。
(イギリス人もどちらかというと素材を活かすかな。あとアランデュカスの素材の取り合わせ方とかも。)
フランス菓子は足し算とも言われているとおり、フランスに日本式のショートケーキが無い理由もここで理解出来る。

まさにショートケーキは日本人の味なのだ。
そしてクローバーはその日本人の味を大事にして、これが美味しいショートケーキ(「THIS IS JAPANESE CAKE!!」)だと存在し表現し続けているのだと感じた。

ケーキは奈良県の大和西大寺にある「ガトー・ド・ボア」がキレがあって美味しいなあーと思っていたけれど、勿論、食べたケーキが違うし、比べるものが違うのだが、クローバーのショートケーキも中々上位にくる。
正直、自分の記憶の中にある味と同じだった事も、本当にホッとして、安堵した。
(良かった、あの営業中の忙しい中、立って食べた中で、味を記憶していて、もしズレていたら、とてもじゃないが、この先、やっていけない、でも、味に違いは無かった、良かった。)

バランスの良い、本当に日本人による日本人の為の日本人向けのショートケーキの本質を突いたケーキ。

やっぱりショートケーキって美味しいよ。(誰が食べても。)

再開発でぶっ建ててはぶっ壊す土地の事もあるだろうけれど、やはり六本木にクローバーが無いと寂しい、少し六本木のハズレた場所でも、この基本のケーキを武器に、日本人の味覚を前面に打ち出して(正直、日本人の素材本来の味を活かす繊細な味覚は世界に自信を持って良いと思うし、実際に黄色人種は舌の味蕾の数が他の人種より多いらしい)、
又、バーみたいにお酒付きでも良いから(勿論、基本のカクテル・もしくはジンやバーボン・スコッチのロックのみ的な、紅茶はマリアージュフレールの香り無し、ベルガモットなどのように香水に使う人工的な香りは耐えられないし、このケーキには合わない)、
また、いつか、隠れ家的なお店を出して欲しいな。

「六本木にクローバー在り」、みたいな。










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