エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

からたちのまろい実

2009年08月07日 | 旅行
からたちの「まろい実」が目に飛び込んできた。



カラタチの白い花からは、この青い実は連想できない。
けれど、この実が秋になって金色になるころぼくは義兄を思う。

大相撲の名古屋場所だった。
名古屋城のお堀のからたちの実が金色に輝いていた。




             からたちの実


         からたちの青い実がとげとげの木に鈴なりに
         着いている
         ぼくはその実をそっと捥(も)いで
         くちびるに押し当てた

         綿毛のような表皮がくちびるに柔らかく
         ぼくの琴線をつま弾いた

         からたちの白い花が思い出されるのだが
         青い実は
         白い花をもう具体的に連想させない

         白さだとか
         枝のどこに咲くのかとか
         どんな花だったのかとか
         はるか彼方へ押しやってしまっているのだ

         青い実は
         強烈な個性を放ち
         ぼくの中に押し入ってきた

         それは暖かく豊かな
         きみのイマージュだった








今日もやはり田園風景の上を風が吹きわたっている。


風に同化して、僕も自在に駆け巡りたいと思った。







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                         荒野人



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