EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

ファブリカント夫人

2007年07月15日 | 人物事典(ハ行、他)
ファブリカント夫人


『帝王死す』で、家政婦のおばさんとしていきなり登場したファブリカント夫人。
<ファブリカント夫人は真空掃除機を差し込もうとして部屋の向うで大きな尻をもちあげていたところだった>(大庭忠男訳)

『帝王死す』では、ベンディゴ島へ出立するエラリーが、
<いくらかのお金を与えて、部屋のことを頼んでおき、荷ごしらえをした>
となっているので、信用度は満点だったのでしょう。

ファーストシーンのみの登場で台詞もなく、そのまま消えたのかと思いきや『クイーン警視自身』で名前が出てきます。ジェシー・シャーウッドとクイーン警視との会話に登場。

<「あなたのアパートは、だれが受け持っているんですか?」
「ミセス・ファブリカントという女だ。一週間に一度来てくれるはずなのだが――」
「その女はもう二ヵ月も顔を出してやしませんよ」>(青田勝訳)

信用度はどうなってしまったのでしょうか。


初登場から20年後の『心地よく秘密めいた場所』で、みたびの登場を見ます。
さて、20年もたつと無口のおばさんもかなりの勢力を獲得するのか、

<「夕めしは煮えてるんです。ミセス・ファブリカントが、彼女の名高い―あるいは名うてのと言うほうがいいかな―アイルランド風シチューを作っておいてくれたんでね。ファビーは今日早引けしたから―」
「おれはそんなに急いで食わんでもいい」と警視は急いでいった。
(中略)
「ファビーのシチューは、デレハンティーの家のセッターに食わせてしまえばいい、あの犬はアイリッシュなんだから」>(青田勝訳)

と、雇い主であるクイーン父子が面と向って抗議できない恐るべき存在となっているのでした。


(SergeantVelie,Matorjiska,Eirakuin_Rika)


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