うらちかく ふりくるゆきは しらなみの すゑのまつやま こすかとぞみる
浦近く 降りくる雪は 白波の 末の松山 越すかとぞ見る
藤原興風
海岸近くに降る雪は、まるで末の松山を越えようとする白波のように見えることだ。
「末の松山」「波」「越す」と来れば、すぐに思い出されるのは百人一首第42番の歌。
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは
清原元輔
そして、この両歌が本歌としているのが、ご紹介するのはずいぶん先になりますが、古今集 1093 の次の歌です。
きみをおきて あだしごころを わがもたば すゑのまつやま なみもこえなむ
君をおきて あだし心を わが持たば 末の松山 波も越えなむ