延長四年九月、法皇の御六十賀、京極の御息所のつかうまつりたまふときの御屏風の歌、十一首
若菜
はるたたむ すなはちごとに きみがため ちとせつむべき わかななりけり
春立たむ すなはちごとに 君がため 千歳つむべき 若菜なりけり
延長四年(926年)九月、宇多法皇の六十歳の祝賀を京極の御息所が催した際の屏風歌、十一首
若菜
春になるたびすぐに、あなたさまの千歳を寿いで摘むことになっている若菜なのです。
「京極の御息所」は藤原時平(ふじわら の ときひら)の娘褒子(ふじわら の ほうし/よしこ)のこと。第四句の「つむ」は年齢を重ねる意の「積む」と若菜を「摘む」との掛詞になっています。