<秘伝>
秘伝というものは 家によって秘伝のタレ 秘伝のスープ
隠し味が 代々伝わってる ことを主に秘伝といいますが
戦国時代にも 秘伝というのは存在していてもおかしくないのであります
「濃姫や」
「なんですの母上様」
「そなたも信長のもとへ嫁ぐことになったのう」
「はい母上様 父から受け継いだ この秘伝のラー油を持って参ります」
「濃が幼き頃に こけしを持って遊んでいた子がこんなに大きくなるとは」
どうやら 美濃一国の大名となった 斎藤道三の娘 濃姫の輿入れ前のことのようであります。
「では 母上様 信長にこの秘伝のラー油を飲ませて見せます」
まむしの道三というだけあって 斎藤家の秘伝はどこから手にいれたのか
ラー油が秘伝のようでありまして
まさに隠し味 味噌汁にちょろっと入れると ピリとする辛さ
この辛味で 信長を虜にして 織田家を乗っ取ろうという計画でした。
「濃姫 このラー油 味噌に混ぜると旨いのう 甘からず辛からず ちょうどいい 二枚舌の道三殿のわりには 珍しく馬鹿正直にど真ん中の味じゃー」
「はい 濃もうれしゅうございます 尾張の味噌じゃ物足りぬかと思い 斎藤家秘伝のラー油をご持参いたしました」
信長と濃姫 政略結婚とはいえ 秘伝のおかげで夫婦なかは 良しとされていました。
秘伝によって 両国の仲が保たれたと知った 信長は今度は 相手国の秘伝を探ろうと 浅井家に妹のお市を嫁にだし 浅井家の仲を探っておりました。
「秀吉や」
「はい信長様」
「長政とお市の仲は良好そうだの 茶々が産れ 初 三人目に江も産れたそうな 織田家の味噌と斎藤家のラー油の秘伝を持っていったのが功を奏したようだ」
「信長様も なにか晴れ晴れしく爽やかになったお顔をしてる様子で」
「敵が攻めてこない 平和というのはいいものじゃ」
「信長様の手綱さばきの良さでございます」
「お市の娘も 赤子より大きくなった頃じゃ そろそろ浅井家からの秘伝も教わるであろう 秀吉 ちょっと浅井家に行って覗いて来ては 貰えぬか?」
「はい かしこまりました」
信長の命令で 秀吉は浅井家の秘伝を探りにお市の方のもとをたずねたのでありました。
てなわけで 他家の秘伝を探りにいくとは 普通は他の家の秘伝など探りにいきませんよ そこが信長 待っていられない性格でありまして
「お市様」
「あら 秀吉じゃございませんか?」
「信長様の命でまいりました」
「ちょうどいい 今茶々に これを裁く稽古を始めようとしていたところじゃ
秀吉も座っておれ」
「ははー」
「そこに 現れたのは フナ寿司 さあ茶々 このフナ寿司を手にとって召し上がるのじゃ」
「はい 母上」
「くさーーーーーーい 臭くてたべれません」
「茶々 食べ方にもコツがあるのじゃ こうやって食べるのですよ」
「お市様 そ そんな臭いものを 召し上がるとは!」
「これが 浅井家の秘伝の食べ方なのじゃ このフナのおかげで浅井家は京の時代から繁栄してきたもとじゃぞ 隣国の一乗谷の賑わいの民のもとじゃ 浅井家の支えがあってのことじゃ わたくしはこのフナ寿司は慣れました 私は子を授かる幸せを長政からいただきました。茶々 このフナ寿司の食べ方を 覚えるのじゃぞ」
「はい 母上様」
「秀吉 これは浅井家の秘伝じゃ けっして漏らすな」
「ははー」
とはいっても 信長に浅井家の秘伝を探れと命じられたわけですから 信長にちゃんと報告せねばなりませんでした。
「秀吉 浅井家の秘伝を探ってきたのか?」
「はい」
「織田家秘伝もちゃんと召し上がっていたようか?長政は」
「はい 長政様の座敷で 織田家秘伝のラー油味噌を食したあと お市様が 私の前でフナ寿司を召し上がりまして」
「ふ フナだと! あの水の中をちょろちょろと泳いでおる あのフナをか?」
「はい 私の目の前で こんな大きな口をあけて ときどきこちらを見るのです あの目で私目を そしてお市様がごくりと 飲み込むんです」
「なに!味はどんな味だった」
「私にはちょっと食べられません く 臭いのでー・・・」
「くさい! 秀吉 臭いのは 織田家の秘伝の味が混ざってる からと申したいのか?」
「い いいえ フナ寿司そのものが 臭いのです」
「それで その秘伝は 浅井家にとってどうなのじゃ?」
「浅井家繁栄のもと ともうしておりまして 京へも繋がる そして 朝倉家一乗谷の賑わいの民のもと まで申しておりました」
「織田家の秘伝の子とは何か言っておったか?」
「臭いのは 慣れる 茶々様には覚えておけと 申しておりました」
「長政め わしの妹に味噌カス娘だと わしに知らしめたのか 京に繋がりがあることをいいことに 秀吉 浅井を滅ぼし 長政の首をとって 酒の皿にしてやるわ」
信長は 秘伝の味で織田を舐めていると激怒し 浅井討伐に立ち上がったのです。
やがて 浅井は滅び隣国の一乗谷も落ち 信長亡きあとは 秀吉がお市の方の秘伝の味が忘れられず 奮起 そして 茶々を秀吉の側室にしたのでした。
一方徳川家も 長政の3女お江を嫁に入れ 浅井家秘伝を伝授していたのです。
以上 秘伝でしたー
秘伝というものは 家によって秘伝のタレ 秘伝のスープ
隠し味が 代々伝わってる ことを主に秘伝といいますが
戦国時代にも 秘伝というのは存在していてもおかしくないのであります
「濃姫や」
「なんですの母上様」
「そなたも信長のもとへ嫁ぐことになったのう」
「はい母上様 父から受け継いだ この秘伝のラー油を持って参ります」
「濃が幼き頃に こけしを持って遊んでいた子がこんなに大きくなるとは」
どうやら 美濃一国の大名となった 斎藤道三の娘 濃姫の輿入れ前のことのようであります。
「では 母上様 信長にこの秘伝のラー油を飲ませて見せます」
まむしの道三というだけあって 斎藤家の秘伝はどこから手にいれたのか
ラー油が秘伝のようでありまして
まさに隠し味 味噌汁にちょろっと入れると ピリとする辛さ
この辛味で 信長を虜にして 織田家を乗っ取ろうという計画でした。
「濃姫 このラー油 味噌に混ぜると旨いのう 甘からず辛からず ちょうどいい 二枚舌の道三殿のわりには 珍しく馬鹿正直にど真ん中の味じゃー」
「はい 濃もうれしゅうございます 尾張の味噌じゃ物足りぬかと思い 斎藤家秘伝のラー油をご持参いたしました」
信長と濃姫 政略結婚とはいえ 秘伝のおかげで夫婦なかは 良しとされていました。
秘伝によって 両国の仲が保たれたと知った 信長は今度は 相手国の秘伝を探ろうと 浅井家に妹のお市を嫁にだし 浅井家の仲を探っておりました。
「秀吉や」
「はい信長様」
「長政とお市の仲は良好そうだの 茶々が産れ 初 三人目に江も産れたそうな 織田家の味噌と斎藤家のラー油の秘伝を持っていったのが功を奏したようだ」
「信長様も なにか晴れ晴れしく爽やかになったお顔をしてる様子で」
「敵が攻めてこない 平和というのはいいものじゃ」
「信長様の手綱さばきの良さでございます」
「お市の娘も 赤子より大きくなった頃じゃ そろそろ浅井家からの秘伝も教わるであろう 秀吉 ちょっと浅井家に行って覗いて来ては 貰えぬか?」
「はい かしこまりました」
信長の命令で 秀吉は浅井家の秘伝を探りにお市の方のもとをたずねたのでありました。
てなわけで 他家の秘伝を探りにいくとは 普通は他の家の秘伝など探りにいきませんよ そこが信長 待っていられない性格でありまして
「お市様」
「あら 秀吉じゃございませんか?」
「信長様の命でまいりました」
「ちょうどいい 今茶々に これを裁く稽古を始めようとしていたところじゃ
秀吉も座っておれ」
「ははー」
「そこに 現れたのは フナ寿司 さあ茶々 このフナ寿司を手にとって召し上がるのじゃ」
「はい 母上」
「くさーーーーーーい 臭くてたべれません」
「茶々 食べ方にもコツがあるのじゃ こうやって食べるのですよ」
「お市様 そ そんな臭いものを 召し上がるとは!」
「これが 浅井家の秘伝の食べ方なのじゃ このフナのおかげで浅井家は京の時代から繁栄してきたもとじゃぞ 隣国の一乗谷の賑わいの民のもとじゃ 浅井家の支えがあってのことじゃ わたくしはこのフナ寿司は慣れました 私は子を授かる幸せを長政からいただきました。茶々 このフナ寿司の食べ方を 覚えるのじゃぞ」
「はい 母上様」
「秀吉 これは浅井家の秘伝じゃ けっして漏らすな」
「ははー」
とはいっても 信長に浅井家の秘伝を探れと命じられたわけですから 信長にちゃんと報告せねばなりませんでした。
「秀吉 浅井家の秘伝を探ってきたのか?」
「はい」
「織田家秘伝もちゃんと召し上がっていたようか?長政は」
「はい 長政様の座敷で 織田家秘伝のラー油味噌を食したあと お市様が 私の前でフナ寿司を召し上がりまして」
「ふ フナだと! あの水の中をちょろちょろと泳いでおる あのフナをか?」
「はい 私の目の前で こんな大きな口をあけて ときどきこちらを見るのです あの目で私目を そしてお市様がごくりと 飲み込むんです」
「なに!味はどんな味だった」
「私にはちょっと食べられません く 臭いのでー・・・」
「くさい! 秀吉 臭いのは 織田家の秘伝の味が混ざってる からと申したいのか?」
「い いいえ フナ寿司そのものが 臭いのです」
「それで その秘伝は 浅井家にとってどうなのじゃ?」
「浅井家繁栄のもと ともうしておりまして 京へも繋がる そして 朝倉家一乗谷の賑わいの民のもと まで申しておりました」
「織田家の秘伝の子とは何か言っておったか?」
「臭いのは 慣れる 茶々様には覚えておけと 申しておりました」
「長政め わしの妹に味噌カス娘だと わしに知らしめたのか 京に繋がりがあることをいいことに 秀吉 浅井を滅ぼし 長政の首をとって 酒の皿にしてやるわ」
信長は 秘伝の味で織田を舐めていると激怒し 浅井討伐に立ち上がったのです。
やがて 浅井は滅び隣国の一乗谷も落ち 信長亡きあとは 秀吉がお市の方の秘伝の味が忘れられず 奮起 そして 茶々を秀吉の側室にしたのでした。
一方徳川家も 長政の3女お江を嫁に入れ 浅井家秘伝を伝授していたのです。
以上 秘伝でしたー