2018/8/22(水) 午後 10:55
縄文人の移動を知る手がかりとして「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)」(注)の陽性者分布が注目されている。
愛知県癌センターの田島和雄博士によるHTLV「ヒトT細胞白血病ウイルス」の感染者の分布を調べた研究で、国内の陽性者の分布は、九州・沖縄・四国南部・紀伊半島と東橋の東北・北海道に多く、列島中央部は極めて少ないということが判ったのだ。その陽性率は九州(8.0%)、近畿(1.2%)、北海道(1.2%)、東北(1.1%)で特に、沖縄、鹿児島、宮崎、長崎の各県の感染率は約5%で、世界的にみて最もHTLV陽性者が集中している地域であることが判った。
沖縄、鹿児島、宮崎、長崎の4県の人口は日本全国の5%足らずにもかかわらず、国内幹線者(HTLV陽性者)約108万人の3分の1を占める。国内のHTLVの発見者である京都大学の日沼頼夫名誉教授は早い時期から「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)は古モンゴロイドである縄文人がもたらした」という仮説を立てていたが、現在それが次第に証明されつつあるようなのだ。
ヒトの移動が複雑になるにつれて、HTLVの陽性率が40%もあるのに、山を隔てた隣町で5%以下という例もある。長崎県でいえば、島原半島周辺にはヒトT細胞白血病が少ない地域がある。江戸時代の島原の乱(1637~38年)の後、地元の農民は討伐の幕府軍によって殆ど殺され、各藩に強制的に人数割をして農民を強制移住させた。この流入人口によって感染率( 陽性者率)が低くなったとも考えられる。
以上国内分布割合は、北海道が低めである以外は国立遺伝研究所の斎藤成也氏のグループが三貫地縄文人と現代日本人の核DNAで共通するゲノム解析を行った結果とかなり一致している。(北海道に関しては、長崎の「島原の乱」の後の他地域からの強制移住と同様、明治以降の「開拓政策」による入植人口によって、元々そこに住んでいた人々のパーセンテージが薄められて陽性者の割合が低くなったことによるものと推測できる)
<縄文人がもたらしたHTLV陽性者の世界分布>
世界のHTLV陽性者は1100万人~2000万人と推定。国内同様偏った分布を示している。台湾の先住民、フィリピン、マレーシア、インドの一部、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ハワイ諸島。更には米国先住民(アメリカン・インディアン)の一部や南米、カリブ海地域、アラスカやカナダの先住民のイヌイットとスカンジナビアの先住民のサーミ、アフリカに陽性者が分布している。
約3万~1万3000年前のウルム氷期の最寒期とされる頃、ベーリング海峡地域は陸地化しており、いわゆる「ベーリンジア」となっていた。古モンゴロイドはこのベーリンジアを渡ってアメリカ大陸に進出したのである。
一方、大規模な調査でも、朝鮮半島や中国には陽性者が殆ど見つからなかった。つまり、朝鮮半島および中国には縄文人の子孫はいないということだ。
南米の先住民(インディオ)は、陸続きだったベーリング海峡を渡ってきた古モンゴロイドであり、田島所長らが南米アンデスの先住民族の血液を調べると、日本人と同じⅠ系統のHTLV陽性者が多く見つかった。先住民の13部族の調査では17%という高い数字だった。
更に、カリブ海沿岸、アマゾン熱帯雨林、パタゴニアなど僻地の南米住民への大がかりば採血調査を行い、アンデス高地にだけ感染者がいることを確認。チリの研究者と共に、チリ北部のアタカマ砂漠で1500年前に埋葬されたミイラ約100体についても調べられ、彼らは古モンゴロイド集団の子孫と考えられ、その骨髄からHTLVのDNAが検出。塩基配列はアイヌ民族のものと同じ系統だった。
この移住は数千年以上前に行われたものと推定され、南米先住民とアイヌは同系統の祖先から分かれたことが類推される。ジャマイカ、トリニダード・トバゴなどのカリブ海諸国でも感染者(HTLV陽性者)が6%もあり、海外のHTLV研究者のギャロ博士らは、アフリカから奴隷貿易で運ばれたという仮説を発表していた。しかし実際にはそのはるか昔に、古モンゴロイド(縄文人)によって運ばれてきたことが突き止められたのであった。
(注)ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)は成人T細胞白血病・リンパ腫( Adult T-cell leukemia:ATL)、HTLV-1関連脊髄症( HTLV-1 associated myelopathy:HAM)およびHTLV-1ぶどう膜炎(HTLV-1 uveitis:HU)などの疾患を引き起こす。これらのHTLV-1関連疾患はHTLV-1感染者(キャリア)から発症するが、キャリアの大部分は無症状である。
HTLV-1キャリアおよび関連疾患は、我が国では九州・沖縄地方を含む南西日本に特に多く見られる。HTLV)I型およびII型は、世界で約2000万人が感染しているレトロウイルスで、母乳を通じた母子感染、異性または同性間の性行為、汚染された注射針の共有、汚染された血液製剤などによって感染する可能性がある。
2つのHTLV型のうち、HTLV-I型は、より臨床的な影響性を持ち、生命を脅かす成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)や、身体を消耗させるHTLV-Ⅰ関連脊髄症/熱帯性痙性不全対麻痺(HAM/TSP)に、直接的に関与。HTLV感染は、生涯持続し、現時点では身体からウイルスを排除する治療法はない。
引用:
https://www.drp.ne.jp/pickup_article/%E6%88%90%E4%BA%BAt%E7%B4%B0%E8%83%9E%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85/
http://blog.livedoor.jp/rekishireal/archives/37724127.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E6%B5%B7%E5%B3%A1
コメント
ATLは、地域偏在性が余りにも極端で有った為に、風土病の一種とさえ考えられていましたね。Tセルと云う事で、胸腺(ティムス)由来の悪性癌で主に免疫の主体である白血球が癌化して異常増殖を起こし、一旦発症すると予後が悪く、殆んど一年以内に死亡するという事です。ATLウィルスは、レトロウイルスと云う逆転写酵素を持つ不思議なウィルスですね。昔ワトソン・クリックのセントラル・ドグマ、遺伝情報はDNAからRNAへと命令系統が絶対的に成り立つという物でしたが、それは一部にRNAからDNAへの巧妙な現象が発見された。その様な研究の展望から、進化はウィルスが関与しているのではないかと云う説もあるようです。日沼頼夫氏が、ATLは原日本人が元々持って居たウイルスではないか?という仮説を出されましたね。
2018/8/23(木) 午後 11:06 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]
このATLは主に母子感染であるという事でした。新生児が飲む母乳からの感染が主な物で、また夫婦の間では精液を通じて夫から妻への感染が多いという事です。母子感染を絶てばATLを封じ込め事ができます。地域偏在性は日本人の起源と長い未知の歴史を背景に持って居る。このウィルスの研究から、縄文人は非常に古い人類に属することが分ります。日沼先生がお書きに成った中公新書が有りますが、面白い御本です。先生が隠岐の島神社の神官とのお話から、このウィルスは縄文人と重なる事に気が付く場面は大発見の醍醐味です。江戸時代に長崎に来ていたシーボルトはアイヌ人と沖縄人が非常に似ていると書いて居ます。アイヌは原日本人であると考えて居る方もある。DNA解析に依って、益々、この分野は新たな知見を私たちに届ける事でしょうね。
2018/8/23(木) 午後 11:24 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]
> 井頭山人(魯鈍斎)さん
コメントをありがとうございます。また、大変示唆に富む内容のご紹介を頂きありがとうございます。日沼先生がお書きになったその本を私も是非取り寄せて読んでみたいと思います。本当に博学でいらっしゃいますね。
このHTLVが日本人に特に九州に偏在するウイルスであるということは大学の頃から聞いておりましたが、アンデス高地など、世界の様々な地域に偏在しているということ、縄文人由来のウイルスらしいということなどは全く知りませんでした。
実はこのHTLV-Ⅰ関連ブドウ膜炎をライフワークになさっておられる方がたまたま私が所属しておりました医局の次の教授として来られ、しかも大学は私の先輩にあたる方でした。
縄文人由来のウイルスということはかなり古くからあるウイルスであるということ、これが、縄文人たちの足跡を知る大きな手掛かりになるということで、非常に面白い発見ですね。
2018/8/24(金) 午前 0:41 kamakuraboy
> 井頭山人(魯鈍斎)さん
シーボルトという人物は観察力というか、直感力に優れた人物だったようですね。流石ですね。縄文人のミトコンドリアDNAとの比較で、アイヌ、沖縄、本土日本人(ヤマト人)の順で縄文人のDNAが色濃く受け継がれていることがわかっており、アイヌと沖縄県民は縄文人を共通のルーツにもつ点で近接関係であることが遺伝学的にわかっています。
縄文人遺伝子については、三貫地貝塚の100体を越える縄文人の内の、男女2体の遺骨の歯髄などから、核ゲノムDNA32億塩基対の内の1億5000万個の解読成功しており現在、国立遺伝学研究所の斎藤成也博士のグループが東京周辺の本土日本人や他の4か国の東ユーラシア人と縄文人核ゲノムDNAとの比較を行った結果を去年発表なさっていました。結果、日本人だけが縄文人ルーツがあることがわかったようです。今後更に日本国内の地域間の比較データが発表されると思います。
2018/8/24(金) 午前 2:12 kamakuraboy
> kamakuraboyさん
詳しい展望のお話を有難う御座います。
亡くなられた蓬莱 聡氏や斎藤成也氏の古代人、縄文人の、DNA解析に関するお仕事は有名ですね。種類の分岐時代とその系譜が塩基データの解析を通じて、段々に分って来ました。まだ謎の部分は多々ありますが、ネアンデルタール人とも関連する現生人類の歴史も次第に明らかに成ってくる事でしょう。集団遺伝学に関する進化現象(適応現象)も、生物の基本的な所であるだけに、興味深い物が有ります。木村資生博士の「分子進化の中立説」が書かれたのは随分と前ですが、理論遺伝学の中心であるべき確率過程や統計力学の数学が、モット開拓されないと有効な道具の弱さが露呈して仕舞います。コトバも遺伝学も強力な数学のバックアップが不可欠の様だと思います。(魯鈍斎)
2018/8/24(金) 午後 2:08 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]
縄文人の移動を知る手がかりとして「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)」(注)の陽性者分布が注目されている。
愛知県癌センターの田島和雄博士によるHTLV「ヒトT細胞白血病ウイルス」の感染者の分布を調べた研究で、国内の陽性者の分布は、九州・沖縄・四国南部・紀伊半島と東橋の東北・北海道に多く、列島中央部は極めて少ないということが判ったのだ。その陽性率は九州(8.0%)、近畿(1.2%)、北海道(1.2%)、東北(1.1%)で特に、沖縄、鹿児島、宮崎、長崎の各県の感染率は約5%で、世界的にみて最もHTLV陽性者が集中している地域であることが判った。
沖縄、鹿児島、宮崎、長崎の4県の人口は日本全国の5%足らずにもかかわらず、国内幹線者(HTLV陽性者)約108万人の3分の1を占める。国内のHTLVの発見者である京都大学の日沼頼夫名誉教授は早い時期から「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)は古モンゴロイドである縄文人がもたらした」という仮説を立てていたが、現在それが次第に証明されつつあるようなのだ。
ヒトの移動が複雑になるにつれて、HTLVの陽性率が40%もあるのに、山を隔てた隣町で5%以下という例もある。長崎県でいえば、島原半島周辺にはヒトT細胞白血病が少ない地域がある。江戸時代の島原の乱(1637~38年)の後、地元の農民は討伐の幕府軍によって殆ど殺され、各藩に強制的に人数割をして農民を強制移住させた。この流入人口によって感染率( 陽性者率)が低くなったとも考えられる。
以上国内分布割合は、北海道が低めである以外は国立遺伝研究所の斎藤成也氏のグループが三貫地縄文人と現代日本人の核DNAで共通するゲノム解析を行った結果とかなり一致している。(北海道に関しては、長崎の「島原の乱」の後の他地域からの強制移住と同様、明治以降の「開拓政策」による入植人口によって、元々そこに住んでいた人々のパーセンテージが薄められて陽性者の割合が低くなったことによるものと推測できる)
<縄文人がもたらしたHTLV陽性者の世界分布>
世界のHTLV陽性者は1100万人~2000万人と推定。国内同様偏った分布を示している。台湾の先住民、フィリピン、マレーシア、インドの一部、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ハワイ諸島。更には米国先住民(アメリカン・インディアン)の一部や南米、カリブ海地域、アラスカやカナダの先住民のイヌイットとスカンジナビアの先住民のサーミ、アフリカに陽性者が分布している。
約3万~1万3000年前のウルム氷期の最寒期とされる頃、ベーリング海峡地域は陸地化しており、いわゆる「ベーリンジア」となっていた。古モンゴロイドはこのベーリンジアを渡ってアメリカ大陸に進出したのである。
一方、大規模な調査でも、朝鮮半島や中国には陽性者が殆ど見つからなかった。つまり、朝鮮半島および中国には縄文人の子孫はいないということだ。
南米の先住民(インディオ)は、陸続きだったベーリング海峡を渡ってきた古モンゴロイドであり、田島所長らが南米アンデスの先住民族の血液を調べると、日本人と同じⅠ系統のHTLV陽性者が多く見つかった。先住民の13部族の調査では17%という高い数字だった。
更に、カリブ海沿岸、アマゾン熱帯雨林、パタゴニアなど僻地の南米住民への大がかりば採血調査を行い、アンデス高地にだけ感染者がいることを確認。チリの研究者と共に、チリ北部のアタカマ砂漠で1500年前に埋葬されたミイラ約100体についても調べられ、彼らは古モンゴロイド集団の子孫と考えられ、その骨髄からHTLVのDNAが検出。塩基配列はアイヌ民族のものと同じ系統だった。
この移住は数千年以上前に行われたものと推定され、南米先住民とアイヌは同系統の祖先から分かれたことが類推される。ジャマイカ、トリニダード・トバゴなどのカリブ海諸国でも感染者(HTLV陽性者)が6%もあり、海外のHTLV研究者のギャロ博士らは、アフリカから奴隷貿易で運ばれたという仮説を発表していた。しかし実際にはそのはるか昔に、古モンゴロイド(縄文人)によって運ばれてきたことが突き止められたのであった。
(注)ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)は成人T細胞白血病・リンパ腫( Adult T-cell leukemia:ATL)、HTLV-1関連脊髄症( HTLV-1 associated myelopathy:HAM)およびHTLV-1ぶどう膜炎(HTLV-1 uveitis:HU)などの疾患を引き起こす。これらのHTLV-1関連疾患はHTLV-1感染者(キャリア)から発症するが、キャリアの大部分は無症状である。
HTLV-1キャリアおよび関連疾患は、我が国では九州・沖縄地方を含む南西日本に特に多く見られる。HTLV)I型およびII型は、世界で約2000万人が感染しているレトロウイルスで、母乳を通じた母子感染、異性または同性間の性行為、汚染された注射針の共有、汚染された血液製剤などによって感染する可能性がある。
2つのHTLV型のうち、HTLV-I型は、より臨床的な影響性を持ち、生命を脅かす成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)や、身体を消耗させるHTLV-Ⅰ関連脊髄症/熱帯性痙性不全対麻痺(HAM/TSP)に、直接的に関与。HTLV感染は、生涯持続し、現時点では身体からウイルスを排除する治療法はない。
引用:
https://www.drp.ne.jp/pickup_article/%E6%88%90%E4%BA%BAt%E7%B4%B0%E8%83%9E%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85/
http://blog.livedoor.jp/rekishireal/archives/37724127.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E6%B5%B7%E5%B3%A1
コメント
ATLは、地域偏在性が余りにも極端で有った為に、風土病の一種とさえ考えられていましたね。Tセルと云う事で、胸腺(ティムス)由来の悪性癌で主に免疫の主体である白血球が癌化して異常増殖を起こし、一旦発症すると予後が悪く、殆んど一年以内に死亡するという事です。ATLウィルスは、レトロウイルスと云う逆転写酵素を持つ不思議なウィルスですね。昔ワトソン・クリックのセントラル・ドグマ、遺伝情報はDNAからRNAへと命令系統が絶対的に成り立つという物でしたが、それは一部にRNAからDNAへの巧妙な現象が発見された。その様な研究の展望から、進化はウィルスが関与しているのではないかと云う説もあるようです。日沼頼夫氏が、ATLは原日本人が元々持って居たウイルスではないか?という仮説を出されましたね。
2018/8/23(木) 午後 11:06 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]
このATLは主に母子感染であるという事でした。新生児が飲む母乳からの感染が主な物で、また夫婦の間では精液を通じて夫から妻への感染が多いという事です。母子感染を絶てばATLを封じ込め事ができます。地域偏在性は日本人の起源と長い未知の歴史を背景に持って居る。このウィルスの研究から、縄文人は非常に古い人類に属することが分ります。日沼先生がお書きに成った中公新書が有りますが、面白い御本です。先生が隠岐の島神社の神官とのお話から、このウィルスは縄文人と重なる事に気が付く場面は大発見の醍醐味です。江戸時代に長崎に来ていたシーボルトはアイヌ人と沖縄人が非常に似ていると書いて居ます。アイヌは原日本人であると考えて居る方もある。DNA解析に依って、益々、この分野は新たな知見を私たちに届ける事でしょうね。
2018/8/23(木) 午後 11:24 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]
> 井頭山人(魯鈍斎)さん
コメントをありがとうございます。また、大変示唆に富む内容のご紹介を頂きありがとうございます。日沼先生がお書きになったその本を私も是非取り寄せて読んでみたいと思います。本当に博学でいらっしゃいますね。
このHTLVが日本人に特に九州に偏在するウイルスであるということは大学の頃から聞いておりましたが、アンデス高地など、世界の様々な地域に偏在しているということ、縄文人由来のウイルスらしいということなどは全く知りませんでした。
実はこのHTLV-Ⅰ関連ブドウ膜炎をライフワークになさっておられる方がたまたま私が所属しておりました医局の次の教授として来られ、しかも大学は私の先輩にあたる方でした。
縄文人由来のウイルスということはかなり古くからあるウイルスであるということ、これが、縄文人たちの足跡を知る大きな手掛かりになるということで、非常に面白い発見ですね。
2018/8/24(金) 午前 0:41 kamakuraboy
> 井頭山人(魯鈍斎)さん
シーボルトという人物は観察力というか、直感力に優れた人物だったようですね。流石ですね。縄文人のミトコンドリアDNAとの比較で、アイヌ、沖縄、本土日本人(ヤマト人)の順で縄文人のDNAが色濃く受け継がれていることがわかっており、アイヌと沖縄県民は縄文人を共通のルーツにもつ点で近接関係であることが遺伝学的にわかっています。
縄文人遺伝子については、三貫地貝塚の100体を越える縄文人の内の、男女2体の遺骨の歯髄などから、核ゲノムDNA32億塩基対の内の1億5000万個の解読成功しており現在、国立遺伝学研究所の斎藤成也博士のグループが東京周辺の本土日本人や他の4か国の東ユーラシア人と縄文人核ゲノムDNAとの比較を行った結果を去年発表なさっていました。結果、日本人だけが縄文人ルーツがあることがわかったようです。今後更に日本国内の地域間の比較データが発表されると思います。
2018/8/24(金) 午前 2:12 kamakuraboy
> kamakuraboyさん
詳しい展望のお話を有難う御座います。
亡くなられた蓬莱 聡氏や斎藤成也氏の古代人、縄文人の、DNA解析に関するお仕事は有名ですね。種類の分岐時代とその系譜が塩基データの解析を通じて、段々に分って来ました。まだ謎の部分は多々ありますが、ネアンデルタール人とも関連する現生人類の歴史も次第に明らかに成ってくる事でしょう。集団遺伝学に関する進化現象(適応現象)も、生物の基本的な所であるだけに、興味深い物が有ります。木村資生博士の「分子進化の中立説」が書かれたのは随分と前ですが、理論遺伝学の中心であるべき確率過程や統計力学の数学が、モット開拓されないと有効な道具の弱さが露呈して仕舞います。コトバも遺伝学も強力な数学のバックアップが不可欠の様だと思います。(魯鈍斎)
2018/8/24(金) 午後 2:08 [ 井頭山人(魯鈍斎) ]