過去の出来ごとから、声を捨てて毎日をただ生きているだけの蒼(山田涼介)。ある日、不慮の
事故で視力を失い、絶望の中にいる音大生の美夏(浜辺美波)と出会う。「YESなら1回、NOなら
2回、私の手の甲を叩いて」。
蒼は、“ピアニストになりたい”という彼女の夢をかなえようとする。だが、彼女に思いを伝える
方法は、そっと触れる人差し指とガムランボールの音色だけ。「私にとってあなたの手は神の手。
いつもこの手が助けてくれた」…美夏のその言葉は、暗闇の中で一瞬だけ明るくするが、本当の手
はずっと前から汚れていると、一人で頭の中で語り、悲しい表情を見せる。
監督は『ミッドナイトスワン』の内田英治。内田監督が熱望した久石譲が、本作のためにオリジ
ナル楽曲を手がけた。主題歌は、幅広い世代から支持されているMrs.GREEN APPLEが担当してい
る。蒼の同僚清掃員には古田新太、大学の講師を野村周平、他に吉村界人、中島歩、円井わんなど
が出演している。
育ってきた環境と生きてきた道の違い。本来、出会う必要のない二人が出会い、心を寄せていくと
いう日本のラブストーリーによくある話の展開である。それを、主役の二人がどのように真実性を
持たせていくのかがポイントとなる。山田涼介は台詞はなく、ただひたすら彼女がピアノを練習で
きるために働くのみの演技。浜辺美波は、絶望から未来への演じ分けに努めている。展開がわかっ
ているが、物語の世界観に入っていけると楽しいかも。
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