今季の芥川賞受賞作である。
岩手在住の新進作家の処女作が、文学界新人賞に続き芥川賞も射止めた。
つい先ほど読み終わったばかりだが、作品よりも(「文春」9月号に掲載された)作者へのインタビュー記事の方が面白かった。
つまり、そこには、作者が何者かということと合わせ、作品の舞台裏なども記されていたからだ。
沼田さんは福岡で塾講師として働いていたが、3.11後退職し(仕事もないまま)盛岡の両親と同居するかたちで過ごしてきた。それが、この作品を「らしく」させたと言う。
作品の冒頭にある釣り場の自然描写が緻密で迫力があるのだが、相手はもっぱらイワナやヤマメで、外道のウグイを散々けなす場面などは(小生は少年時代、もっぱらウグイ相手だったこともあり)あれあれと思ったりした。
いずれにせよ、最近の同賞作品にはない「まともさ」に魅かれて読んだ。