最近、花火は夏だけでなく、春、秋、冬と季節を問わずイベントとして打ち上げられるようになった。先日、能登半島のつけ根にある宝達志水町で花火会社「能登煙火」を経営する嵯峨井大民(さがい・ひろたみ)氏の講演があり、聴きに行った。演題は「能登花火のルーツと最新の花火演出」。興味が沸いたのは、「花火が進化している」との話を聞いたからだ。
嵯峨井氏は神社の宮司でもある。会社は同じく宮司だった祖父が1933年に創業した。当時、花火は神社に奉納するものだったが、最近では地域の祭りやイベントなど幅広く花火が打ち上げられるようになった。(※写真・上は、花火の打ち上げで必ずヘルメットを着用すると説明する嵯峨井氏)
花火といえば、かつては「打上げ花火」が主流だった。1発1発をじっくり楽しむ。菊や牡丹の花、柳の枝葉などいろいろ種類がカタチが楽しめる。さらに、「スターマイン」の花火は、さまざまな種類の花火を連続で打上げたり、多数の花火を同時に打上げたりして、豪華さと迫力がある。
その花火がさらに進化を遂げている。「音楽スターマイン」だ。ミュージックと花火をシンクロさせて打ち上げる。同町でことし10月7日で催された花火大会で披露された「音楽スターマイン」の曲は、ロッシーニ作曲・歌劇『ウィリアム・テル』序曲だった。講演ではそのときの動画が上映された。あのリズミカルな曲に合わせて、花火玉の種類や大きさ、色合いの組み合わせでストーリーが描かれる=写真・下=。ビデオながら感動がダイレクトに伝わってきた。
さらに驚いたことに、この演出にはデジタル技術がある。音楽に合わせて打ち上げのタイミングを決定し、コンピューターのプログラミングによって花火と音楽をシンクロさせて打ち上げる。夜空に描かれる光のアートはデジタル技術で可能になったと聞き、花火はアナログとのこれまでのイメ-ジがひっくり返った。
同町では来年もミュージックスターマインを開催する。ぜひこの目と耳で夜空の光と音楽のアートを楽しみ、打ち上げ現場もぜひ見学し、花火の進化を確認したいと思った次第。もちろんヘルメット持参で。
⇒27日(月)夜・金沢の天気 くもり
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