霧笛荘夜話 角川書店 このアイテムの詳細を見る |
天気 寒くは無いけど
浅田次郎 著 : 霧笛荘夜話
を、読みました。
横浜の港の運河の行き止まりに、そのアパートは建っています。
地面を削って出来た半地下の1階と、中二階で出来た
変わった外観のこのアパートは、永い年月を運河のほとりで
人々の生活を眺めてきた、まるで老人のような建物です。
このアパートはわずか6部屋。
アパートに訪ねてきた、間借り希望者に
このアパートの大家兼管理人の、纏足の中国人老婆が案内します。
1階の手前から、港の見える部屋・鏡のある部屋・朝日の当たる部屋
2階には、瑠璃色の部屋・花の咲く部屋・マドロスの部屋
と続きます。今では全て空き室になってしまったそれぞれの部屋に
ひっそりと息づく過去の物語を、この間借り希望者に語りながら
案内するというお話し。
一通り6部屋を案内し終わったあと、7つ目の部屋が登場します。
大家兼管理人の部屋、ぬくもりの部屋です。
それぞれの部屋に住んでいた人間が、人間に対しての尊厳に
共通の意識が存在した事がわかるエピソードで、お話しは完。
年末、せき立てられるように忙しい毎日。
ジローさんの人情物語で、ホッと一息いかがでしょう。