山縣文治編著,2005,ソーシャルウエルビーイング事始め(改訂版),有斐閣.(10.21.24)
社会福祉の全体像をわかりやすく解説し授業や自習での使いやすさを追求した初学者に最適な一冊。
残念ながら、社会福祉学の概説書で、おもしろいと思えるものに出会ったためしがない。
それもそのはず、概説書には、社会福祉の歴史が前置され、あとは、もっぱら社会福祉制度のメニューが総花的に羅列されているだけだからだ。
そこには、「理論」がない。
学問というのは、理論・学説およびその歴史が土台としてあって、初めて成立する。
社会福祉学には、実践とその歴史についての記述はあるが、理論・学説がない。
これは致命的ではないか。
公的扶助とスティグマ、普遍主義と選別主義、社会思想と福祉国家、福祉労働におけるジェンダー格差等々、理論化の糸口になるイシューは多々あるのだから、概説書といえど、社会福祉に関連する事象の理論が土台としてあるべきではないだろうか。
目次
なぜ社会福祉が問題となるのか―現代社会と福祉の問題
社会福祉とは何か―社会福祉の歴史と基本的考え方
社会福祉の仕組み―社会福祉の法と行財政
社会福祉にはどのような領域があるのか―社会福祉の分野
社会福祉の職場と仕事
社会福祉の援助の仕方―社会福祉の援助技術
経済的に困ったら―低所得者福祉
高齢者になったら―高齢者保健福祉
子どもが生まれたら―子ども家庭福祉
障害をもったら―障害児・者保健福祉
諸外国の社会福祉
よりよく生活するために―社会福祉の将来展望