今年度より社会福祉士養成課程のカリキュラムが改訂されたのを機に、おなじみ、中央法規の『社会福祉士養成講座』も一新された。
以前の『社会学』は学生に薦められるような代物ではなかったが、執筆陣が代わり、読むに値する良質なテキストに仕上がっている。
ただ、5-2「日本社会と社会問題」はいただけない。脚注で生活保護の申請窓口を福祉事務所ではなく社会保険事務所と記述したり(p.194)、また、児童相談所で受け付けた虐待についての相談件数の急増、その一因が「各種団体の利害関心から児童相談所が増設された結果であるといった考えもある」などと寝ぼけたことを書いている(p.201)が、相談所の所員が若干増員された経緯はあるけれども、相談所自体が増えたわけではない。(2004年の児童虐待防止法改定により市町村も虐待の相談窓口に指定されたので書くならそのことに触れるべき。)相談件数が増えたのは、児童虐待が深刻な社会問題であるとの認識が児童養護施設等やマスコミにより構築され、児童虐待防止法で虐待を発見した際の通告義務が定められ、またその改定により虐待が疑われる事例に通告の対象が拡大されたこと、さらに若年不安定就労層や「できちゃった婚」の増加により、物質的・関係的貧困ゆえの虐待が増加している(と思われる)こと等によるもので、とくに貧困と家族問題との連関はきわめて強く、そのことはきちんと記述しておかないとまずいだろう。早急に書き直していただきたいものだ。
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