
収録された論文が主題に収斂しているとはいえないが、アメリカと日本において、児童虐待のもっとも大きな背景要因として貧困の問題があることを明確に示し、虐待問題の心理還元主義的な解釈や解決策の虚妄を批判している点において、価値のある一冊だと思う。日米における児童虐待問題の歴史を知るうえでも有益だ。
目次
第1章 児童相談所のディレンマ
第2章 児童虐待は「こころ」の問題か
第3章 児童虐待やネグレクトにおける社会環境的要因の役割
第3章補章 邦訳によせて
第4章 ネグレクトとジェンダー―女親のシティズンシップという観点からの批判的考察
第5章 要塞と緋文字―メーガン法をめぐって
第6章 児童虐待の発見方法の変化―日本のケース
心の病としての児童虐待の議論や、SOSキャッチ・通報奨励の政策によって、みえにくくなってしまった児童虐待問題の社会経済的側面、そしてジェンダーや社会統制の側面に焦点を当てる。
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