LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

政界からのアプローチ!

2012年09月19日 | Weblog
☆先日のミーティングでもみなさんにご報告したのですが、最近政界からのアプローチが続いています。昨年行った県会及び市会議員へのアンケートもきっかけのひとつとなったようで、あの時は多くの方から励ましのメッセージもいただきとてもうれしかったのですが、こんなにも早くいろいろな動きが出てくるとは思っていませんでした。

まず8月には、兵庫県会の共産党議員団から懇談したいとのご連絡をいただき、会の結成から現在に至るまでの推移と共に、LGBTの現状について2時間ほどお話させていただきました。これからも学んでいきながら協力していきたいとおっしゃってくださいました。

また西宮の長谷川久美子市会議員(むの会)からは、9月7日の市議会で質問に取り上げたいとご連絡をいただきました。長谷川さんとはつなぐ会が立ちあがった2006年の10月、初めて行なった講演会を機に出会うことができ、その後西宮での講演会にゲストとして呼んでいただいたことがありました。数年後彼女は西宮市議会議員となられ、いつかはこのテーマを取り上げたいと思っていてくださったそうです。ほんとうにうれしいことでした。全発言の議事録は、2~3か月後に、西宮市議会のHPに上がるそうです。最後に長谷川さんの質問の冒頭の原稿を掲載させていただいています。つなぐ会にも触れてくださり、多くのことを学び、調べられてのご質問は、読ませていただいてとても勉強になりました。

兵庫県会では、前田ともき議員(民主党所属)からご連絡をいただきました。10月3日(水)10時45分から45分間の予定で、「セクシャルマイノリティへの理解推進に向けて」というテーマで質問してくださるそうです。是非傍聴に行きたい!と思っていたところ、今回教えていただいて初めて知りましたが、次のアドレスの県会のHPではライブ中継も見られるとのことです。是非見せていただこうと思います。傍聴も可!です。みなさんも是非!!(日程は直前に変更になる場合もあるそうですので、HPで最新情報をご確認ください) 
 http://www.hyogokengikai.jp/regular/regular05.html

福岡市議会でも池田議員が質問してくださったとの報告が入っています!(詳細は後日)

最後に、これは米国領事館からのアプローチです。今、米国のオバマ政権は、LGBTの人権問題解決に向けて、米国内にとどまらず各国の大使館や領事館を通じて活動を行っているようです。先日、つなぐ会in福岡に福岡の領事館から連絡が入り、九州のLGBTの現状を知りたいとのことだったので、訪問して1時間ほどお話させていただいたそうです。また神戸の領事館からも『人権問題について考えるバーベキュー会』開催のお知らせをいただいています。

詳しくはまたご報告させていただきたいと思いますが、社会を具体的に変えていくのは、やはり政治ですよね。これらの動きは、驚きと共にほんとうにうれしいことです!!

ということで長谷川さんの原稿をご紹介します。少し長いですが、みなさん是非お読みください!!


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多様な性「LGBT」への理解について


「LGBT」は Lesbian、Gay、Bisexual、Transgenderの頭文字をとった言葉で、欧米の当事者たちが、セクシャルマイノリティという弱者的な呼び方ではなく、自分たちをポジティブに表現しようと使い始めました。日本でも、LGBTの当事者や支援者たちがパレードを開催して、存在をアピールするようになりました。

私が、「LGBT」という言葉を知ったのは、6年前だったと思います。神戸市内で発足したばかりの「LGBTの家族と友人をつなぐ会」に出会ったことに始まります。会の代表者の娘さんは、元大阪府議会議員で、自伝『カミングアウト』を出版し、日本で初めてレズビアンであることを公言した政治家です。活動に走り続ける娘を追いかけるように会を立ちあげられたのですが、私には、母親としての戸惑い・苦悩をなかなか払しょくできないでおられる様子が伝わってきて、「そうか、当事者の親も当事者なんだ」、子どもを持つ親の一人として、身につまされる思いでした。

さて、LGBTについてですが、今年2月に、電通総研が、LGBT当事者の生活スタイルや意識などを把握する「インターネット調査報告」を出しています。アンケートの協力者は年齢20歳~59歳の9,789人で、そのうちの3,637人、率でいうと5.2%がLGBTのいずれかに当てはまるという結果でした。1億2,800万人の日本人口から割り出すと、実に、666万人にもなります。

今年7月14日発行の『週刊 ダイヤモンド』は、「国内市場5.7兆円 LGBT市場を攻略せよ!」と題して18pにわたる特集を組み、米国企業の現状や日本における最新情報を紹介しています。また、同日発行の『週刊 東洋経済』でも、「知られざる巨大市場 日本のLGBT」として14pの特集記事を組みました。

いずれも経済分野からのアプローチですが、それだけに、今後は日本でもLGBTの経済的存在、それによる社会的認知は広がっていくと考えられます。

アメリカでは、2008年ごろからベビーブーマー世代の退職が始まり、企業は人材確保のために、女性、障害者、LGBT、高齢者といった枠組みに全く関係なく、多様な働き方ができる環境づくりに本格的に取り組むようになりました。それによって、自らのセクシュアリティをオープンにして働ける職場もずいぶん増えてきています。

アメリカのLGBT市場は77兆円ともいわれ、大手百貨店がトランスジェンダーの客に試着室使用拒否した店員を解雇、北米のプロバスケットボールリーグNBAはLGBTへの差別的なコメントをTwitterで呟いたとして選手を罰金処分するといった、人権配慮のイメージアップに努め、銀行は結婚しないカップル専門のファイナンシャルアドバイザーを育成するなど、企業は市場開拓に乗り出しているといいます。

また、人権団体はLGBTにフレンドリーな企業の評価指数を発表しており、たとえば、アメリカン航空は、20数年前に性的指向による差別の禁止を就業規則に盛り込み、その10年後に同性カップルのパートナーを家族と認め、さらにその5年後に、LGBTをオープンにして働く従業員を配置するなど、先進的にダイバーシティ・マネジメント(多様性な人材を受け入れ、能力が発揮できる組織づくり)に取り組んできていることが評価され、毎年トップだそうです。

アメリカ進出の日本企業の評価については、LGBTマーケティングなどを行っているトヨタが100点、ソニー90点、スバルは広告にレズビアンのアスリートを起用していることで85点、日産自動車は同性パートナーへの福利厚生や保険制度などが充実していないので30点といった評価を受けています。

週刊ダイヤモンドのインターネット配信は、Gayであることをオープンにしているパトリック・J・リネハン アメリカ総領事について、インタビュー記事を載せていました。総領事の夫エマーソン・カネグスケ氏は、日本、ブラジル、カナダ、韓国などに赴任した経験を持つアメリカの外交官で、10年前に東京で出会い、2007年にカナダで結婚して、現在は日本の総領事公邸で一緒に暮らしているといいます。

今年5月には、バラク・オバマが、大統領として歴史上初めて同性結婚の支持を表明し、民主党は、同性婚を支持することを綱領に盛り込みました。社会的認知も進み、それでも潜在的には10%ともいわれるLGBTの存在は、大統領選挙においても、もはや無視できなくなったということでしょう。

日本国内の企業においては、ソフトバンクは婚姻関係でなくても家族割OK、プルデンシャル生命保険が同性カップルも加入できる商品を販売、IBMは同性婚に結婚の祝い金を贈る、ホテルではディズニーやパークハイアットが同性結婚式を可能とし、ゴールドマン・サックスは社員に向けてドメスティックパートナー制度(異性婚と同様の扱い)を設け、LGBT学生向け就職説明会をするなど、外資系の企業を中心にダイバーシティへの取り組みが始まっています。また、LGBTマーケティング専門のコンサルティング会社も出てきています。

しかし、現実社会では多様な性への理解や認識はほとんど進んでいないといえます。
LGBTのうち、性同一性障がいについて言えば、2003年7月、「性同一性障者(GID)の性別の取扱いの特例に関する法律」が成立し、翌年の2004年7月に施行され、日本でも戸籍上の性別変更が可能となりました。2011年までに2996人が申し立てをし、2847人が戸籍の変更を認められました。実際に医療機関を受診している患者数は、日本精神/神経学会が2007年に行った調査では、全国で約7,000人、潜在的には人口の1%(約1280万人)という説もあります。

岡山大学病院ジェンダークリニックは、1999年~2010年の11年間に性同一性障がいで受診した1167人について調査しており、それによると、「自分の性に違和感を覚え始めた時期」は、62%が小学校入学前、80%が物心ついたころから小学校時代までの間、中学生までには90%が自覚しているとのことです。そして、大半が違和感や嫌悪感に悩み、学校ではいじめの対象となったり、不登校になる子どももいるとのことです。

性機能が発達する第二次性徴期には、男女それぞれの体付きの変化、月経や声変わりがはじまり、中学校の男女別の制服、男女別名簿など、「男・女」の色分けが明確になることは、性同一性障がいの児童・生徒にとって、ますます「異性の体の中に閉じ込められた状態」への苦悩が高まる大きな原因となっています。恋愛の悩み、将来への不安、人間関係が要因と考えられるうつ状態や神経症などの精神科合併症、また、自分の体への嫌悪感から自己肯定感が持てず、自傷行為や自殺に追い込まれる場合もあると、同大学中塚医師は指摘されています。

東京都内にあるメンタルクリニックの調査でも、性同一性障がいの患者1138人の62%が自殺を考えたことがあり、時期としては中学時代が最多で、16%がリストカット等の自傷経験があると報告されています。

川崎市立富士見中学校青山正彦校長は、市役所勤務の2010年5月に、小学生のころに、悩みを安心して話せる環境や公的機関が必要だとして、児童相談所や精神保健福祉センターなどに性同一性障がいの相談窓口を開設されました。

その川崎市は、HPで「性同一性障がい」と検索すると、「性同一性障害についてのお悩みをお持ちの方へ」という項目が出て、クリックすると、「次に記載した相談窓口は、いずれも「性同一性障害」専用の相談機関ではありませんが、お話をお伺いしております」として、相談先が紹介されたページが出てくるようになっています。

以上のことを踏まえて質問します。
LGBTの割合が、先に述べた電通総研調査による5.2%とすると、クラスに1~2人程度の割合で、セクシュアリティに関する何らかの悩みを抱える子どもがいると考えられます。現場の先生方にとって、支援が必要かどうか悩ましい場合もあると思います。教育相談の体制整備はできていますか?

2点目、性同一性障がいについては、2年前の6月議会で、ざこ議員が、教員、保護者の理解を得るための研修を質問にあげられました。本市では精神保健コンサルテーションを実施していますが、それを含む教職員研修で、セクシャルマイノリティ関連の項目はもうけてありますか。また、保護者への啓発についてはどうですか。

3点目、LGBTに関する実態把握はできていますか。



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