前作『ケーキの切れない、認知非行少年たち』は、境界が分からない、認知が歪んだ子どもたちについて扱ったものでしたが、今回はそこから踏み込んで支援者たちはどうあるべきかまでが書かれています。
著者は実際に少年院で指導をしている経験に基づいて書かれているので扱われる事例にリアリティがあるのですが、前作が「事件」に関わったひとたちという目線で読み進められることに対してこちらはより自分自身であったりまわりであったり他人事には感じないような内容です。
「頑張るひとを応援します」
ごくごく当たり前のフレーズながら、では、頑張れないひとは?と、パワーワードの反対にいるように見えて、そこに行きたいと思っている子どもたちの気持ちをどうくみ上げるのか、また自分でそのボタンを押させるためには?
そう、自発的に動かないと変わらないし、本当に助けを求めるひとほど手をあげない。
前作を読んでいたので最初は支援者の目線で見るのですが、自分にもこういう面はあるのではないかと思ってしまうし、また環境であったりちょっとしたことで負のスパイラルにはまるのかもしれない。
そんな中にあっても他者とのかかわり(承認)は救いになる。またその他者に自分がなるかもしれないと思うと、自らの人への視線について考えさせられました。