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冬虫夏草

2014-01-28 08:20:42 | 
「家守奇譚」と続けて再読しました。
やはりこの時代の風情がイイなぁ。あやふやなものがあやふやなまま存在を認められている時代。色々な物事と、人や人ならざる者に繋がりがある時代。

結局のところ、ゴローは何をしていたのかなぁ。
大層な物事に関わってしまい、でもそれはそんなに簡単に解決する問題ではなく、時間のかかる、時代さえ変わる、生を受け死んでいく生き物の持つ短い時間では到底どうこう出来るわけもなく、でも律儀なゴローは関わってしまったからには捨ててはおけず、帰るに帰れなくなっていたのかしら。
高堂はそんなゴローを見かねて、綿貫に迎えにこさせたのかなぁ。

そして高堂自身は、有限の時を生きるゴローをおもんばかっている内に、無限の時の中に居る自分を侘びしく感じてしまったのかなぁ。
生きとし生けるものが持つ時間の流れから外れている自分。良くも悪くも成長し変化していく綿貫に取り残されていく、そんな感覚、そんな寂しさ。だから綿貫の元へ、足が向かなくなってしまっていたのかなぁ。
洞に入ったらこちらに来てしまうことを綿貫に伝えなかったのは、意識的なのか無意識なのか。
今度はどういう風に、綿貫に会いにくるのだろう・・・



 「冬虫夏草」梨木香歩


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