沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

沖縄で医療機関支援、事業承継、相続対策に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

事業承継目的の持株会社の作り方

2012-03-23 15:53:59 | 事業承継
最近、私どものお客様の中でも、事業承継目的で持株会社を作られる方が増えてきています。

持株会社とは、既存の事業会社の株式を保有することを目的とした会社であり、通常、いつくかの方法がありますが、本日は、持株会社を利用して、既存事業会社の発行済株式を全額買い取る方法をご紹介します。

方法1.後継者が設立した新会社が既存の事業会社の株式を買い取る方法

親族関係が複雑であるため、オーナーが所有する自社の株式を後継者に贈与すると、後々、遺留分の問題等でトラブルが発生する可能性がある場合には、後継者が対象会社の株式を買い取ることがベストです。
しかしながら、大抵の場合、対象会社の株式の時価は額面の数十倍になっており、個人で簡単に出せる金額ではありません。
そこで、後継者が100%出資(資本金は100万円程度でもOK)して新会社を設立し、その新会社が既存の事業会社の株式を現オーナーから買い取るという手法をとります。

新会社は買取資金を、現オーナーもしくは既存の事業会社、あるいは金融機関から調達し、その後、毎年、100%子会社(既存事業会社)から配当を受けます。
平成22年の税制改正により、100%子会社からの配当について、法人税等は課税されず、配当金全額が持株会社の手元に残りますので、持株会社はその資金を原資に、毎年、分割して借入を返済すればいいのです。

なお、現オーナーは自社株を持株会社に譲渡することにより、譲渡所得が発生しますが、この所得は20%(所得税15%、住民税5%)の分離課税であり、他の所得と合算されて総合課税されることはありませんので、実効税率が40%を超えるような高額所得者であるオーナーにとって有利になります。

この手法の選択のポイントは以下の通りです。

1.既存事業会社は安定した収益力があり、毎年、持株会社に配当が可能であること

2.持株会社は、必ず、税理士が算定した時価で現オーナーから株式を買い取ること

3.持株会社に資金調達能力があること

以上の手法により、後継者は持株会社の資本金を用意するだけで、持株会社のオーナーになることができるわけです。

事業承継支援を得意とする会計事務所

2012-03-05 20:21:17 | 事業承継
当事務所では、事業承継支援サービスを得意としていますが、今日は、私が会計事務所の立場で事業承継支援に取り組むことになった経緯について、お話ししようと思います。

私は、大学卒業後、大手生命保険会社に総合職として入社し、資産運用部門と経営企画部門で14年の経験を積みました。その後の5年は、大手監査法人にて、財務コンサルティングを手がけました。この時点までは、公認会計士として、上場企業を相手にしていたため、事業承継にはまったく縁がありませんでした。

転機は平成16年に訪れました。大手企業向けコンサルティングに何か物足りなさをを感じていた私は、地方で中小企業のオーナー向けに、東京で長年培った経験を生かしたコンサルティングができないかと考え、琉球銀行の取引先支援部門に転職しました。

琉球銀行に入社した当初は、業績が悪化した企業の業績改善をメインにしていたのですが、私が琉球銀行で唯一、公認会計士資格を保有している人間であることから、次第に県内各地の支店から、税務に関する相談が多く舞い込むようになり、いつしか、お客様の税務相談に応じたり、税務戦略の提案を行うことが本業になりました。

お客様の相談は、それこそ千差万別なのですが、件数で最も多いのが、やはり資産家のお客からの相続相談、そして、次に中小企業オーナーの事業承継相談でした。

銀行が開催した事業承継の相談会での出来事です。
県内でも有名な企業のオーナーが家族を伴って相談会に現れ、自分が所有している株式をどのような形で後継者に引き継いだらよういかという相談をいただいたのです。そのとき、私は顧問税理士がいるのに、こんな大事なことを、なぜ顧問税理士ではなく銀行に相談するのだろうと思い、オーナーに尋ねました。すると、オーナーは、次のような趣旨の話をされました。

「顧問税理士は税務署OBで業界では大変な有力者であるが、顧客対応は無資格の担当者に任せきりで、まったく会社に顔を出さない。税務調査のときに、元部下の税務署員に顔が効くため、顧問契約をしているが、経営相談や税務相談を持ちかけても、まともな答えが返ってきたためしがない。それで、仕方なく銀行に相談に来た。」

この話を聞いて、私は本当に驚きました。
顧問税理士は、法人の申告を行うことから、法人の資産内容や損益状況が手に取るようにわかる上に、オーナーファミリー個人の申告も手がけることが通常です。
つまり、オーナーファミリーの財産状況を最も詳しく知る立場にある上に、必要があれば、いつでもオーナーに会って話を聞いたり、提案したりできるわけです。
銀行や証券会社がのどから手が出るほど、知りたい企業オーナーの財布の中身を完全に把握しているのが、顧問税理士なのに、顧問先企業のオーナーへ事業承継対策の提案一つできていないのです。

できる税理士がいないのなら、自分がやってやろう。このように考え、私は、相続税節税や事業承継支援という、大部分の税理士が不得手な分野を得意をする会計事務所を立ち上げることを決意したというわけです。

というわけで、佐藤晃史公認会計士事務所は、沖縄県内における事業承継支援のパイオニア事務所の一つとして、多くの企業オーナーのお客様から信頼をいただいております。

5年から10年程度の時間をかけて、専門家とともに事業承継を計画的に進めたいとお考えのお客様、ぜひお気軽にお声かけ下さい。