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E. S. ガードナー(A. A. フェア)の Cool & Lam シリーズ、The Knife Slipped(1939年)読了。
バーサ・クール女史の探偵事務所を訪ねて来たのは二人の婦人。一人は母親で、泣いてばかりの娘の代わりに話を聴くと、娘婿の行動が怪しいので調査してほしいと言う。早速その日の夜からラム君が夫君を尾行すると、家には帰らずクルマに乗り換えて若いブロンドの女性をピックアップし、とあるアパートにしけ込んだ。
翌日もラム君が尾行していると、夫君は今度はまた別のアパートに入っていく。また昨日と同じかとラム君がハンバーガーを買いに行っている隙に、何と夫君のクルマが消えている。慌てて前日のアパートに向かうと、何だか人の出入りが怪しい。やがてその夫君が部屋で撃たれて死んでいることが判明する・・・
バーサ・クール女史とドナルド・ラム君のコンビが繰り広げるシリーズものは全部で29編あるのだが、本作は当初シリーズ第2作として書かれたものの出版社側が発表に難色を示し、それ以来ずっとお蔵入りになっていたとか。
確かにバーサ女史の使う言葉はお世辞にも上品ではないけれど、第3作以降をずっと読んだ身には逆に爽快な気すらする。腕力はないけれど頭の切れるラム君が、悪いことスレスレをやってのける豪胆さも清々しいし、か弱い美女にホロっとなるところも毎度のこと。
実はシリーズの第17作まで読んで中断したのは最後まで読むのが惜しいからなのだが、久しぶりに読むとやっぱり底抜けに楽しい。続きはもう少し取っとこう。
A. A. Fair, a.k.a. E. S. Gardner,
The Knife Slipped
(Hard Case Crime)
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