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E・C・R・ロラックの Murder by Matchlight(1945年)読了(邦題『マッチの火の殺人』、新訳『殺されたのは誰だ』)。
戦時下のロンドン。灯火管制が敷かれ真っ暗な夜のリージェンツ・パークで、一人の若者がベンチに座って物思いにふけっていた。すると、目の前の橋の上で男が煙草に火をつけようとマッチを擦った。その瞬間、煙草を咥えた男とは別の顔がもう一つ、暗闇に浮かび上がった。そしてまた暗闇に戻った瞬間、ドスンという音。若者が慌てて掛け寄ると、煙草の男は頭を殴られて死んでいた・・・
前作と同様、スコットランド・ヤードのCID(犯罪捜査課)、マクドナルド警部のシリーズもの。その捜査手法は愚直なまでに丹念な聞き取りと推理。部下もまた同様で、点と点を繋いで線にしていく(前作でも書いたけど)姿は、涙ぐましいほどに逞しい。
凝りに凝って不自然になりそうな技巧的なプロットよりも、このくらいのこんがらがり具合で自然に解れていく方が、安心して楽しめる。
ロラック、も少し続きます。
E. C. R. Lorac,
Murder by Matchlight
(Kindle)
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