
今日は年に一度、大手を振って平日に釣りに行ける日

・・・だったのですが、あいにくの強風で海は大荒れ

仕方なく(でもありませんが)竹竿を弄っています。
今日作業したのは節磨きとすげ口巻き。以前組んだ竹竿2本は、基本的な和竿の作り方を参考にはしましたが、どちらかと言うと自分がやりやすいようにやった感があります。今回3本目を組もうと思い立って、改めて和竿の製作手順を確認してみましたが、知れば知るほどその手順には理(ことわり)があって、しかもそれは過去からの経験と伝統の元にそうなっている訳で、これに倣うことの意味を改めて感じました。
このすげ口巻きもそうですが、継ぎの部分の加工に入る前に竹表面の皮をキシャいで糸を巻き、漆も塗って一度「糸決め」を行うのが正しいやり方。

この後、糸を巻いた部分に一度漆(と言っても本物のうるしではなくフグ印の「新うるし」ですが)を塗ります。





ところで今回改めて、4年ほど前に初めて竹竿を組む時に買ったこの本を熟読していますが、読めば読むほどこの本の値打ちが分かるような気がします。
それぞれの工程の目的や手順がとても平易な言葉で書かれてありますが、それに加えて見事なのがこのイラスト。




著者は「竿かづ」の銘を持つ江戸和竿職人ですが、このイラストを描くために、仕事を終えてから何年もデッサン教室に通ったのだそうです。私は絵の巧拙は分かりませんが、実際に同じ作業をしてみると、これが伝統に裏打ちされて完成されたひとつの「型」だということがよく分かります。
もう1点。この本のまえがきとあとがきに、著者のお人柄がよく分かる、こんな文章があります。
「これからご案内する竹材や仕事の順序、方法などは、現在、行われている私なりの工程の概要と考えられてご利用下さい。ご自分でつくられるつなぎ竿です。のびのびと自由に、魚と遊ぶ釣り竿をつくられることを願って止みません。機会がありましたら、作品を見せていただくのを楽しみにして、本書をお読みになる皆様へのご挨拶といたします。 著者」(まえがき)
「どうぞ、プロのつくった和竿とは、ひと味違う仕上げの和竿をおつくり下さい。本職の場合はいろいろな限られた厳しい条件のもとに和竿つくりをするのですが、趣味の和竿つくりはちがいます。じっくり時間をかけて満足のいく釣り竿をおつくり下さい。」(あとがき)
読んでいてこちらの気持ちが随分と楽になるような文章です。この本のタイトルが『趣味の和竿つくり』となっているのはこんなところに理由があるのですね。
何だか優しく背中を押されるような、そんな気分です。今回の竹竿も、工夫できるところは工夫して、これからの工程をひとつひとつ楽しみながら組んで行きたいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます