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忘年会の流れで銀座に出たのですが、宴会が終わって少し口寂しい気がしたので、以前から行ってみたかったバーに行きました。
通りに面したビルの5階。エレベーターを下りると少し先に重厚な木のドア。店構えからして正統派の格式を感じます。一呼吸置いてドアを開けるとそこは別世界。左手のテーブル席は殆ど埋まっていて、若干騒がしい感じです。客層は高めですが、酔っ払いの大声というのはいけませんねぇ。・・・とちょっと気後れしますが、幸いカウンターは少し空いていたので、荷物を預けて友人と2人、壁際の席に通されます。
この店にはカクテルで有名な上田さんというオーナーバーテンダーさんが居て、初めてそのお顔を拝見しましたが、私たちに付いて下さったのは別の方。友人はオレンジを使ったカクテル、私はブレンデッドのスコッチを使ったハイボールを所望し、待つことしばし。
まず驚いたのは、シェーカーを振る時の真剣な眼差し。上田さんも、それから他のバーテンダーさんもそうですが、一振り一振り、シェーカーの中のお酒と氷に全身全霊を傾けていて、もの凄い集中力です。それを見るだけでもこの店に行く価値があります。
出されたお酒は端正な作りが活きていて、思わず背筋が伸びてしまいます。私の前に置かれたボトルは何やら横文字が並んでいて、これは初めて見るボトルです。ラベルを読むと・・・何だかさっぱり分かりません。何とか "Gaelic Whisky"とあるのを見て、これがゲール語だと気付きます。お酒の名前は"Te Bheag"、これで「チェイ・ヴェック」と読むそうです。調べてみると、スコットランドの北の方、スカイ島で作られているスコッチで、名前の意味は諸説あるようですが「島の小さな娘さん」というような意味のようです。
スカイ島はタリスカーというシングルモルトが有名ですが、どうやらそれをキーモルトとしているようで、とてもさわやかな飲み口です。恐らくグレーンもブレンドされているのでしょう、香りを抑えたまろやかさも持ち合わせていて、1杯飲むとまたもう1杯飲みたくなるような、どこか心落ち着く味わいです。
こういうバーで長居は禁物。1杯ずつ飲んで帰ることしました。出がけに荷物を受け取ってコートを着ていると、私たちを送ってカウンターから出てこられたバーテンダーさんが私たちだけに聞こえる声で「今日は少し賑やかですが、普段はもう少し雰囲気が違いますので、またお出掛け下さい」と仰いました。私たちが騒がしいねと話していたのが聞こえていたのかどうか、それは分からないのですが、そういう一言が出てくるところに、そのバーテンダーさんの気遣いともてなしの心を感じました。
店の名前は「テンダー」。私なんぞが言うまでもありませんが、間違いなく銀座の名店のひとつです。
銀座 TENDER
中央区銀座6丁目5-15 能楽堂ビル5F
03-3571-8343
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