Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

所蔵水彩・素描展 (国立西洋美術館)

2010年05月01日 | 美術・芸術

上野の国立西洋美術館で開催されている「所蔵水彩・素描展」に行って来ました。

松方コレクションにその端を発する国立西洋美術館に、油彩だけではなく水彩の逸品があることはかねてから聞いていましたが、水彩画はその性質上なかなか光に晒されることがありません。そういう理由もあって、今回は特に楽しみにしていました。

会期は2月23日からでしたが、行けるチャンスは土日を除けば週末、夜間延長がある金曜日だけ。これがまたまた打ち合わせが長引いたり出張があったりで、ようやく行けたのは4月もだいぶ過ぎてからでした。

国立西洋美術館は、その常設展だけでも十分一日を潰せるほど充実した展示内容ですが、今回の目的はその展示スペースの一番奥の奥。しかし、展示点数わずか38点と侮るなかれ。圧巻の展示内容でした。

特に、これだけはずっと以前から見たいと思っていた、モロー。

(モロー「聖女チェチリア」1885-90年)

(モロー「聖なる象」1882年)

独特の色彩感覚。緻密な線による描写。いずれも小さな絵ですが、圧倒的な存在感。モローの幻想世界に一気に引き込まれてしまいます。

他にも、セザンヌにゴーギャン、そしてドガなど、見応えのある作品が並んでいますが、意外にも面白いと思ったのは、点描派として知られるシニャックの水彩画。

(シニャック「漁船」)

こうして見てみると、スーラやシニャックがいきなり点描派に行ったのではなく、そこには過去からの伝統に基づく、基礎としてのデッサン力や画面構成力があってこそのものだと分かります。

展示場に居たのは正味1時間くらいでしたが、わずか38点でも時間が足りないくらいでした。

さて、後ろ髪を引かれながら展示室を出て、帰りにミュージアムショップに寄りました。そこで偶然見つけたのが、今回の水彩・素描展のカタログ。と言っても、通常の紙表紙の大判のカタログではなく、普通のハードカバーの本のような冊子です。



中身は作品の写真と解説ですが、これがまた読み物としても面白く、とてもよく出来ています。

(これはセザンヌの頁)

普段私はカタログはあまり買わない(置くスペースに限りがあるので)方ですが、これは思わず買ってしまいました。爾来、平日の夜中、寝る前に少しずつ読んでいますが、これを読むとまた実物を観たくなってきます。会期中にもう1回くらいは行きたいものです。

所蔵水彩・素描展-松方コレクションとその後
国立西洋美術館
2010年2月23日~5月30日

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