エンジョイ・ライフ 『人生楽ありゃ、苦もあるさ!』

「なすべきことをなせ、何があろうとも・・・・・」(トルストイ)

日本の憲法 Vol.18 マクリーン事件

2017年09月22日 | Weblog


アメリカ人のロナルド・マクリーン氏は、昭和44年5月10日在留期間1年間として日本に入国し、英語教師として雇用され働いていた。その1年後に在留期間更新を法務大臣に申請したが、在留期間中にベトナム反戦や日米安保条約反対等のデモや集会に参加していたことや無届で転職をしたことなどを理由に在留更新は不許可となった。
そこで、マクリーン氏はこの処分を不服として提訴した事件。

1審は、「相当広範な裁量権を有する」としながら、「日本国憲法の国際協調主義および基本的人権保障の理念に鑑み・・・、最良の範囲を逸脱する違法の処分である」として、法務大臣の処分取消の判決。
そこで国は控訴した。

控訴審では、「在留許可更新を認めるに足る相当の理由があるときにこれを許可すれば足り、その際の判断は法務大臣の『自由な裁量』に任されており、在留期間中の政治活動を消極的資料とすることも許される」と判示して1審の判決を覆した。
この控訴審判決を不服としてマクリーン氏は上告をした。

最高裁は、上告を棄却し控訴審を支持し確定する。(最大判昭和53年10月4日民集32巻7号1223頁)
「憲法22条1項は、日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり・・・憲法上、外国人は我が国に入国する自由を保障されているものではない。・・・、在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものでもない。・・・、更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広範なものとする趣旨である。」
「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきものであり、政治活動の自由についても、我が国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除きその影響が及ぶ。」と判示している。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿