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シナリオを考えること_2

2024-10-08 08:38:28 | ゲーム

前回はシナリオについて書こうと思ったが脱線に脱線し結局のところ「歴史を学べ」という結論で終わってしまった。実際のところコレに尽きるのだがそれでは身も蓋もないので嚙み砕いていこう。偉そうなことは言えないが、一つのゲームを作り終えた人間として伝えられることは伝えておきたい。

作る前に決めることがいくつかある。①結末 ②世界観 ③過去 ④テーマ が少なくとも必要かと思う。

①結末・・・ゲームのエンディングである。世界(物語の舞台)が平和になるのか破滅するのか。主人公は英雄となるのか、旅に出るのか、死ぬ(消滅する)のか。もちろん これらの結末が全てではなく色々な物語の終え方はあるだろう。自分自身がどのような終わり方が一番達成感があるか、まずはそこに注視すれば良いと思う。無難なのはやはりハッピーエンドだ。プレイヤー自身も悪い気はしないしエンディングまでたどり着いたご褒美として最も相応しいラストであろう。しかし個人的には単なるハッピーエンドは好きではない。何故なら単純につまらないからだ。エンディングに至るまでに主人公が想像を絶するほどの苦労・苦痛・絶望を味わせないとハッピーエンドの美しさが際立たないと考えている。例えば 「FF9」、「幻想水滸伝2」、「シュタインズゲート」。この辺りが個人的に絶賛したいハッピーエンドであった。(もちろん他の名作も多々あるがキリがないので)どの作品も主人公に定められた宿命や逆境が物語の随所に散りばめられ、苦難を乗り越えられた末に手に入れたハッピーエンドであった。ここまでの逆境シナリオを自分自身で作り上げるのは理不尽だと刷り込ませるシーンを複数用意しなければならないので精神的にしんどいところもあるだろう。ハッピーエンドの質を上げるにもちゃんとした下地が必要だということだ。ではバッドエンドにすれば良いか?これは愚問と言わざるを得ない程にNGだ。何をバッドエンドと定義するかにもよるが そもそもバッドエンドであった作品の大概は続編があり、続編でスッキリさせるという建付けが一般だ。単発作品でバッドエンドという作品はちょっと思いつかない。何よりも夢も希望もない、悲しさだけのエンディングなんてのは胸糞が悪いだけである。実は一番しっくりくるエンディングは大団円とも言えずとも後味も悪くない「ベターエンド」なのかもしれない。犠牲は大きいが得るものも大きかったというエンディングはプレイヤーの気持ちの落としどころとしてもしっくり来るだろう。また、ちょっと違う切り口で言えば、「これでよかったのだろうかエンド」も個人的には嫌いじゃない。主人公キャラの正義が勝利を勝ち取るが、果たしてそれは絶対に正しい正義なのか…という含みを持たせるものだ。これを代表させる作品は「ブレスオブファイア3&4」である。この作品は思想や哲学に訴えるような側面が強い。だがしかしコレは諸刃の剣である。作者は何を伝えたかったの?とか結局は投げっぱなしかよ。とか、しっくりこない。等の批評はあるものと考えておいた方が良いだろう。余程説得力のある物語を作らないとプレイヤーに伝わらない。素人が手を出す手法ではないかもしれない。・・・とまあ色々と結論は出せていないが、やはりハッピーエンドを前提にどのようなハッピーにするかを最優先で考えるのが一番宜しいかと思う。

②世界観・・・世界観を統一させることは当たり前のことだが重要である。ペルソナシリーズのように現実社会に近い世界観にするのか。剣と魔法のファンタジーなのか、中世を連想させる王国主義なのか。亜人種(モンスター)を討伐する世界観なのか、人間対人間の国同士の戦いがメインなのか。考えれば考える程 色々なイメージが湧くだろう。それで良い。想像を膨らまして固めていくものである。問題は世界観のちぐはぐを極力なくすことだ。例えば特殊能力(所謂 魔法)。この概念はゲームでは至極一般的だ。ただコレが厄介なのである。ファンタジーの世界観であれば魔法という概念はなんの違和感もないが、現実社会に近い世界や、スチームパンクな世界で当たり前のように魔法が扱えてしまうのは少々力技すぎる気がする。何故、この世界で特殊能力が使えるのか、という前提部分の理由付けは必要だ。ペルソナであれば「影の世界」という現実社会と逸脱した異空間がありその舞台で特殊能力が使える。であったり、FF7のようにマテリアという特殊な物質を媒介として武具に装着させることで特殊能力が使えるという理由付けである。プレイヤーが感じる世界観の違和感をクリアにする理屈は必要だ。もちろん どの作品においてもなぜを繰り返せば違和感だらけなのだが、少なくともなぜ・なぜの2回分くらいにの掘り下げには答えられる理屈はあった方がいい。特殊能力に限らず世界観の統一にはいずれにしても必要な検討事項だろう。

③過去・・・シナリオの本編の前に起きた出来事(過去の物語)を最初の時点である程度想定しておいた方が良い。前回の記事でも記述したように良いシナリオとは過去の物語がしっかりしている方が厚みを増す。過去の物語を本編で少しずつ小出しにしていくことで本編の真相が紐解かれる、なんて言う手法は良いゲームのセオリーだ。この辺をある程度固めておけばラスボスを誰にするか、ラスボスの使命というところも無理なく収まっていくかと思われる。理想を言えば自分自身の構想の中で過去の物語で1作品のゲームが作れるな、という程度まで練られると満点だ。とは言えそこまで念入りにやってしまうと本編が手つかずの本末転倒となってしまうため、そこまではやらなくても良い。しかし最低限過去の物語も含めた本編エンディングまでを通した時系列の出来事(年表)は作った方が作っていく中で齟齬は出ないだろう。

④テーマ・・・シナリオを通してプレイヤーに訴えかけるテーマがあった方が良い。なくても良いが、あった方がキャラクターのセリフや動きに躍動感が出るような気がするしシナリオもブレない。「恋愛」であったり「家族愛」「友情」「復讐」「自分自身の存在意義」「命の尊さ」「環境問題」「国盗り合戦」「差別」「民族問題」「宗教」「パワーゲーム」…と、まあ色々ある。これまで自分自身がプレイしたゲームのシナリオなどを思い返せば何かしらテーマと思われるものがあったはずだ。また、テーマは極力一つに絞った方が良い。作品に複数のテーマを持たせてしまうと何が主軸だったのかわからなくなってしまうからだ。多くても二つまでが限界だろう。更に言えば嚙合せの良いテーマを選ぶのが肝要。上記の例で言えば、「友情&国盗り合戦」というテーマを選べば「相反する敵国に属する友との板挟みで苦悩する主人公を描く」といったメインシナリオが作りやすい。しかし「環境問題&差別」というテーマを設定してしまうとどうにも一つのメインシナリオに落とし込むのが難しい感じがする。また、むやみに「民族問題」や「宗教」に首を突っ込むのも避けた方が良い。社会風刺として刺さる部分も多いが、不特定多数の人間にプレイしてもらうと考えたときに言い回しや表現を考えないといけないデリケートな問題だ。特に日本人は海外と比較して民族・宗教に対しての理解はかなり乏しいと思っておいた方が良い。数あるイベントの一つとして取り上げる程度であれば良いがメインシナリオに据えるならば、しっかりとした知識が必要だ。

このあたりを構想を確定させて、シナリオの全体像が おぼろげになってくる程度であろう。まだまだこれから。シナリオ作りの苦行はイベントを作り始めてからだ。続きは次回。


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