<山ノ内尾根からの眺望>
閑話休題:気儘な一日
谷戸池と台峯
2010年5月27日(木).曇後雨
■とりとめもなく・・・
昨日は甲州道中四十五宿の第2回目の旅をした.この旅の模様は,別途整理して,近々,このブログに掲載するつもりである.まあ,それはともかく,今日の所はブログ記事は一休み・・・というよりは,まだ,未整理だった前回第1回目の旅の続きをブログに載せることにしよう.
朝から小雨が降っている.こんな日は,終日ノンビリと家で過ごすのも乙なものだな・・・と,朝の内は思っていた.
まずは,パソコンの電源を入れて,前回第1日目の残りの記事を整理する.必要な地図などを本文に挿入している内に,瞬く間の2時間ほどの時間が過ぎてしまう.飽きてくると,パソコンの直ぐ隣に置きっぱなしになっているイーゼルの前に屈み込む.ここには数日前から描き始めた水彩画が出しっぱなしになっている.
描きかけの絵を覗き込んでいると,あちこち塗りまくりたくなる.でも,パレットの上で,いろいろな色を混ぜ合わせてみるが,なかなか思うような色が作れない.その点,パソコンはマゼンダ,シアン,黄色の3原色だけで,よくもまあ,綺麗な色を表現できるなと感心する.
ああでもない,こうでもないと色をこねくり回している内に,だんだんと濁った黒い色になってしまう.そこが面白くもあり,悔しくもある.そのうちに,例によって,
「・・まあ,いいか・・」
で妥協する.そして,再びパソコンに向かって,ブログ記事を書く.
こんなことをしているうちに,どちらも飽きてしまう.
今,描いている絵には特別な感慨がある.この絵を描いた位置は,氷河沿いの断崖の上である.前方には壁のようにそそり立つ尖峯,グランジョラスが見えている.その手前には,ごつごつと切り立った岩山が暗くて恐ろしい感じの陰影を,流下するメールドグラス氷河の上に落としている.
断崖に建った私たちは,荒々しくも美しい光景に息を飲む.これから,足許の断崖を下って,今見えている氷河に降り立つ予定である.
私は現場で描き殴ったスケッチを頼りに20号の大きさの絵に仕立てようとしている.途中で撮った写真なども参考にしているが,写真に写っているとおりに描くのでは,自分の感情が画面に表れない.あのとき感じた自然に対する畏怖の念,神々しさ,怖さ・・そんなものが,見ていると沸々と湧き上がってくるような絵を描いてみたい.不可能かも知れないが・・・
・・・んで,まあ,・・5月27日正午現在の絵は,やっとこんな所である.
多分,チョコッと色を塗っては,また休む.そしてパソコンを弄る.飽きたらまた,チョコッと絵に色を塗る.こんな繰り返しを,多分,1ヶ月程度は続けることになるだろう.その間に,今の絵が未完成なのに,気分転換を兼ねて,また,次の絵の下書きも多分始めるだろう.
「・・なんで,お前さんは,そう移り気なんだ! あちこち手を広げないで,今の絵を,さっさと描いてしまったら・・・」
と,心の奥底に住むもう1人の私が,この私に注進する.
<描きかけの絵>
■コーヒーでも味わいに出掛けるかな
少し早めの昼食を摂る.窓外を眺めると,どんよりとした雲が低く垂れ込めている.窓越しに見えている鎌倉中央公園の森が薄墨で描いた絵のように,雲の中でうっすらと見えている.そんな森の中で,2羽のコジュケイが,競うようにけたたましい声でがなり立てている.
私は,半日家の中で過ごしただけなのに,もう外に出て,そこらを歩きたくて仕方がなくなる.そんな私を,例によって,またもや,心の中のもう1人の私が,ニタニタしながら冷やかす.
「・・なんで,こんな日に外へ出たがるんだ.今にもまた雨が降りそうじゃないか.いい年をして,落ち着きがないったらありゃしない・・」
「まあ,そう言うなよ.さっき雨の中でもコジュケイが元気よく啼いていたじゃないか.余り遠くへは行かずに,その辺りだけ,ちょっと散歩してくるよ・・」
私は懸命にもう一人の私を説得する.それに,散歩をするのは,家にジッとしているのが嫌というだけでなく,負傷した右足の回復状態を確かめたいからでもある.
13時頃,私は折りたたみ傘とデジカメを持って家を出る.道路は先ほどまでの雨で濡れている.
まずは,寺分口から鎌倉中央公園に入る.こんな悪天候なので,園内には全く人影がない.雨上がりの木々の新緑が,とてもみずみずしく鮮やかである.
私は,園内を30分ほど軽く散策してから家に戻るつもりだったが,歩いている内に気が変わる.今日もテクテク歩きで大船まで出てから,どこかのコーヒー屋でコーヒーを賞味しようかと思い立つ.
<緑陰の散策>
■散策経路
■鎌倉中央港を抜けて・・
今朝まで降り続いた雨のために,園内の新緑がとても瑞々しくて美しい.まだ濡れている園内の遊歩道.公園を抜けて,山崎口から谷戸に沿って伸びる住宅地をブラブラと歩く.そして薬師堂跡の三叉路まで歩き進んだときに,また,このまま大船へ行こうか,それとも,この三叉路を右折して,新緑が美しい台峯へ廻ろうかと迷う.
「・・ははあ,お前さん,コーヒーを取るか,それとも新緑を取るかで,迷っているな・・」
と心の中の天の邪鬼な私が,この私を冷やかす.
私は山崎小学校脇を通り抜けて,谷戸池に向かう.
つい先日ここを通ったときよりも,随分と下草が伸びている.人一人がやっと通れるほどの散策路は,草で覆われて,ほとんど見えなくなっている.下草をかき分けるようにして歩き続ける.鬱蒼とした緑のトンネルが続く.あちこちからウグイスの囀りが聞こえてくる.
<魯山人窯跡付近:これは絵になるなと思いながら通り過ぎる>
<緑したたる谷戸の散策路:まだ蚊やアブも出ていないのでとても心地がよい>
■谷戸池
静まりかえった谷戸池湖畔を通り抜けて,山ノ内の尾根道に突き当たる.左折して尾根道を北鎌倉女子学園のグラウンドの方に進む.グラウンドの直ぐ手前で,尾根の反対側に広がる展望台に出る.
<谷戸池:静寂そのもの>
■山ノ内から六国見山を望む
いくら天気が思わしくないとはいえ,家を出てから,ここまで誰にも会わなかったから不思議である.
ここからの眺望は,何時来ても素晴らしい.切り株を並べた椅子に腰掛けて,前方に広がる六国見山,勝上嶽,裏大仏ハイキングコースが抜ける尾根がパノラマのように広がっている.私が知る限りでは,ここからの展望が鎌倉では最高だと思っている.
<山ノ内の見晴台から六国見山方面を望む>
※画面には入っていないが,この写真の右手の方まで展望が開けている.
鎌倉で一番展望が素晴らしいところではないかと思っている.
■山ノ内配水所
さてこれから北鎌倉へ抜けようか,それとも山ノ内配水所脇を通って源氏山公園に抜けようか.ここでも,どこへぬけようかと迷うが,まあ,今日の所は,とりあえず山ノ内配水場の方へ行こう・・そこから先は,また,そこで考えよう.
山ノ内配水場の手前の三叉路に到着する.たまたま,源氏山方面から犬を連れた方が近付いている.私は犬が苦手である.何で犬が苦手なんだと聞かれても,自分でも良く分からないので答えようがないが,とにかく犬は嫌.それで必然的に梶原住宅地に向かうことになる.
■梶原から鎌倉中央公園へ
ここからは,もう成り行きで,鎌倉中央公園梶原口へ向かう.それに歩いている内に,無性に絵が描きたくなった.私は,かなり急ぎ足で,中央公園へ戻る.
中央公園にある市民農園の田圃には,水が張られている.もうすぐ田植えのようである.この風景も季節を感じさせる風物詩になっている.
昔,昔,戦争中,銃後を守る私たち青少年の上級生は生産現場に動員,下級生は農家の手伝いで毎日を過ごした.その間,田植えもしたし,田の草取りもした・・そんな思い出が,この田圃を見ていると思い出す.折角,中学(旧制)に進学したのに,来る日も,来る日も,農業戦士として働いた.その間,勉強はほとんどなかった.学校では軍事教練ばかり・・
田圃を見てると,そんな昔,昔の日々のことを,嫌でも思い出す.そのためか,私は今でも野良仕事には,どうしても,ある種の嫌悪感を感じてしまう.
よく「三つ子の魂百まで」というが,これは確かなことのように思う.小学校時代からずっと受けてきた軍国主義に基づく教育,それと大東亜戦争(敢えて第2次世界大戦とは言わない).その間に叩き込まれた思想は,いくら歳月を過ぎても,いくら忘れようとしても,ふとした切っ掛けで,頭の中で湧き上がってくる.これはどうしようもないことである.正に「馬鹿は死ななきゃ治らない」と言われているのと同じである.
私は,水をかぶった犬のように,頭をブルブルと振り回して,フラッシュバックした過去の記憶を振り払う.そして,市民農園脇の道を急ぐ.
■ハーブ園へ
中央公園の事務所の建物を抜けて,ハーブ園に入る.特段,ハーブに興味があるわけではない.ただ,公園入口まで,往路と同じ道を戻りたくなかったので,別の道を選んだら,たまたまハーブ園を通過することになっただけである.
しかし,ハーブ園に入ってみると,とても綺麗な花が咲いている.花の近くに花の名前が書かれた板切れが挿してある.でも,花と板切れの位置が微妙で,板切れがどの花を指しているかが,今ひとつハッキリわからない.でも花が余りにも可愛いので,おもわず道草.
<ハーブ園の花:名前は分からない>
■足の調子
ところで,負傷した右足の具合だが,今日の所,普通に歩いている分には,何の支障もなさそうである.ただ,急ぎ足にすると脹ら脛が硬くなる感じがするし,走ろうとすると痛くなる.まだ,まだ,本調子とはいえないようである.
明日は五十三次洛遊会のメンバーと一緒に,芦ノ湖西海岸を一回りする予定である.
2010年5月28日(金). 曇後晴
東海道五十三次洛遊会メンバー5名と,芦ノ湖西岸を散策した.右足のテストを兼ねての参加である(詳細は別途掲載).箱根町から歩き出して,西海岸を一回りして,桃源台までの11.5キロメートルのプチハイキングである.
ただ西岸を歩いたのでは,ほぼ水平な道だけ.これでは面白くないので,箱根旧街道の急坂を登り,道の駅で一休み.ここから白浜に下った.
上空に雲が立ちこめて,箱根駒ヶ岳の山頂は終始雲の中だったが,湖畔の素晴らしい新緑を堪能した.
右足の調子は,まあ,まあ.特段の支障はなかったが,どうしても故障中の右足を庇っているのだろうか,何となく疲れた.帰りしなの電車の中では眠くて困った.
帰宅後,ほとんど何もせずに,20時頃,睡魔に勝てずに就寝.
こうして,また今日も貴重な1日が過ぎていく
(おわり)
「閑話休題」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/afbde0f3c40039de943de038ce4ced2c
「閑話休題」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/452a194e7f2b19cefab8afa0200f0bb6
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