中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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シカとネコに出会った春の丹沢;塔ノ岳(今年14回目)

2014年03月19日 21時28分03秒 | 丹沢の山旅

                            <尊仏山荘のネコ“ミャ~君”>

   シカとネコに出会った春の丹沢;塔ノ岳(今年14回目)
            (常連に同行)
        2014年3月19日(水) 曇

■春らしくなってきた
 寒さ厚さは彼岸までと良く言われるが,正にその通りだと思う.
 今日は寒の戻り…とはいえ,一時に較べると随分と暖かくなっている.さすがにこの時期になると,朝寒くて中々起きられないということはなくなる.私は何時も通り4時10分に家を出発する.
 この頃は夜が明けるのも大分早くなり,小田原に到着する頃は,すっかり明るくなっている.小田原発6時03分の電車に乗車する.車内はガラガラに空いている.座席に子ども座りに近い格好で座って,車窓の風景を楽しむ.
 急行電車が新松田に近付く頃,矢倉岳が見え始める.上空は曇っているが,矢倉岳の奥に,山麓まで雪で真っ白な富士山が,うっすらと見えている.私はモタモタしながらデジカメをリュックから出して,矢倉岳と富士山の写真を撮る.この写真の矢倉岳の後ろに真っ白な富士山がうっすらと写っているはずだが見えるだろうか.
 次いで電車がそろそろ新松田駅に到着する頃,進行方向左手の山腹に綺麗な桜(?)が沢山咲いているのが見える.前々から新松田で途中下車して,あの桜を見物したいなと思いながら,未だに実現していない.
 
<車窓から;富士山と矢倉岳>                  <車窓から;新松田の桜>

■大倉行1番バスは混雑
 6時20分,渋沢に到着する.私が大倉行1番バスの1番乗りである.私がバス停のベンチにリュックを下ろすと同時に,男性の登山客お一人が到着する.互いに挨拶.シャイな私は自分から積極的に話しかけることはしない.そして柱の陰に隠れるようにして,全身のストレッチ体操を続ける.
 やがて電車が駅に到着する度に沢山の登山客がバス待ちの列に加わる.NMさん,STさん,TGさん,TDさん,YUさん,UMさん,NGさん,SSKさん,NMさん,MTさん,Hさんなど常連の皆さんも顔を揃える.今日は平日にもかかわらず沢山の立ち席が出るほどバスは混雑している.
 NMさん,STさんはバスが大倉に到着すると同時にソソクサと歩き出す.常連の方々も次々に歩き出す.私は大方の常連さんより遅れて,TGさん,SSKさん,NMさんと一緒に,7時08分に大倉から歩き出す.
 バス停付近の舗装道路は良く乾いている.登山口から登山道に入ってからも路面の状態はかなり良いので歩き易い.私たちは雑談をしながら,随分とユックリした歩行速度を保ちながら歩き続ける.途中でリハビリ登山中のTGさんが遅れ始めたので,雑事場ノ平手前ぐらいからは,SSKさん,NMさんと私の三人旅になる.
 たまたま先頭になった私は,
 「私,ユックリにしか歩けないので,お先にどうぞ…」
と先頭を譲ろうとするが,お二人ともユックリ登るとのことなので,そのまま三人旅を続ける.

■見晴階段
 雑事場ノ平付近で,私たちより先に歩き出したNGさんに追い付く.
 7時49分,見晴山荘に到着する.山荘前からの見晴を期待していたが,今日は残念ながら,山麓から雲が湧いていて,ほとんど視界が利かない.
 引きつづき見晴階段に差し掛かる.例により階段下から坂を見上げた写真を撮る.今日は平日のためか登山者の姿は全くない.
 今日は曇り空なので,何時ものように真横から射し込む日射しがないので,すこし憂鬱な雰囲気である.
 この階段を張り切って登ってしまうと,後半でバテてしまうので,心してユックリと登り続ける.後ろのお二人も,私を追い越すことなく,私のスローペースにお付き合いしている.

<人影のない見晴階段>

■まだ雪が残る駒止階段
 一本松を過ぎる頃から,日陰の斜面に残雪が見られるようになる.登山道の路面も濡れ始める.
 やがて,駒止階段に差し掛かる.路面に残雪が見え始めが,それでも,ここ1週間の間に残雪は随分と少なくなっている.少なくなったとはいえ,階段の登り始めと真ん中辺りには,まだまだ大量の雪の吹き溜まりがあって,階段は分厚い雪の下に埋まっている.
 残雪の上には沢山の踏み跡があり,表面は泥だらけになっている.今朝は気温が高いので,雪の表面は溶け始めている.それに登山道の泥んこは朝からもう融けている.
 8時20分,堀山の家を通過する.大倉からの所要時間は1時間12分.4~5分遅いような気もするが,まあこんなものだなと思いながら駒止茶屋を通過する.

<駒止階段>

堀山の尾根道は泥んこ
 吹き溜まりの残雪通過して堀山の尾根道に差し掛かる.まだ朝が早いのに登山道はもう泥んこ道になっている.ただ,泥んことはいえ,これまでのような田んぼ状態ではなく,いくらか歩き易くなっている.
 やがて富士山が良く見える場所に到着する.
 残念ながら深い霧に視界が遮られていて,富士山は全く見えない.でも,儀式は儀式.私は見えない富士山の写真を撮る.


<富士山は霧の中>

■堀山の家
 8時38分,漸く小草平に到着する.堀山の家付近には全く人気がない.
 堀山の家の掲示板を覗く.先週土曜日に私が掲示を依頼した神奈美展の案内が張り出されているか確かめる.
 沢山の山の知人に,来場して貰いたいなと念じながら堀山の家を通過する・
 「ここから,花立山荘まで43分程度掛けてユックリ登ります…お先にどうぞ…」
と,またまた先頭を譲るが,私が先頭でよいとのことなので,
 “それならば…”
ということで,全くのマイペースで登り続ける.

<堀山の家の掲示板>

■霧の中のシカ
 堀山の家からの坂道を登っていると,前方で何かが動いているのが目に着く.
 若いシカである.近付く私たちを恐れる様子もなく,頻りに草を食(は)んでいる.私はソッと近付いて写真を撮る.
 実に可愛い.こんなに可愛い動物が食害をおこしたり,ヒル運びの害獣にされてしまうのが実に残念である.何とか共存できないだろうかと思うのは,感傷に過ぎないのかな.
 
<シカを見つける>

■霧の萱場平
 私はリズムを一定に保ちながら,完全にマイペースで登り続ける.その内に,私の後ろにお二人が居ることも忘れて,いろいろなことを妄想しながら,ロボットのように,全く同じペースを保って自動運転を続ける.
 歩きながら来月開催の神奈美展に出展する絵のこと,たまたま見た放送大学のテレビの内容のこと,故郷の浅間山のこと,STAP細胞のことなど,ごちゃ混ぜに妄想する.
 8時57分,戸沢分岐に到着する.私は,
 “ハッ…”
と我に返る.
 …そのとき,たった今,自分がどこの経路を通って登ってきたのか思い出せないのに愕然とする.同時に馴れた山道なら無意識でも,ほぼ安全に登れるものだと感心する.そういえば心理学でこんな状況があることを聞いたことがあるような気がする.
 いずれにしても,もう一寸,気合いを入れて登らなければダメだと内心で反省している.
 萱場平手前の大きな雪の吹き溜まりは,もう殆ど消えている.
 萱場平で定点観測の写真を撮る.この辺りは雲の中らしく,辺り一面に濃い霧が漂っている.
 木道を過ぎると泥んこ道になるが,今日は泥んこ度が大分良くなっている.

<霧の萱場平>

■花立山荘
 萱場平から先も,相変わらずのノロノロ登山である.高度が増すにつれて,凍結した泥氷が溶け出して滑りやすくなっているところが増えるが,なあ大過なく登り続ける.
 やがて後7分坂に差し掛かる.坂の下から眺める富士山は実に見事なはずだが,今日は富士山はおろか,近場の山々も濃い霧の中である.
 ノロノロと後7分坂を登り始める.坂の途中に,まだいくらか残雪がある.滑らないように注意しながら残雪を登りきる.そして,9時21分,ようやく花立山荘に到着する.
 山荘前の広場で,下山してくるNMさんとすれ違う.何時もは後7分坂を3分の2ほど登ったところでNMさんとすれ違っているので,今日のNMさんは何時もより数分遅いように見受けられる.
 今日は大倉から花立山荘まで2時間13分も掛かっている.堀山の家からの所要時間は43分.こちらは当初計画の通りである.ということは,大倉から堀山の家までを慎重に歩きすぎたのだろう.このあたりにラップタイム管理の問題点があるように思える.
 今日の花立山荘は全く人の気配はなく静まり返っている.辺り一面に濃い霧が掛かっている.

<花立山荘>

■雪が消えた金冷シ
 花立山荘から残雪の山を越えて,花立山へ向かう.私にとっては,大倉尾根の中で,この辺りが一番シンドい感じがする.体力を消耗しないように,小股歩きに徹して登り続ける.
 いつもなら,花立山手前で富士山や相模湾の写真を撮りながら登っているが,今日はどちらを向いても霧また霧である.さすがの私も,霧ばかりでは写真を撮る気になれず,写真を撮らないまま,9時30分に花立山山頂を通過する.
 花立山から先は残雪が多くなるがアイゼンを着用するほどではない.
 9時35分,金冷シに到着する.後ろに居られたSSKさんが少し遅れ気味である.
 金冷シ付近の残雪は,もう殆ど消えている.ついこの間まで雪の下になっていた階段が見えるようになっている. 

<雪が消えた金冷シ>

■霧の塔ノ岳山頂
 金冷シから先は,少なくなったとはいえ,例年に比較すると,まだまだ残雪がある.ところどころノーアイゼンだと登りにくいところもあるが,アイゼンなしで登り続ける.
 山頂近くの急坂を登っているときに,下ってくる韋駄天のSTさんとすれ違う.
 9時53分,私とNMさんの二人は,無事,塔ノ岳山頂に到着する.山頂は濃い霧に覆われている.山頂の気温はマイナス3℃.微風だが冷たい風が吹いている.
 山頂の残雪はすっかり少なくなっている.つい先日の土曜日には,山頂全体が雪に覆われていたが,今日は地肌の大半が雪の上に露出している.
 「SSKさんが到着するまで,待ちましょう…一緒に尊仏山荘に入りましょう」
とNMさんが優しい気遣いをする.
 大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間45分.決して速くはないが,まあ,それほど遅いというほどでもない.花立山荘からの所要時間は32分.こちらはちょっと遅かったかな…
 山頂からの景色は,霧だけ.何も見えない.近くに建っている尊仏山荘も霧で霞んで見えている.

<霧の塔ノ岳山頂>

尊仏山荘
 山頂で2~3分待っている間にSSKさんも山頂に到着する.そこで3人揃って尊仏山荘に入る.
 先客は同じバスに乗っていたYUさん,MTさん,Hさん,それに登山客2人.今日の小屋番はWDさん.
 私は何時も300円也のお茶を所望しているが,今日は趣を変えて,久々に400円也の甘酒を所望する.
 この甘酒の甘いのなんのって…ちょっとお湯で薄めたくなるが美味しい.甘酒を賞味しながら,居合わせた常連の皆さんと楽しく雑談を交わす.
 10時を大分回った頃,同じバスに乗り合わせたNGさんが尊仏山荘に到着する.さらに10時30分頃,TGさんが到着する.

<尊仏山荘の甘酒>

■ネコ三昧
 私たちが尊仏山荘に居る間,山ネコ“ミャ~”君は,ずっと石油ストーブの前で,暖を取っている.ここは客席の中でも一等席.ミャ~君が一等席を占有していても,客の誰も文句など言わない.それだけ,ミャ~君が可愛いからである.
 何時ものように,ミャ~君の写真を何枚も撮る.
 10時半頃,次々に登山客が尊仏山荘に入ってくる.山荘内が混雑し始めたので,そろそろ引き上げる潮時かなと思う.
 10時40分頃.TGさんが,
 「下りに時間が掛かるから,一足先に下山します…」
と挨拶して山荘から出発する.

<石油ストーブ前のミャ~君>

■下山開始
 10時46分,私たちも下山開始.
 雲がいくらか上に上がったのか,表尾根の山々が雲の下に見えている.
 山頂は冷たい風が吹いていて寒い.よほどヤッケを羽織ろうかとも思ったが,山頂からほんの少し下れば暖かくなるのが分かっているので,敢えて薄着のままである.
 少々面倒だなと思ったが,まあ,念のために,山荘の軒下で6本爪アイゼンを装着する.
 マイスピードで下山し続ける.
 金冷シの手前で,先発のTGさんに追い付く.
 11時丁度に金冷シに到着する.ここでアイゼン脱着.金冷シからSSKさん,NMさんと一緒に下山し続ける.
 11時10分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチは沢山の登山者で満席状態である.
 後7分坂には,登るときに確かに残雪があったが,今は残雪がすっかり綺麗になくなっている.
 ときどき登っている登山者とすれ違いながら,普通の速度で下山し続ける.

<雲の下に表尾根の山々が見え始める>

■常連と付かず離れずに下山
 11時45分,堀山の家に到着する.
 私たちがノンビリ歩いていたせいか,後かが下山し始めたUMさん,FTさん,MTさん,Hさんが私たちに追い付く.以後,皆さんと一緒に付いたり離れたりしながら下山し続ける.
 堀山の家を通過志下途端に,SSKさんが歩行速度を速める.
 「何か用事? 急いでいるの…」
とNMさんが質問する.
 「いえ…急ぎの用事はないけど,体調が良いので…」
ということで,たちまちの内に,SSKさんは私たちの視界から消える.
 その後も,常連さんと付かず離れずで下り続ける.
 堀山の尾根道は相変わらず泥濘がひどいが,それでも,前回までの泥んこ道に比較すれば大分マシである.
 12時49分,無事,大倉に下山する.
 大急ぎで登山靴の泥を水場で洗って,大倉発12時52分のバスに乗車する.今朝1番バスに乗車していた大半の常連が,再び同じバスに乗車している.

■渋沢駅でお茶
 バスが渋沢駅に到着する.
 SSKさん,NMさんのどちらからともなく,
 「…お茶を飲んでいきましょう…」
と誘われる.
 “勿論,喜んで…”
 渋沢駅1階のミスタードーナッツに入る.YUさん,SSKさん,NMさんのお三方がご一緒である.
 前回,ここを訪れたときと同じ店員が,とても明るく応対してくれる.名前は分からないが“さかな君”に良く似た雰囲気の子である.明るい店員の応対を受けると,こちらも明るい気持ちになれる.有り難いことである.
 私はコーヒーを自粛してソーダ水にする…と,言うのは帰宅後コーヒーをユックリと飲みたいからである.それというのも,数年前に,コーヒーを飲み過ぎて胃を痛めたことがあったから,1日辺りコーヒーは3~4杯を上限としているからである.
 一同,お茶をしながら,TGさんが多分次のバスで現れるだろうと期待して待っている.

<ミスタードーナッツ>

■階段二段跳びを繰り返して帰宅
 私は小田原発14時04分特別快速高崎行の電車に乗りたい.それには渋沢発13時37分の電車に乗らなければ間に合わない.
 私は,13時35分,ギリギリの時間までミスタードーナッツでTGさんを待つが現れない.私は皆さんに,
 「先に失礼します…」
と挨拶してミスタードーナッツを飛び出す.
 渋沢駅の階段を駆け上ってから,ホームに駆け下りて,ギリギリのところで電車に飛び乗る.車内は空いている.背中に暖かい日射しを浴びながら座席に座っているとたちまちの内に睡魔に襲われる.
 “睡ってはいけない…睡ってはいけない”
と思いながらも,ついつい居眠りをする.そのたびに碌でもない夢を見る.
 小田急電車が少し遅れたので,小田原駅で,またまた階段二段跳び.やっと特別快速高崎行に飛び乗る.またもや睡魔である.居眠りは心地よいが,乗り過ごすと厄介である.眠くてフラフラしながら大船駅で下車する.
 何時もは暖かい大船だが,今日はヤケに寒い.ビュービューと冷たい風が吹いている.寒さに戦意を失った私は,もう何もせずにバスに乗車して帰宅する.
 眠気覚ましを兼ねて直ぐに風呂を沸かして,ザンブリと湯船に入る.風呂の湯の温かさが全身に染み渡る.眠気が取れて正気に帰ると同時に,気分も爽快になる.
 “よぉ~しっ…! これから何かやるぞ…”
 とはいうものの,さしあたって急な用事は何もない…おれはしがないサンデー毎日氏だった!
 でもまあ,今日も良かった! 良かった!

<ラップタイム>

 7:08  大倉歩き出し
 7:32  観音茶屋
 7:49  見晴山荘
 8:20  駒止茶屋
 8:38  堀山の家
 9:21  花立山荘
 9:35  金冷シ
 9:53  塔ノ岳山頂着(+3.0℃)
10:46      〃  発
11:00  金冷シ
11:10  花立山荘
11:37  堀山の家
11:53  駒止茶屋
12:18  見晴山荘
12:20  雑事場ノ平
12:31  観音茶屋
12:49  大倉着

[山行記録]

■水平距離       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間(雑談時間を含む)
  大倉   発      7:08
  塔ノ岳  着       9:53
  (所要時間)  2 時間45分(2.75h)
  水平歩行速度   7.0km/2.75h=2.55km/h
  登攀速度    1,269m/2.75h=461.5m/h

■下降所要時間(休憩時間を含む)
  塔ノ岳  発      10:46
  大倉   着      12:49
   (所要時間)  2時間03分(2.05h)
  水平歩行速度     7.0km/2.05h=3.41km/h
   下降速度     1,269m/2.05h=619.0m/h
                                  (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bddbbfd22162f94297e0de84e1b31e1d
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2e1ff2d7669818cda0681893f2cfdf67
(ミツバ岳・世附権現山縦走)

※誤字脱字転換ミスご容赦



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